ノルウェーの首都であるオスロは、海沿いの自然豊かな美しい街です。北欧の街、ストックホルムやコペンハーゲンと比べるとかなり小さく、人もそれ程多くないので、のんびりと過ごせ、快適な旅ができます。オスロは、ムンクの叫びで有名な、日本でもよく知られるアーティスト、ムンクが活躍した街で、ムンク美術館をはじめ、色々面白い美術館があり、アート好きも楽しめます。また、ヴァイキングの血を引くノルウェーからは、北極探検など数多くの海の冒険者を輩出していて、そんなノルウェーの歴史と文化が紹介されている博物館もあり、色々な見どころがあります。先日のオスロ旅行で訪れてよかった場所を中心にオスロの人気観光スポットを紹介します。
ノルウェー オスロ
オスロは、ノルウェーの首都で、ノルウェー最大の都市です。ノルウェー南部の「オスロフィヨルド」と呼ばれる入江の奥に位置する、海沿いにある、オスロは、周囲を山に囲まれている自然豊かな素敵な街です。
オスロは観光がとてもしやすい街で、どこへ行くにも交通が便利です。オスロ空港から、オスロの街の中心部、オスロ中央駅までは、快速 (Flytoget Airport Express Train) で 20分、普通列車に乗っても30分程で到着することができます。オスロ市内は路面電車が頻繁に走っており、観光のアクセスがとても便利です。
オスロの中心部から少し離れてみると、小高い丘や山があり、オスロの全景が見渡せます。周囲を山に囲まれた入江という地形なので、日本の風景と共通点も感じられます。
オスロは、静かで落ち着いた雰囲気の街ですが、クールな雰囲気の場所もあり、カラフルなウォールアートがいっぱいの通りもあります。
ムンク美術館
オスロの人気美術館となっているのが、日本でもよく知られた、あの「叫び」で有名なムンクの美術館です。ムンク (Edvard Munch) の生誕100周年を記念して、1963年にオープンした美術館で、現在までの長期間に渡り、ムンクの常設展、およびムンクをテーマとした様々な特別展が行われてきました。来年、2020年には、オペラハウスの近くのウォーターフロントに13階建ての巨大な新美術館に移転が予定されていることもあり、先日の訪問時は、ムンクと美術館の歴史を振り返る Exit! と題された展示が行われていました。
ムンク美術館の一番人気は、なんといってもムンクの代表作「叫び」です。「叫び」には、何点かの作品がありますが、こちらは、ムンクが最後に描いた、1910年の「叫び」の作品で、この絵を一目見ようとたくさんの人々が訪れる大変人気な美術館となっています。
ムンク美術館で2番目に人気なのが、1894年に描かれた、こちらの「マドンナ」です。ムンクのこの2作品は、2004年に盗難に遭い、2006年に発見され、戻って来たという歴史があります。
ムンク美術館には、雰囲気のいいカフェがあり、「ムンクの叫び」が描かれたチョコレートがのったケーキもあります。
全般的に空いているオスロの街ですが、唯一混雑しているのが、クルーズや団体の旅行者たちが集中してやってくる時間帯の繁忙期の人気観光スポットです。ムンク美術館も人気スポットなので、夏などは、早目もしくは遅めの時間帯などツアーと重ならないような時間帯を狙って訪れるのがおすすめです。
ムンク美術館 Munch Museet
Tøyengata 53, 0578 Oslo, Norway 地図
ナショナルギャラリー オスロ
ナショナルギャラリー オスロは、19世紀中頃に設立されたノルウェーの歴史的な美術館で、ムンクの叫びの最も有名な作品をはじめ数多くの作品のコレクションを誇ります。
新館のオープンに向け、2019年以頼、閉館が続いていましたが、2022年6月から再びオープンしています。
新館は、ノーベル平和センターの隣にオープンし、北欧で最大規模の巨大なミュージアムとなっています。
ナショナルギャラリー The National Gallery
Brynjulf Bulls plass 3, 0250 Oslo, Norway 地図
ノルウェー 王宮
ノルウェーの王宮は、オスロの中心部から北西方面のところにあり、現在でもノルウェー王の宮殿として使用されています。歴史は、古く1825年に建設がはじまり、1849年に完成した建物です。王室が宮殿を離れる6月終わりから8月終わりまでの夏のみ一般開放され、ガイドツアーで見学することができます。
王宮 The Royal Palace
Slottsplassen 1, 0010 Oslo, Norway 地図
オスロ市庁舎
ノーベル賞の一部門、ノーベル平和賞の選考、受賞式を行っているのは、ノルウェーですが、ノーベル平和賞の授賞式が行われるのが、オスロ市庁舎です。自由に入館できますが、ガイドツアー に参加し、説明を聞きながら、見学することもできます。1931年から建設がはじまり、1950年に完成した、存在感のある巨大な建物です。
オスロ市庁舎 Rådhuset
Rådhusplassen 1, 0037 Oslo, Norway 地図
ノーベル平和センター
オスロ市庁舎のすぐ近くのウォーターフロントにある19世紀後半に建てられた歴史ある建物には、ノーベル平和センターがあり、ノーベル平和賞や受賞者が紹介されています。
一番の見どころは、これまでのノーベル平和賞受賞者が、幻想的な空間の中、紹介されているこちらのコーナーです。パネルに視線を合わせると、人物の紹介へと画面が切り替わります。
ノーベル平和センター Nobel Peace Center
Brynjulf Bulls plass 1, 0250 Oslo, Norway 地図
ノーベル平和賞のみオスロとなり、それ以外のノーベル賞は、スウェーデンのストックホルムで授与されます。
Astrup Fearnley Museum of Modern Art
ノーベル平和センターからウォーターフロント沿いを奥に歩いて行くと、美しく整備された新興開発エリアがあります。
その先端に位置するのが、近現代アート美術館の Astrup Fearnley Museum of Modern Art です。1993年に設立された美術館で、2012年に、ポンピドゥーセンターやホイットニー美術館などのデザインなどでも知られる著名建築家、Renzo Piano によるデザインの2棟からなる美術館の現在の建物に移っています。
ノルウェーなど北欧の現代アーティストの作品の他、Damien Hirst、デイヴィッド・ホックニー、フランシス・ベーコンなどイギリス人アーティストの作品も展示されています。牛が真っ二つになったインパクトのある作品、Mother and Child (Divided) をはじめ、Damien Hirst が、多く展示されています。ジェフ・クーンズの作品も展示されています。
美術館の外には、パブリックアートが飾られ、ビーチのような砂浜には、くつろいでいる人もたくさんいます。
Astrup Fearnley Museum of Modern Art
Strandpromenaden 2, 0252 Oslo, Norway 地図
オスロのトラの像
オスロ中央駅で、まず出迎えてくれるのが、マスコットとなっている巨大なトラの像です。オスロは、The Tiger City というニックネームがあるそうで、2000年に、そんなニックネームにちなんだ像が寄贈されたそうです。
フラム博物館
オスロの中心から少し離れた西側にある Bygdøy という半島には、ノルウェーの歴史や文化を伝える数多くの博物館が集まっています。バスで訪れることもできますが、市庁舎の裏、ノーベル平和センター近くのフェリー乗り場から、直接連れていってくれる船も出ています。お天気のいい日は、ちょっとしたクルーズ気分も楽しめるフェリーが、おすすめです。全ての博物館を回る場合、丸一日近くかかります。
フェリーは、オスロの中心を出発し、途中、ノルウェー民俗博物館やヴァイキング船博物館に最寄りの桟橋を経由し、最終的に到着するのが、フラム博物館の目の前です。
北極に近いノルウェーは、北極をはじめ極地探索が盛んだった国で、フラム号で北極遠征を行った、フリチョフ・ナンセン、初めて南極点に到達した、ロアール・アムンゼンらノルウェーの極致探索の歴史が紹介されています。一番の見どころが、ナンセンの北極探索で使用された船、フラム号が再現された巨大な船です。また、アムンゼンによる初の北西航路の横断で使用された船、Gjøa も展示されています。
フラム博物館 The Fram Museum
Bygdøynesveien 39, 0286 Oslo, Norway 地図
ノルウェー海洋博物館
フラム博物館のすぐ隣にあるのが、ノルウェー海洋博物館です。歴史的な船から海や船を描いた絵画まで、幅広い海にまつわる様々な展示があります。
現代のノルウェーの船舶や海洋技術などについても紹介されています。
博物館の外には、海を見つめる船員たちの像やカラフルな灯台があります。
ノルウェー海洋博物館 Norwegian Maritime Museum
Bygdøynesveien 37, 0286 Oslo, Norway 地図
コンティキ号博物館
ノルウェー海洋博物館の隣には、1947年に、南米のペルーからポリネシアの島々を、なんといかだで目指すという大冒険で使用されたコンチキ号が展示されているコンティキ博物館があります。この大冒険を指揮したのは、ノルウェー人の Thor Heyerdahl さんで、ポリネシア人の祖先は、南米からやって来た可能性を示すことが目的の一つでした。
こちらは、同じく Thor Heyerdahl さん指揮の下、1970年に、モロッコからの大西洋横断で使用されたパピルスで作られた船、Ra II です。日本人の乗組員も参加していたそうです。太陽神からか、日の丸からか分かりませんが、マストには、太陽が描かれています。
コンティキ号博物館 Kon-Tiki Museum
Bygdøynesveien 36, 0286 Oslo, Norway 地図
ヴァイキング船博物館
3つの博物館から15分程歩いた少し離れた場所にあるのが、ヴァイキング船博物館です。8世紀末から11世紀頃にかけて、ヨーロッパで猛威を奮ったことで知られているのが、スカンジナビア半島周辺のヴァイキングたちです。ヴァイキングに関する史料は少なく、謎に包まれた部分も多いですが、ヴァイキング船博物館では、そんなヴァイキングの貴重な歴史的な船や遺品が展示されています。
館内では、巨大なヴァイキング船3艘が展示されています。上から眺められる展望スペースも用意されています。ヴァイキング船は、埋葬に使用されたそうで、埋葬地跡から発掘されたそうです。
ヴァイキング船の展示に合わせ、遥か昔のヴァイキングの時代に思いを馳せることができる映像作品も上映されいます。
8世紀末から11世紀頃にかけて、ヨーロッパで猛威を奮い、ヨーロッパ各地に大きな影響を与えたのが、ヴァイキングです。例えば、イギリス王室の祖となったノルマンディー公ウィリアム征服王は、キリスト教に改宗し、ヴァイキングの攻撃を防御すること条件に、フランス王から領土をもらいノルマンディー公国を建国したヴァイキング、ロロの子孫です。そんなヴァイキングの歴史とヨーロッパ各国への影響については、こちらで紹介されています。
ヴァイキング船博物館 Viking Ship Museum
Huk Aveny 35, 0287 Oslo, Norway 地図
ノルウェー民俗博物館
ヴァイキング船博物館から5分程歩くとノルウェー民俗博物館があります。屋内の展示もありますが、ノルウェー各地から移築された、広大な敷地に点在する建物群が、見学の中心となります。
中でも、ハイライトとなっているのが、中世のスカンジナビア半島で多く見られたという木製の教会で、とても美しいフォルムの Gol Stave Church です。
雰囲気のいいカフェもあり、エビたっぷりの美味しいオープンサンドやスイーツなどがいただけます。
ノルウェー民俗博物館 The Norwegian Museum of Cultural History
Museumsveien 10, 0287 Oslo, Norway 地図
ヴィーゲラン彫刻公園
オスロの中心から北西方向に少し離れた場所にあるのが、大人気のヴィーゲラン彫刻公園です。広大な公園には、ノルウェーの彫刻家、グスタフ・ヴィーゲラン (Gustav Vigeland) の作品のみが統一して飾られ、独特の雰囲気が作り出されています。
公園の中央には、ドラマチックな塔を中心に、様々なポーズの人物像が密集していて、人気の写真撮影スポットになっています。
ヴィーゲラン彫刻公園 The Vigeland Park
Nobels gate 32, 0268 Oslo, Norway 地図
ヴィーゲラン美術館
公園を訪れてみて、アーティストに興味を持ったら、公園の隣にあるヴィーゲラン美術館を訪れてみるのもおすすめです。
館内には、ヴィーゲランの数多くの彫刻作品が展示されています。
公園に飾られている作品のもととなった彫刻も勢揃いしていて圧巻です。
ヴィーゲラン美術館 The Vigeland Museum
Nobels gate 32, 0268 Oslo, Norway 地図
Holmenkollen Ski Museum
ノルウェーといえば、ノルディックスキーの本場です。オスロから電車と徒歩で 45分程北西へいった山にあるのが、巨大なスキーのジャンプ台とスキー博物館です。
スキー博物館では、スキーの歴史的な遺品から現在のスキーグッズまで展示されています。スキー博物館からは、エレベーターで、ジャンプ台の上にある展望台にいくこともできます。
残念ながら、この日は、エレベーターが停止されていましたが、歩いてジャンプ台の頂上付近に接近することができました。この時は、ちょうどにわか雨が過ぎ去った後で、すごい雲が目の前に見えましたが、お天気がいい日には絶景が広がります。
スキー博物館 Holmenkollen Ski Museum
Kongeveien 5, 0787 Oslo, Norway 地図
Ekebergparken Sculpture Park
オスロの中心からトラムで南東に10分程行った場所にあるのが、スカルプチャーパークです。
ダリの Venus de Milo aux tiroirs やルノワールの彫刻など様々な作品が、広い園内に点在しています。
彫刻の他にも、オスロの絶景が楽しめる展望スポットで、特にお天気がいい日の夕暮れ時がおすすめです。
Ekebergparken Sculpture Park
Kongsveien 23, 0193 Oslo, Norway 地図
ヘニー・オンスタッド・アートセンター
ヘニー・オンスタッド・アートセンターは、バスを利用して30-40分程オスロから離れた場所にある現代アート美術館です。オリンピックで金メダルを受賞したこともあるフィギュアスケートの世界チャンピオン、ヘニー・オンスタッドさん夫婦が、1968年に設立した美術館です。
ピカソ、マティス、ミロ、レジェなど現代アートの巨匠たちの作品が展示されています。Rufino Tamayo の作品もありました。
お馴染み草間彌生さんのインストレーションアート、Hymn of Life です。オスロからは、少し遠いですが、周囲には、面白い彫刻も点在し、景観も美しくアート好きの人は、足を伸ばしてみるといいと思います。
ヘニー・オンスタッド・アートセンター Henie Onstad Art Center
Sonja Henies vei 31, 1311 Høvikodden, Norway 地図
オスロ大聖堂
オスロの中心に聳え立つ、立派な教会、オスロ大聖堂は、17世紀末に建造された歴史ある教会です。王室や政府などの公式イベントでも使用される由緒ある教会です。午前10時から午後4時までオープンしています。
オスロ大聖堂 Oslo Cathedral
Karl Johans gate 11, 0154 Oslo, Norway 地図
ストルトルヴェット広場
オスロ大聖堂前には、ストルトルヴェット広場があります。かつて、マーケットがあった場所で、現在でも、夏は、お花屋さんなどグリーンマーケットが開催されています。
ストルトルヴェット広場 Stortorvet 地図
国立劇場
オスロ市庁舎や王宮の近くには、1899年にオープンした歴史ある国立劇場があります。ノルウェーで最も格式のある劇場で、コンサート、オペラ、バレエなど様々なイベントが行われています。
国立劇場 Nationaltheatret
Johanne Dybwads plass 1, 0161 Oslo, Norway 地図
オスロオペラハウス
国立劇場とは一転して、2008年にオープンしたオスロ中央駅近くのウォーターフロントにあるオスロオペラハウスは、スキー場のスロープのようにも見える個性的なデザインの新劇場です。オペラやバレエなど様々なショーの公演の他、ガイドツアーも行われています。
オスロオペラハウス Oslo Opera House
Kirsten Flagstads Plass 1, 0150 Oslo, Norway 地図
Damstredet og Telthusbakken
石畳の小道に可愛い家が立ち並び、人気の散歩、写真スポットとなっているのが、Damstredet og Telthusbakken です。近くにある人気フードホール、Mathallen Oslo を訪れる前後に足を伸ばしてみるのもいいと思います。
Damstredet og Telthusbakken
Damstredet 4A, 0177 Oslo, Norway 地図
オスロは、ストックホルムやコペンハーゲンと比べると、かなり小さい落ち着きのある街です。夏季は、クルーズなどグループツアーも多く見かけますが、全般的に、空いていて快適です。海と起伏のある山々に囲まれ、周囲には自然もいっぱいで、北欧らしい静かな雰囲気を楽しみたい人におすすめです。北欧三か国の旅はこんな風でした。