セントラルパークの東側、アッパーイーストサイドにある、ニューヨーク市博物館 (Museum of the City of New York) では、今、屋外写真展が開催されています。秋以降に、ニューヨークの激動の数ヵ月間をテーマとした特別展、New York Responds が企画されていますが、その第一弾の写真展となり、博物館前のアウトドアスペースで行われています。2020年は、新型コロナ、そして大規模なBLM運動と、ニューヨークにとって歴史的な年となっていますが、そんな今年を振り返ることができる写真展です。
2020年は、パンデミックとなった新型コロナウイルスにより歴史的な年になっています。コロナによる数多くの犠牲者が出たことに加え、コロナ対策のロックダウンなどにより、大きなストレスがかかったこともあり、世界各地で、隠れた社会問題が顕在化し、抗議活動が起こっています。
ニューヨークシティは、3月から5月にかけては、世界のコロナ感染の中心となり、コロナ医療崩壊寸前の危機、その後、5月末からは、大規模なBLMの社会運動が巻き起こり、歴史的な激動の数ヵ月を経験することになりました。
セントラルパークの東側、5番街沿い、アッパーイーストサイドにある、ニューヨーク市博物館は、ニューヨークの数あるミュージアムの先陣を切って、経済再開のフェーズ4直後の7月23日からの再開を予定していましたが、市の方針でミュージアムの再開は延期されています。そのため、現在開催されている特別展は、ミュージアムの屋外が展示会場となっています。激動のニューヨークを捉えた写真展が、今秋に予定されている New York Responds の特別展の一部として行われています。
博物館の敷地の外壁には、巨大な写真が色々と飾られています。屋外の展示ということで、写真は、水にも強そうなプラスチックと布の間のような面白い素材に、プリントされています。
ニューヨークをはじめ、アメリカでは、当初、新型コロナは、中国とその周辺国で起こっていること、と遠い地での出来事としてとらえていましたが、そんな状況が一変したのが 3月です。ウイルスは、中国経由ではなく、ヨーロッパ経由でニューヨークにやって来ていて、気づいた時には、既に時遅しの街中で蔓延状態で、すぐにロックダウンに突入します。
ニューヨークでは、今までほとんどマスク姿さえ見かけませんでしたが、今では、マスク、フェースカバー、さらに手袋までしているニューヨーカーも登場するなど、短期間で大変身を遂げビックリしています。
スーパーマンのストリートアートなど、ニューヨークの街がロックダウン中に、街中にストリートアートが増えました。
普段、病院にかからない限り、なかなか医療の有り難さを認識する機会がありませんが、医療スタッフや医療器具が逼迫した今回のコロナ危機では、未知のウイルスと闘う医療関係者の活躍を目の当たりにし、すっかりヒーロー的な存在となっていました。
そして、ニューヨークでコロナが落ち着きはじめた 5月下旬になると、ミネソタ州で起こった、ジョージ・フロイドさん事件をきっかけに、全米で巻き起こったのが、BLM運動です。ニューヨークでも街中でデモなど様々な抗議活動が行われていました。
博物館の敷地内の庭部分も、左右で、コロナとBLM運動に分かれ、写真が飾られています。正面右手には、マスク姿の人々、医療関係者、閑散とした街、励ましのジェスチャー、コロナ対策の呼びかけなどコロナ禍の最中ならではのシーンの写真が並んでいます。今秋に予定されている New York Responds の特別展用に、#COVIDStoriesNYC で、現在も、写真やストーリーを募集しています。
ソーシャルディスタンスの代名詞となったのが、”6 Feet Apart” です。公園など様々な場所で、1.83m に当たる 6ft の間隔を示すポスターが置かれています。
こちらは、葬儀屋さんが舞台のHBOの人気ドラマシリーズ、Six Feet Under にかけて、ソーシャルディスタンスを取らないと、葬式屋(墓)送りになるよ!というメッセージ。
閑散としたチャイナタウンの一角。ここにも、Black Lives Matter の手書きの張り紙が見えています。
しーんとしていたチャイナタウンも、今では活気が出てきて、オープンストリートのレストランで賑わっています。
BLM運動をテーマとした写真が並んでいます。こちらも、#ActivistNY で、写真やストーリーを募集しています。
ドネーションによるヘアカットは、ウィリアムズバーグ で見かけて面白そうだと紹介しましたが、写真店でも、躍動感溢れるそんな写真もありました。
ニューヨークで集会というと、まず思い浮かぶのが、ワシントンスクエアパークです。BLM運動も連日行われていました。そんな抗議運動を受け、ニューヨーク州では、警察に対する透明性を高め、チョークホールド禁止など暴力行為を抑制する法律が成立し、June Teenth が祝日になったりと実際に変化も起きています。
ワシントンスクエアパークをはじめ、市内様々な場所で、デモやマーチが行われていました。
ニューヨーク各所のストリートには、Black Lives Matter が描かれました。シンプルに黄色い文字で描くスタイルが一般的ですが、中には、シティホールの北側、Foley Square では、アーティスティックなデザインのものもありました。
ニューヨーク五番街のトランプタワー前も描かれ、話題となりました。
ニューヨークでは、17世紀以降、様々な社会運動が行われ、社会を大きく変化させて来ました。ニューヨーク市博物館では、そんな社会運動や活動家をテーマとした展示、Activist New York が、行われています。
ニューヨーク市博物館の外には、ニューヨーク初期に活躍した偉人の像が飾られています。正面左手には、ジョージ・ワシントンの右腕として初代財務省長官を務め、大ヒットブロードウェイミュージカルのハミルトン ですっかり有名になった、アレクサンダー・ハミルトン (Alexander Hamilton)、右手には、19世紀初期に、ニューヨーク市長や州知事を務めた、デウィット クリントン (DeWitt Clinton) の像が飾られています。アレクサンダー・ハミルトンは、ニューヨーク市博物館デザインのオシャレなマスクをしています。
ニューヨークでは、8月24日からミュージアムの屋内部分が再開可能となりましたが、それを受けて、ニューヨーク市博物館は、8月27日からの再開が予定されています。
ウィズコロナのミュージアムの様子は、こちら。
ザ・シティ・オブ・ニューヨーク博物館の歴史をはじめ、雰囲気や基本情報は、こちらで紹介しています。
ニューヨークの400年の歴史を振り返る長期に渡って行われている展示、New York at Its Core をはじめ、ニューヨークに関する様々なテーマの期間限定の特別展が見学できます。
アッパーウエストサイドにある、ニューヨークヒストリカルソサエティでも、屋外特別展が開催中です。