広い世界に目をむけると、実は日常的に映画のようなことが起こっていて驚かされます。昨日から世界を騒がせているのが、こちらのニュース、パナマペーパーのリークです。オフショアの法律ファームとしては世界で4番目に大きいとされるパナマ国籍の Mossack Fonseca の内部データベースにあった 11.5m ものファイルがリークされ、政治家、ビリオネア、ドラッグディーラーなどなど様々な分野の人々の名前があがっています。そのサイズは 2.6TBにものぼるそうです。
最も目をひいたのが、ロシアのプーチン大統領、アイスランドの首相、サウジアラビアとモロッコの国王、シリアのアサド大統領、中国の習近平国家主席の親族や党高官など。彼らに深い関連のある人物の名前が登場するなど、他にもそうそうたる顔ぶれがあげられています。
おおもとのデータは、ドイツのメディア、Süddeutsche Zeitung が入手し、ICIJ (International Consortium of Investigative Journalists) という NPO でシェアしているそうです。ICIJ が、早速、リークデータに登場した主な人物について、分かりやすくインフォグラフィックスでまとめてくれています。
こちらのビデオでは今回のリーク、タックスヘイブンであるパナマ、そしてMossack Fonseca の役割について紹介しています。
オフショア会社の設立は全てが違法なわけではなく、正当な事例もたくさんあり、一概に脱税やマネーロンダリングなどを目的としたものであるとは言えませんが、国際的に複雑なルールを理解、利用し、匿名性を保ちながら、自由になる資金を安全に停留しておくという一般的な目的は共通だと思います。
今回のレッスンから、こんなビリオンダラーの隠し方というビデオもつくられています。
国を代表するような人々の名前がこのようにあがってきてしまっては、社会制度への信用低下、そしてオフショアコンセプトの PR になってしまうかもしれませんね。
ところで、今懸念となっているは、現在その元データには特定のメディアのみがアクセスできるようで、都合のいい情報だけ流し、そうでない部分は隠すなど、公平に報道しているかについては疑問が残ることです。
Wikileaksでは、全ての人に公開すべきでは?という、こんな問いかけをしています。
Should we release all 11 million #PanamaPapers so everyone can search through them like our other publications?
— WikiLeaks (@wikileaks) April 3, 2016
みんなの声が通じたのか、5月9日より、Offshore Leaks Databaseが公開され、検索可能となりました。
こんなに世界中の有名人たちの名前があがっている中、実は、アメリカと日本に関しては個別の名前はほとんどあがっていないようです。両国のモラルが高いのか、取り締まりが厳しいのか、Mossack Fonseca がターゲットとしていなかったのかは分かりませんが、アメリカと日本に関しては、個別の名前はあがっていませんが、こちらのマップによると利用者はいるようです。
以前から、資金の停留先としてカリブ海の小さな島などのタックスヘイブンは有名ですが、こちらのブルームバーグの記事によると、最近は、なんと新しいスイスとして、アメリカ国外から、ネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどのアメリカの特定の州が注目を集めています。