毎年8月初旬を迎えると思い起こされるのが、1945年の原爆投下です。8月6日に、史上初めての原子爆弾が広島に投下され、さらに 9日に、長崎に投下され、想像を絶する被害をもたらした悲しい歴史となりました。この恐るべき破壊力のため、幸いその後は核爆弾が実戦で使用されることはなく現在に至っています。これまで広島平和記念資料館は訪れたことがありましたが、今春の日本滞在中、初めて長崎の平和公園と原爆資料館に行って来ました。
長崎は、中国大陸と近く、鉄砲などの最先端技術やキリスト教などの伝来で海外からの影響が大きく、鎖国前は平戸、鎖国中は、江戸時代でもオランダや中国との取引が許された出島があったこともあり、長崎は日本の玄関口として知られて来ました。今でも、そんなかつての雰囲気を伝える教会や邸宅が点在していて、長崎の観光スポットになっています。
そんな長崎の運命を大きく変えたのが、太平洋戦争中、1945年8月9日の原爆投下です。8月6日の広島へのリトルボーイと名付けられたウラン型の原爆投下に続き、9日には長崎にファットマンと呼ばれるプルトニウム型の原爆が投下され、一般人も巻き込み莫大な被害をもたらしました。長崎には、そんな原爆で亡くなった人々を追悼するメモリアルや、原爆による被害や歴史的な背景を伝える博物館、爆心地に作られた平和記念像がある平和公園などがあります。これらの長崎の名所は、半日程で見て回ることができます。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館や、隣接する長崎原爆資料館への行き方は、長崎駅から路面電車で10分程の原爆資料館前駅で下車し、5分程歩くと到着します。
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は、ニューヨークの911メモリアルのような厳かな雰囲気です。屋上は水がいっぱいで清涼感溢れています。
池のまわりを周って、地下に広がる館内へと向かいます。
館内へと続く階段もどこか厳かな雰囲気になっています。
外だけでなく館内でも、水が流れ続けていて、静寂な空間が広がっています。
日本らしい木製の壁の小道を進んで行くと、
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館のメインとなる、幻想的な祈りの間があります。
広々とした休憩スペースにも、地上から明るい光が降り注いできます。
EXILE TAKAHIRO さんが毛筆で描いた平和が展示されています。
訪問者のメッセージ帳もデジタルになっていました。色々な有名人たちのメッセージも残されていました。
祈念館の近くには、原爆殉難教え子と教師の像があります。8000人もの学生や教師が亡くなったそうです。
長崎原爆資料館
祈念館のお隣にあるのが、長崎原爆資料館です。螺旋状の通路を通って展示ギャラリーに向かいます。
原爆投下時刻の8月9日午前11時2分を指しています。こちらは、被爆し破壊された柱時計のレプリカで、常設展の入口に展示されています。広島では朝の8時15分だったので比べると遅い時間なのですが、実は、この日の原爆投下の最初の目的地は、北九州の小倉でした。視界不良のため次の候補地であった長崎にターゲットが変更されました。
アメリカ側は、三ヵ所を予定していたようですが、8月15日のポツダム宣言受託による終戦のため、長崎以降現在に至るまで、核兵器は使用されていません。
資料館には、原爆ですっかり破壊されてしまった、浦上天主堂の遺構の一部が移築され展示されています。
浦上天主堂は、大浦天主堂に負けない立派な教会を建てようと19年の歳月をかけて、1914年に完成したカトリックの教会です。
長崎に投下された、プルトニウム型の原子爆弾「ファットマン」の模型が展示されている他、熱線、火事、放射線などによる被害の様子が展示されています。
核兵器のない世界と言うテーマで、近現代史も紹介されています。
ギャラリー以外は、色々なオブジェが飾られていたり、現代アート美術館のような雰囲気になっています。
資料館の屋上には、ふりそでの少女像があり、すぐ祈念館へとつながっています。
屋上の展望台からは、爆心地周辺が見渡せます。
爆心地公園
原爆資料館からすぐの場所にあるのが、原爆投下地点だった爆心地公園です。こちらは、原爆落下中心碑。
すぐ近くには、浦上天主堂の遺構の一部が残されています。
現在の地表から少し下がった場所からは、原爆投下当時の土壌の様子を見ることができます。
周辺には、たくさんのモニュメントが建てられています。こちらは、平和の炎を表現したという電気通信労働者原爆慰霊碑。
爆心地公園 地図
平和公園
爆心地公園からさらに少し歩くと平和祈念像で知られる平和公園があります。広い公園で、起伏の激しい長崎らしく、平和の歩道と呼ばれるエスカレーターがあります。
平和公園のシンボルとなっているのが、園内北端にある、1955年に完成した北村西望作の平和記念像です。
平和記念像の左隣には、折鶴の塔があります。
母と子をテーマとした様々な平和の母子像も飾られています。
平和公園 地図
浦上天主堂
平和公園の北西端からは、浦上天主堂をよく見渡すことができます。爆心地近くにあり、すっかり破壊されてしまったカトリックの浦上天主堂は、1959年に美しいレンガ造りの教会として再建され訪れることもできます。
浦上天主堂 地図
広島の平和記念公園と原爆資料館の様子は、こちらです。