フェニックスでは、アメリカ南西部で最大の美術館である、フェニックス美術館 (Phoenix Art Museum) も訪れてみました。一番の印象は、ロサンゼルスの美術館でも感じましたが、とにかく巨大で個性的な作品が数多く、開放的な広いスペースにゆったりと作品が展示されている美術館です。美術館に入り、まず圧倒されたのがミュージアムの天井から両壁一面全体を覆う迫力のインストレーションアートです。このアートを見た瞬間、みんな一瞬息を飲む、今までに見たことがない衝撃のインパクトのあるアートでした。
実はこのアート、近づいてよく見てみると、一つ一つ丁寧に作られた黒いチョウチョのアートです。メキシコ人アーティスト、Carlos Amorales さんの Black Cloud と言う作品です。
アリゾナ州の州都フェニックスのダウンタウンにあるフェニックス美術館 (Phoenix Art Museum) は、1959年にオープンしたアートミュージアムで、その後、リノベーションや増築などを経て、現在では、南北二つの建物から構成される大きな美術館となっています。メインエントランスは、北側の建物にあり、ヨーロッパの古典的な宗教アートからモネら印象派の作品、アメリカ初期の頃の作品、また日本や中国などアジアの歴史的なアートなども展示されています。南側の建物は、コンテンポラリーアートが中心で、近現代のアート作品が展示されており、全体として、幅広い分野がカバーされ、様々なテーマの特別展も行われています。
特徴的には、かつてのスペイン文化圏と言うことで、スペイン、メキシコなどラテンアメリカの作品が多く見られます。また、今人気沸騰中の草間彌生さんの作品もあり、インストレーションアートや巨大な作品が多く、コンテンポラリーアートセクションもかなり充実しています。
充実のコンテンポラリーアートの南ウィング
南館では、近現代アートの作品が展示されています。
南館の地下では、Border Crossing と題されたメキシコ、アメリカ南西部のアートをテーマとした展示が行われていました。
アメリカ南西部の代表的なアーティストと言えば、ジョージア・オキーフです。
ビビッドな色遣いが目を引く、力強い作品。
メキシコの有名女性アーティスト、フリーダ・カーロの作品。
南西部らしいセレクションのアート作品が色々あり楽しめます。
ビジュアル的に印象に残る映像作品もありました。
南館2階は、コンテンポラリーアートのコーナーです。一番の目玉が、2005年から2020年まで長期間に渡り、フェニックス美術館で展示される、草間彌生さんの作品、”You Who Are Getting Obliterated in the Dancing Swarm of Fireflies” です。ここでも幻想的な世界が作り出されていました。草間彌生さんを知らなかった人々も見学した後、感動しながら、これは誰の作品?!と興味津々に紹介パネルにくぎ付けになっていました。
現在、ニューヨークのチェルシーのギャラリーで草間彌生さんの特別展が開催中で大行列ができています。LA でも行列でしたが、今世界中で大人気となっています。
ニューヨークでも連日大行列!世界で人気沸騰中の草間彌生 チェルシーのギャラリーで特別展 Festival of Life 開催中
他にも、吸い込まれそうな巨大な圧巻ビジュアルアート。
二つ並んだエンパイアステートビルが目を引く作品。
ニューヨークで活躍した女性アーティスト、Louise Nevelson さんの作品。
ブルックリンミュージアムでもお馴染みのアーティスト、Kehinde Wileyの作品もありました。
南館1階もコンテンポラリーアートセクションで、巨大な作品が展示されています。
迫力のある作品が並んでいます。こちらは、曲線の美しい Anish Kapoor さんの作品。
シカゴのミレニアムパークのビーンでも有名なアーティストです。
南西部らしいデザインアート。
一つの絵画で完結せず、周りの空間といくつかの作品群で全体として一つの作品となっているようなものも見かけました。
フェニックス美術館の前進となるアートセンターを設立し、最終的には、アリゾナで活躍したアリゾナと関係の深いアーティスト、Philip C. Curtis のコレクションも展示されています。
ファッションブランド、Galanos の創業者、James Galanos は、昨年亡くなられましたが、Galanos をテーマとした華やかなドレスの展示も行われていました。
歴史的な作品が見られる北ウィング
こちらは、北館2階に展示されていた作品。素晴らしい感動する作品が多くあるのですが、よくよく説明を見てみるとなんと作者不詳とされているものが多く驚きました。ペルーのクスコに残されていた美しい作品が数多く展示されています。この他、ヨーロッパの古典的な宗教アートは、北館1階にも展示されています。
アメリカ独立後の典型的な作品、Gilbert Stuart によるジョージ・ワシントンの肖像画。
モネの “Flowering Arches” の他、ミレー、クールベ、ピサロ、ボナールなどの作品が展示されています。
可愛いミニチュアのお部屋の様子が再現されていて、おしゃれなお部屋からクラシカルなお部屋までよくできていました。
メキシコの有名壁画アーティスト、ディエゴ・リベラのリトグラフの作品も展示されています。
北館1階には、アジアのアートセクションがあり、中には、日本のアートも展示されています。鎧や屏風など歴史的なものから比較的新しい工芸作品まで予想以上に色々ありました。
中国のアートコーナーにある墨絵の掛け軸。ミュージアムのガイドさんがこのセクションの一番のおすすめとして解説していました。
この他、動きのある幾何学的形状の個性的な作品で有名な彫刻家、カルダーの珍しい絵画作品を集めた特別展も開催されていました。独特の色合いがアーティストの個性を創り出しています。
お土産屋さんには、ジェフクーンズの可愛い犬のクリスマスデコレーショングッズなど、なかなかセンスのいいものが色々あり、欲しくなってしまいました。
美術館の外にも、印象的な檻に入った赤い恐竜などパブリックアートが点在しています。
この日は、駆け足で、2時間程で一通り見て回りましたが、3時間程みておけば、ゆっくりと見て回ることができます。
フェニックス美術館 Phoenix Art Museum (館内地図)
1625 N Central Ave, Phoenix, AZ 85004 MAP