アウトサイダーによる個性的な写真アート展 PHOTO BRUT アメリカンフォークアート美術館

ニューヨークのアッパーウエストサイドのアメリカフォークアート美術館では、多種多様なアーティストによる、面白いテーマのフォトやコラージュ写真などが主役となったアート作品の特別展、PHOTO | BRUT: Collection Bruno Decharme & Compagnie が開催されています。ニューヨーカーはフォト好きがとても多く、特に週末には、たくさんの人がやって来ていて、面白い作品の数々を熱心に見入っています。

ニューヨークのアッパーウエストサイドにある、アメリカフォークアート美術館 (American Folk Art Museum) は、あまり知られていないアーティストを含め、正式なファインアート教育を受けずに、自己流で独自の作風を生みだしたアーティストや職人、一般の人々による、アート・工芸作品などに特化した個性的なミュージアムです。

フランス人アーティスト、Jean Dubuffet らによる20世紀中頃のアートムーブメント、アート界の非主流派によるアート、アウトサイダーアート (Outsider art) という意味の Art Brut が知られていますが、2021年1月24日からスタートした特別展、PHOTO | BRUT: Collection Bruno Decharme & Compagnie は、同様のコンセプトで、アウトサイダーフォトをテーマとし、フランス人映画ディレクター、Bruno Decharme さんのコレクションを中心に、写真や写真を用いた多種多様な面白い作品が展示されています。

週末に訪れてみましたが、アート好き、写真好きの多いニューヨーク、なかなかの人気ぶりでした。
アメリカフォークアート美術館は、入館無料ですが、現在、事前予約が必須となっています。

ギャラリーは、入場してすぐ、左右、前方に合計4つのスペースがあります。様々なテーマのポートレート、写真をベースにしたコラージュ、ファッションなどの広告やポスター、風景画まで幅広い作品が展示されています。

アメリカフォークアート美術館は、ファインアートではなく、自己流 (Self-taught) アーティストに特化したミュージアムで、今回の展示でも、個性豊かな著名な自己流アーティストの作品が多く展示されています。
こちらは、20世紀にシカゴで活動した黒人女性アーティスト、Lee Godie さんのセルフィーです。

歴史上の著名人らしい写真がずらりと並んでいますが、実は、こちらは、アーティスト自身が、偉人のマネをして撮影したポートレート作品の数々です。TOMASZ MACHCIŃSKI さんによる、20世紀末前後の白黒の本物っぽい写真と並んで、現在進行形の偉人のモノマネアーティストさん Ichiwo Sugino さんのインスタグラム上で公開されている、少しコミカルな雰囲気の作品と一緒に紹介されています。

20世紀らしい近代アート風のポスター作品。

今でも、時々、色々な場所で、人形の撮影をしている人を見かけますが、こんな人形や人形の写真に特化しているアーティストもいます。

こちらは、小さな世界版で、ミニチュアで独特の世界感を作り出している、とてもリアルで上手な作品が色々あります。

作家で、アウトサイダーアーティストとして知られる、Henry Darger の作品。Henry Darger は、アウトサイダーアートの中で、最も評価されているアーティストの一人で、絵本やファンタジーの世界の少女をモチーフとし、独特の作風で描いています。

面白いコンセプトの作品が色々と並んでいますが、特に目に止まったのが、独特の雰囲気のコラージュ作品です。

写真をベースに、別の写真やイラストなど様々な切り抜きが貼りつけられ、コミカルな雰囲気の面白い作品になっています。

物凄く長細いパノラマ風景写真。ブルックリンのレトロなビーチ沿いの遊園地、コニーアイランドのような雰囲気のジャージーショアの遊園地の風景写真もありました。

一番奥には、それぞれ同じコンセプトの人物作品群が、上下にずらりと並んでいます。

写真の上に、ガムのようなものを多数張り付けて立体感を出し、飾り付けしている珍しい個性的な作品もありました。

PHOTO | BRUT: Collection Bruno Decharme & Compagnie は、2021年6月6日まで開催されています。ウィズコロナで、写真など新たな趣味をはじめたという人も多いかもしれませんが、写真やクリエイティブなアートに興味がある人には、楽しめる展示になっていると思います。ミュージアムショップでは、ギフトにもおすすめのセンスのいい商品が揃っている他、特別展の作品集も販売されています。