ピカソ美術館 パリの人気国立ミュージアムの見どころ パブロ・ピカソの人生が伝わってくる貴重な作品満載!

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パリには、フランスで大活躍した20世紀アート界の巨匠、パブロ・ピカソ (Pablo Picasso) のミュージアム、国立ピカソ美術館 (Musée national Picasso-Paris) があります。国立ピカソ美術館は、17世紀に建てられた趣のある巨大な邸宅が美術館となっており、スペイン出身のピカソの幅広い時代に渡る膨大なコレクションを誇る、パリの人気アートミュージアムの一つとなっています。ピカソが亡くなる直前、90歳前後で描いた作品など、あまり見たことがない貴重な作品も数多く展示されており、大変見応えのある素晴らしい美術館でした。

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フランス国立ピカソ美術館

フランス国立ピカソ美術館は、かつて、貴族が多く暮らしていたエリアにあり、現在では、ユダヤ人街やアートギャラリーなどの多いパリ3区のマレ地区にあります。美術館となっている建物は、オテル・サレ(Hôtel Salé)という、かつて塩に対する税金の徴税により裕福になった人物が建てた建物であることから、塩の邸宅とも呼ばれた、17世紀中頃の歴史あるお屋敷です。フランス国立ピカソ美術館は、パブロ・ピカソの亡くなった1973年以降、親族の保有していたコレクションをもとに、1985年にオープンしました。ピカソ美術館は、直近でも、長期間に渡るリノベーションを終え、2014年に再オープンしています。
館内には、とても美しい大階段 (Grand Staircase) もあります。

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パブロ・ピカソ (Pablo Picasso)

パブロ・ピカソ (Pablo Picasso) は、1881年生まれ、スペイン出身の20世紀を代表するアーティストです。アーティストであった父親の影響もあり、スペインでアート教育を受け、その後、若干19歳にしてパリで初の個展を開きました。その数年後から当時のアートの中心地であったパリに移り、その後、生涯に渡りフランスで活躍します。ピカソは、時期によりガラッと作風を変化させていったアーティストで、キュビスムの代表的アーティストとして知られる他、通常の絵画以外にもコラージュや彫刻など様々な媒体で本当にたくさんの作品を残しています。
パリの国立ピカソ美術館のコレクションは、もともとは、ピカソのパーソナルな遺品も含め、自身の作品をたくさん所有していた、ピカソ自身が所有していたもので、ピカソの2番目の妻であった Jacqueline Roque が亡くなった際、相続税として、国に譲渡されたものが中心となっています。

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ピカソ美術館 展示

館内の主な展示スペースは、4フロアあり、1階では特別展、2、3階では美術館のピカソ自身が所有していたコレクションの中からピカソ自身、そしてマティスやルノワールなどの作品が展示されています。昨秋、訪れた時は、オルセー美術館で行われていたピカソの初期の頃から 青の時代、バラ色の時代にかけての特別展 が行われていたため、国立ピカソ美術館では、それ以降の作品の展示が中心となっていました。地下には、クロークルームの他、ちょっとした展示もあります。訪問時は、ジャコメッティ作のオブジェなどが展示されていました。

特別展 Masterpieces!

1階を中心に行われていたのは、”Masterpieces!” と題された特別展です。

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ピカソがよく描いたモチーフの一つが、コメディの道化役 アルルカン。こちらは、1923年の作品です。1920年代は、イタリア旅行の影響もあり、ピカソが、キュビスムから離れ、新古典主義的 (ネオクラシズム) な描き方をしていた時期です。

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こちらも、同じく1923年の作品。

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こちらは、3人のダンサー (Les Trois Danseuses) を描いた1925年の作品。数年の間に同じアーティストが描いたものとは思えないくらい異なった作風に変化しています。当時、流行しはじめたシューレアリスム的な作品です。

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キュビスムのきっかけとなったピカソの有名作品の一つ、アビニヨンの娘たち (Les Demoiselles d’Avignon) を模した珍しいタペストリー作品。当時、パリで一大旋風を巻き起こしていたアフリカンアートに影響を受け、1907年に描かれたオリジナルの作品は、ニューヨークのMOMA で見ることができます。

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ピカソは、女性の肖像画も数多く残しています。こちらは、1937年、ピカソの愛人だった Dora Maar の肖像画。

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こちらも、1937年、ピカソと関係の深かった3人の女性、Olga Picasso, Marie-Thérèse Walter and Dora Maar を描いたコラージュ作品、Les Femmes à leur toilette。1937年は、ピカソの代表作の一つ、ゲルニカを完成させたりとクリエイティブな年だったようです。

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こちらも1937年の作品。これまでのキュビスム、シューレアリスムなど様々な時期の作風が入り交じった感じのピカソらしい作品です。

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ピカソは、人物画だけでなく、動物の作品も数多く残しています。1950年のヤギの彫刻、La Chèvre。そして、後ろにはヤギのスケッチ画。

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ピカソ自身のコレクションからの展示

2、3階では、ピカソが所有していた自身の作品、同世代のアーティストの作品などが展示されています。ピカソは、20歳前後から始まり、90歳までの70年以上という長い期間に渡り活躍したアーティストです。自分の身の回りで何らかの感情を抱いたアートや人物、エンターテイメントなどの対象をテーマに描いたアーティストで、人物や動物が登場する作品が多く、時期に応じて、作風を大きく変化させていきました。展示では、そんなピカソの生涯に渡る作風の変遷が、外観できる内容となっています。

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こちらは、ピカソの1895年の帽子を被った男性を描いた作品、L’Homme à la casquette。なんとピカソが、まだ14歳の頃の作品です。

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若い頃からアートディーラーの目に止まった逸材ピカソは、19歳にしてパリで初の個展が開催されます。この頃から青の時代、バラ色の時代への作品は、オルセー美術館で行われていた特別展にてコレクション展示がされていました。詳しくは、こちらです。

オルセー美術館でピカソの特別展開催中!世界中から集められた必見のコレクション Picasso: Blue and Rose

パリでの生活も軌道に乗った頃、パリで注目を集めていたのが、トロカデロ博物館のアフリカンアートです。ピカソを含め、当時のアーティスト達に大きな影響を与えたのが、アフリカの部族の原始的な仮面などです。ピカソは、そんな作品も集めていたようです。

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こちらは、アフリカンアートの影響を感じさせる作品の一つで、ブラックピリオドとも呼ばれる1907年の作品です。

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その後、ピカソは、ジョルジュ・ブラックと共にキュビスムを創始します。こちらは、1909年から10年にかけて描かれた、ピカソのキュビスム初期のモンマルトルの象徴、サクレ・クール寺院をキュビスム的に描いた作品、Le Sacré-Coeur です。

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左側が、ジョルジュ・ブラック (George Braquet) の1910-1911年にかけての作品。この作品のように、この時期には、ピカソかブラックか区別がつかないような作品が数多く残されています。

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点描で、シャガールっぽい雰囲気に描かれた1917年の作品、”Le Retour du baptême d’après Le Nain automne”。17世紀の古典アート作品がベースですが、モダンアートっぽく変身させています。

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ピカソは、1910年代後半、劇場美術やコスチュームのデザインなど劇場関係の仕事も行っていました。そんな様子を紹介する映像コーナーもあります。

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こちらは、ネオクラシズムの時期、1921年の作品、La Lecture de la lettre。手紙を一緒に読んでいる男性2人からは、寂し気な雰囲気が漂っています。

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こちらは、最初の妻、Olgaとの間に1921年に誕生した長男、Paulo のお絵描き姿を描いたパーソナルな作品、Paul dessinant 1923。

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シューレアリスムとキュビスムが混ざりあった時期、1931年の作品、Figures au bord de la mer。

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ピカソが最もプロダクティブだった時期が、1930年代の後半。女性を描いた数多くの作品も残しています。こちらは、愛人だった Marie-Thérèse を描いた1937年の作品。

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こちらは、Marie-Thérèse との間に生まれた長女、マヤが人形と遊ぶ姿 (Maya à la poupée) を描いた1938年の作品。

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この時期には、Olga Picasso, Marie-Thérèse Walter and Dora Maar の3人の女性だけでなく、別の女性も描いています。1937年の作品、Nusch Eluard を描いた作品。

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ずらっと並んで壮観です。

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第二次世界大戦中、1943年の作品。当時、パリは、ナチスにより占拠されており、そんなパリにとどまった肩身の狭いピカソの平和への願いが感じられます。

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こちらも暗いトーンですが、可愛らしいフクロウの作品 (Chouette dans un intérieur) です。戦後、ピカソが、平和運動に積極的に参加した時期の作品です。

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こちらは、1950年の作品、La Chèvre。1950年は、ピカソがヤギのアートにはまっていた年のようで、絵画や彫刻で数多くのヤギをテーマとした作品を残しています。

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1958年、ピカソは、南仏マルセイユの近くの古城、Château of Vauvenargues を購入し、1959年に移り住みます。そんなピカソの幸せな様子が伝わってくる作品、Le buffet de Vauvenargues です。

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晩年は、それまでの様々なスタイルを統合したような作品を描いています。こちらは、1970年の作品、闘牛士 (Le Matador)。

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ピカソは、古典ヨーロッパアートの巨匠からピカソの同世代まで、数多くのアーティストに影響を受けています。ピカソの個人コレクションでは、そんな影響を与え合ったアーティスト同士の関係も垣間見られます。
ピカソは、スペイン出身と言うことで、グレコ (El Greco)、ゴヤ(Francisco Goya)、ベラスケス (Diego Velázquez)、スルバラン (Zurbarán) らスペインの巨匠は、もちろん、様々なアーティストや作品からインスピレーションを得ています。
19世紀フランスの写実主義アーティスト、クールベのヤギを描いた作品。

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30歳前のピカソが出合い、感銘を受けた作品のひとつが、税関の仕事の傍ら、絵を描いていた異色のアーティスト、アンリ・ルソー (Henri Rousseau) の1907年の作品です。1908年、ピカソがルソーのために晩餐会を開くなどした効果もあり、そのコミカルかつ幻想的な独特の作風は、若手アーティストに大きな影響を与え、後のシューレアリスムへと繋がっていきます。

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友人だったドラン(Andre Derain) の1914年のアフリカンアートの影響が感じられる作品。どちらかと言うと、ピカソからの影響かもしれません。

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ルノワールの1916年の作品。1920年代のピカソの作品に登場する、ふくよかな女性のモデルかもしれません。

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ピカソの友人でもあったモディリアーニの 1918年の作品。こちらもピカソが、自分の影響を感じた作品かもしれません。

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ライバルであり、友人でもあり、一目置く存在だったのが、アンリ・マティス(Henri Matisse) です。こちらは、マティスの1944年の作品。この他にも、マティスの作品をいくつも所有していました。ピカソのコレクションを見る限り、絵画では、マティスとルノワールがお気に入りだったと思われます。

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1階のミュージアムショップも大人気です。

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ピカソ美術館 Picasso National Museum
5 Rue de Thorigny, 75003 Paris, France 地図

2021年には、南仏に、新しいピカソ美術館、Musée Jacqueline et Pablo Picasso のオープンが予定されています。ピカソの最後の奥さんだった Jacqueline Roque が相続したピカソの後期の作品が中心となり、2000点以上ものピカソのコレクションが展示されるそうです。

ピカソと言えば、女性がクリエイティビティーの源泉だったのが、2度の結婚を含め、数多くの女性と愛人関係だったりと、ドラマチックな人生を送ったようですが、例えば、BBCの 映像作品 など、波乱万丈のピカソの人生をテーマとしたドキュメンタリーも数多く製作されています。
昨年、National Geographic のテレビ番組 Genius のシーズン2で放映されていたのが、ピカソでした。Antonio Banderas がピカソを演じた全20話のなかなか面白い作品で、長時間の飛行機内で、思わず見続けてしまいました。

ニューヨークでは、ピカソの作品は、MoMAメトロポリタン美術館グッゲンハイム美術館などで見ることができます。

ピカソ美術館 パリの人気国立ミュージアムの見どころ パブロ・ピカソの人生が伝わってくる貴重な作品満載! was last modified: 2月 3rd, 2019 by mikissh