抗議デモが広がる全米の今 ジョージ・フロイドさんメモリアルの平和な一日 アートで思いを刻んでいく

NYC Wall Art (2)

ここ数ヵ月間、コロナ一色だった全米に、大きな変化をもたらしたのが、先週の月曜日、5月25日に、ミネソタ州ミネアポリスで起こった、無抵抗だった、ジョージ・フロイドさんを、警察官が窒息死させてしまった悲しい事件です。事件をきっかけに、全米中に抗議デモが拡大し、平和な抗議活動を行う人々が大部分の中、一部の人々により、暴力や略奪事件が起こされ、警察にも負傷者がでたりと混乱が続いています。そんな中、今日、ジョージ・フロイドさんのメモリアルイベントが、ミネアポリスとニューヨークで開催されました。ニューヨークのブルックリンでは、ジョージ・フロイドさんの兄弟により追悼集会が開催され、ジョージ・フロイドさんは決して暴力を望んでいないこと、そして、平和な抗議活動を呼び掛けていました。

ジョージ・フロイドさんの事件は、ほんの一週間程前に起こったばかりですが、過去を振り返ると、これまでにも何度も繰り返されてきた、警察の暴力行為によるアフリカ系アメリカ人が亡くなる悲惨な事件で、今現在でも、まだ同じ過ちが繰り返されているのかと、瞬く間に全米、さらには、世界各地にまで抗議デモが広がり、警察による差別的な暴力行為 (Police Brutality) への反対と、公正な社会と司法、人種差別や格差の是正など “Black Lives Matter” を訴え、様々な人々や団体が、賛同の意を示しています。

第三者に依頼して行われた検死によると、ジョージ・フロイドさんの死因は、当初の行政によるものとは異なり、窒息死と判断されました。事件には、殺害に直接関わった一人の警察官の他、一緒にいながら何もしなかった3人の警察官が関係者としていましたが、以前の判断が見直され、殺害に関わった警察官は、第二級殺人となり、さらに残りの警察官も全員が訴追されることになりました。

george-floyd-mural

デモへの参加者の大部分は、平和な抗議活動を行っていますが、中には、警察やデモ参加者に暴力をふるったり、対立を煽動したり、混乱に乗じて、破壊や略奪行為を行ったりするものも登場し、問題となっています。
犯罪防止のため、ニューヨークをはじめ、全米の様々な都市で、夜間外出禁止令が出されています。

ニューヨーク夜間外出禁止令しばらく続きます!George Floyd 事件の大規模デモ 犯罪防止のため NYC Curfew

そんな混乱の中、今日、ミネアポリスで、行われたのが、ジョージ・フロイドさんを偲ぶメモリアルイベント(映像)です。合わせて、全米各地でも追悼集会が行われました。

ニューヨークでは、ブルックリンのダウンタウン、Cadman Plaza Park で、ジョージ・フロイドさんの兄弟、テレンス・フロイドさんらにより追悼式典 (映像) が開催され、多くの人が参加しました。アフリカ系の政治家を中心にゲストによる小気味良い、リズミカルな躍動感ある演説が続いていましたが、一番印象に残ったのが、テレンス・フロイドさんの、フロイド家は誰も破壊を望んでいないこと、平和な抗議活動を切に訴える、”Power to the people” のメッセージです。

追悼集会後、ブルックリンブリッジを渡って、マンハッタンに大勢で向かいました。夜間外出禁止令などのニューヨーク市側の対応に加え、メモリアルでのフロイドさんの強いメッセージの影響もあり、ニューヨークは、素晴らしい天気の下、平和な一日となっています。

暴力に訴えず、明らかに必要なルールの改正を推進し、戦略的に、地道に継続した政治、啓蒙、教育活動が展開できれば、長期的に間違いなく、より公正で、差別のない世界が実現していけると思います。

ところで、今回のジョージ・フロイドさんの事件を、しっかりと記憶に刻もうと、メモリアルとして、ウォールアートやヒップホップ曲など様々な作品が登場しています。人々の心や関心は、うつろいやすいものですが、アートは、時代を越えて、記憶を呼び起こしてくれます。
タイムズの表紙には、Titus Kaphar さんの描いた、幼少期のジョージ・フロイドさんの作品が登場しています。

最近、Titus Kaphar さんや Kehinde Wiley さんをはじめアフリカ系アメリカ人のアーティストの活躍は、目を見張るものがありますが、その元祖と言えば、警察の差別的な暴力行為 (Police brutality) なども描いている、バスキアです。ちょうど今日、バスキアの代表作の一つが、取引され、イーストビレッジに新ギャラリー美術館をオープンしたばかりの Peter Brant さんから、投資会社シタデルの創業者である、Ken Griffin さんへと渡りました。作品は、1億ドル以上で、バスキアの絶頂期の頃の1982年の作品、”Boy and Dog in a Johnnypump” です。

Jean-Michel Basquiat (2)

コロナのシャットダウンの影響で、経済の回復が長期化しそうな中、世界各国政府の直接的、間接的な様々なサポートもあり、株式市場は、驚異的な回復を果たしています。そんな株式市場に習って、同じく大打撃を受けているアートマーケットも、今回のバスキアの作品の取引によって、少し希望を見せてくれるシンボル的なものとなったかもしれません。

イーストビレッジに新オープンした Brant Foundation のバスキア展へ訪れたときに、その作品も見たことがありますが、ここはミュージアムとしての雰囲気もよく、本当にたくさんのバスキアの作品が集められていて圧巻でした。1960年代の公民権運動の時代を経て、バスキアの時代にもあったこの警察問題、今現在もまだ何も変わっていないのかと思うと残念でなりません。

ニューヨークの最新美術館イーストビレッジに誕生!バスキア特別展 The Brant Foundation

ここ数ヵ月間、連日、コロナにより多数の死者が出ていた NYC ですが、今日、死者数がゼロとなりました!経済再開が予定されている、来週の月曜、6月8日に向け、順調に進んでいます。

ニューヨークシティがいよいよオープン!経済再開第1フェーズ オープン予定日発表

抗議デモが広がる全米の今 ジョージ・フロイドさんメモリアルの平和な一日 アートで思いを刻んでいく was last modified: 6月 14th, 2020 by mikissh