アメリカ、ヨーロッパを中心に世界各国で、新型コロナウイルス対策のため外出禁止令が出され、多くの人が自宅で過ごしていると思います。多くの美術館や博物館など世界のミュージアムも閉鎖されており、長期間に渡り準備されてきた、とっておきの特別展も披露する機会を失ってしまっています。今年は、ルネサンス三大巨匠の一人、ラファエロの没後500年目に当たり、イタリア・ローマで大規模なラファエロ展が予定されていましたが、残念ながら閉鎖となっています。その代わりに、多くの人が楽しみに待っていた、ラファエロの特別展の展示内容が映像で公開されています。
ラファエロ展
昨年は、ルネサンスの三大巨匠の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500周年と言うことで、ルーヴル美術館で開催された 史上最大規模のダヴィンチ展 をはじめ、様々なダヴィンチに関する展示が行われていましたが、今年は、同じくルネサンス三大巨匠の一人、ラファエロの没後500年目に当たり、ローマの Scuderie del Quirinale では、3月5日から6月2日に渡り、大規模なラファエロ展が開催予定となっていました。ところが、現在、イタリアは、スペイン、アメリカと共に、新型コロナウイルスとの激戦地の一つとなっていて、イタリア全土が現在ロックダウン中のため、待望のラファエロの特別展も見れなくなってしまっています。
ルネサンスの最盛期、16世紀の前半、レオナルド・ダ・ヴィンチは、67歳まで生きましたが、ラファエロは、なんと若干37歳で亡くなってしまいます。感染症なのか、熱病にかかり、短期間の闘病の末、1520年4月6日に急死してしまいました。
こちらが、Scuderie del Quirinale で、開催予定だった、ラファエロ展の様子です。英語の解説付きです。
(イタリア語版のヴァーチャルツアーは、こちら。)
Scuderie del Quirinale の Youtube チャンネルでは、この他にも色々とラファエロ関連の映像がアップされています。こちらの映像では、ラファエロのバチカンでの活躍について詳しく紹介されています。
ラファエロの有名作品がある世界の美術館
ダヴィンチはあまり作品を残さなかったため、世界中探してもダヴィンチの作品はとても少ないのですが、ラファエロは、短命だったにもかかわらず、残された作品数は多く、イタリアをはじめ、世界の著名美術館で見ることができます。以下、ラファエロの作品を見ることができる主な美術館を紹介します。
バチカン美術館
バチカン美術館 (Vatican Museums) には、ラファエロと弟子たちによって巨大なフレスコ画が描かれた、4つの部屋からなるラファエロの間 (Raphael’s Rooms) があります。ラファエロの作品としては、最も有名なのが、アテナイの学堂 (The School of Athens, 1509–1511) ですが、こちらの聖体の論議 (Disputation of the Holy Sacrament 1509–1510) も素晴らしい作品です。詳細は、バチカン美術館のラファエロの部屋のバーチャルギャラリーでも見ることができます。
この他、バチカン美術館のピナコテカと呼ばれる絵画館には、ラファエロ最後の作品とされる Transfiguration (1516–20) や Madonna of Foligno (1511) があります。
昨年訪れたばかりのローマとバチカンは、一度は訪れるべき、素晴らしいところでした。
ボルゲーゼ美術館
ローマの有名な美術館、ボルゲーゼ美術館にも、ラファエロの作品がいくつかあります。こちらは、ユニコーンが印象的な Young Woman with Unicorn (1506)。
予約が取れないほど人気の美しい豪邸ギャラリー美術館です。
ウフィツィ美術館
フィレンツェ最大の美術館、ウフィツィ美術館にも、ラファエロの作品が色々あります。こちらは、Madonna of the Goldfinch (1505-1506)。
ピッティ宮殿
こちらは、同じくフィレンツェのピッティ宮殿にある La velata (1514-1515)。ティツィアーノ (Titian) らベネチア派の作品を彷彿とさせますが、おそらくラファエロの影響かと思われます。
ピナコテカ・ブレラ
こちらは、ミラノのブレラ絵画館 (Pinacoteca di Brera) にある作品、The Marriage of the Virgin (1504)。
ルーヴル美術館
パリのルーヴル美術館にもいくつものラファエロの作品があります。こちらは、ラファエロが友人を描いた作品、Portrait of Baldassare Castiglione (1514–1515)。その後の西洋美術の肖像画の描き方に大きな影響を与えた作品です。
パリのルーヴル美術館は、いつも大人気のパリ必見の美術館ですが、昨年、ダヴィンチの特別展開催中に訪れたときは、過去最高の盛り上がりでした。
ナショナルギャラリー ロンドン
ロンドンのナショナルギャラリーにもラファエロの作品が色々ありますが、こちらは、Saint Catherine of Alexandria (1507)。
ロンドンは、ラファエロなど有名作品がたくさん集まる素晴らしい美術館も無料で訪れることができ驚きました。
ナショナルギャラリー ワシントンDC
こちらは、ワシントンDCのナショナルギャラリーにある The Alba Madonna (1510)。
メトロポリタン美術館
ニューヨークのメトロポリタン美術館にもラファエロの作品、Madonna and Child Enthroned with Saints (c.1504) があります。
ラファエロだけでなく、有名な作品がたくさん集まる、見どころいっぱいのニューヨーク一番のミュージアムです。
現在、そんな世界のミュージアムが全て閉鎖中ですが、一刻も早くウイルスの猛威が終息し、再び訪れることができる日が早くやって来るといいな、と切に願います。
ローマのラファエロ展の状況は残念ですが、ロンドンのナショナルギャラリーでも、2020年10月3日から2021年1月24日まで ラファエロの特別展 が開催されます。その頃までには落ち着いていることを期待しましょう。
ちなみに、昨秋から今年の2月まで開催されたルーヴル美術館のダヴィンチ展の様子は、こちらです。世界中からダヴィンチの作品が集められた、とても豪華な特別展でした。