ニューヨークでは、秋から冬にかけて、タカやフクロウなどの猛禽類をよくみかけるようになります。先日、紅葉が美しいセントラルパークで、園内北部の森に囲まれた小川の流れる、ロッホ(The Loch) を散策していた所、とても美しい鷹に遭遇しました。こちらは、アメリカで最もよく見かけるお馴染みの鷹、Red-tailed Hawk です。日本語では、アカオノスリという名前で知られています。アカオノスリは、よく見晴らしのいい木の上で、獲物を狙っている姿を見かけますが、この日は木から飛び立ち、なんとネズミをキャッチする姿を目撃してしまいました。
ニューヨークでは、現在、とても紅葉の美しい時期が到来しています。先日、セントラルパークに紅葉を見に行った時に立ち寄ったのが、マンハッタンにいながらも、はるか遠くの山にやって来た気分になれる、セントラルパーク北部 の The Ravine と呼ばれる深い森です。
森の中には、小さな池が点在し、美しい小川が流れ、ロッホ (The Loch) と呼ばれる水路があります。ちょっとした滝まであり、森林浴におすすめのスポットです。
様々な木々に囲まれたロッホは、紅葉も美しい所ですが、様々な野鳥にも出会える場所です。
先日、ロッホ沿いを散策中に出会ったのが、こちらのまだ若い美しいアカオノスリという鷹です。見晴らしのいい木の上で、周囲をキョロキョロしながら、獲物を探していました。周りには、人が集まって来ていましたが、気にすることもなく、獲物を探すことに集中していました。
しばらくキョロキョロしていましたが、何かを見つけたようで、途中から様子が変わり、突然飛び立ちました。飛んでいった方向に追いかけていってみると、なんと見事に大きなネズミを捕獲していました。
捕獲した後も、随分と落ち着いた感じで、他のタカに横取りされないように、周囲の様子を注意深く伺っています。そして、より落ち着いて食べることができる安全そうな場所へと移動して行きました。
そんな様子を捉えた美しいアカオノスリの映像は、こちらです。
タカやフクロウとの遭遇は、ラットやネズミにとっては、災難ですが、NYC では、パンデミックを経た現在、さらにラットやネズミが激増中で、猛禽類は、そんなラットやネズミを駆除してくれ、天然のペストコントロールを行ってくれている存在でもあります。こちらの、nyc.gov のサイトでも紹介されていますが、アカオノスリは、1990年代頃からニューヨークで暮らすようになっていて、NYCとアカオノスリは、理想的な共存関係にあります。
そんな猛禽類の存在を考慮し、セントラルパークをはじめ市内の公園では、毒性の強い毒餌剤は、使用されていませんが、街中では、未だに毒餌剤が使用されています。毒を飲んでしまったネズミを食べてしまうと、猛禽類にも影響を与えてしまいます。まだ記憶に新しいですが、セントラルパークの人気者で、今夏、交通事故で亡くなってしまったフクロウのバリー君も、実は、体内に毒素がかなり蓄積されていたことが、検死結果から分かっています。詳細は、こちらの記事で紹介されています。タカやフクロウなどの猛禽類たちと共存していくためにも、市内全域での毒餌剤が使用禁止となることが望まれます。
ちなみに、ニューヨークというとネズミがいる街として有名ですが、NYC では、こんなネズミ対策のポータルまでつくり、様々な対策や検査を行っています。検査での目撃情報をもとにした、Rat Information Portal や Rat Heat Map などどこにネズミが多いかというようなネズミマップまで作成されています。
セントラルパークのハーレムミアで開催されたハロウィンイベント、パンプキンフローティラ を見に行った日も、アカオノスリを見かけました。大人は、赤い尾羽を持ち、こげ茶色の目をしている一方、若いアカオノスリは、明るい茶色を基調とする羽を持ち、黄色っぽい目をしています。
以前は、リスと遭遇した、さらに若いアカオノスリの様子を紹介したことがあります。これから冬にかけてのニューヨークのバードウォッチングは、タカやフクロウなどの猛禽類やカモなどが中心となります。
セントラルパークの紅葉が今ちょうど美しい時期です。今年の紅葉の様子は、こちらです。