かつて、J. P. Morganさんが住んでいた豪華なお屋敷で、現在、美しいライブラリーのあるミュージアムとして知られるモルガンライブラリーでは、現在、レンブラントの特別展 Rembrandt’s First Masterpiece が開催されています。
先日、訪れて見ましたが、世界中から見応えのあるレンブラントの作品群が集まってきていて、とても人気の展示となっています。
ニューヨークのミッドタウンにあるモルガンライブラリーはとても美しい書斎など常設展だけでも見所の多いミュージアムですが、まず今回の目的であるレンブラントの特別展を目指します。
イタリア、ルネッサンスアートが思い浮かんでくる美しい天井の回廊を抜けて向かいます。
レンブラント特別展 Rembrandt’s First Masterpiece
レンブラント (Rembrandt van Rijn) の特別展の会場は大盛況となっています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品を模したレンブラントの最後の晩餐。
17世紀のオランダ絵画の巨匠のレンブラントは人生を通じ100 近いとても多くの自画像を残していて、今回の特別展でもそんな作品が色々と並んでいます。自画像を描く画家というのは、当時としてはめったにいない珍しい存在だったようです。現代でいう自分撮りのセルフィー (selfie) みたいな感じかもしれませんが、レンブラントの自画像については論じられることも多く、例えばこの記事にあるように、レンブラントは実は彼の描いたアートよりも、彼の自画像によって有名になった、自画像は彼のPRの役割を果たしていたともいわれています。
お部屋の中央奥にあるのが今回の特別展の目玉の”Judas Returning the Thirty Pieces of Silver”。レンブラントが23歳の時に描き、彼の最初の傑作と呼ばれている作品です。イギリスの民間のコレクターが所有しているということもあり、アメリカにやってくるのは初めてだそうです。
こちらのビデオではキュレーターがこの作品とその準備のために描かれた作品群について解説しています。
レンブラントの特別展は9月18日まで開催されています。
ところで、1669年に亡くなったレンブラントですが、今年、そんなレンブラントの新しい作品を描くというThe Next Rembrandtという面白いプロジェクトがありました。
レンブラントの遺した346もの作品を3Dスキャンで取り込み、インプットし、ソフトウェアを用いて、新しい作品を3Dプリントで描くという試みです。
こちらがその作品で、たしかにレンブラントっぽく仕上がっています。
'New Rembrandt' to be unveiled in #Amsterdam #TheNextRembrandt #arttech #ArtificialIntelligence pic.twitter.com/1AP8SRZxpl
— The Next Rembrandt (@nextrembrandt) April 6, 2016
こちらのビデオではプロジェクトの詳細について解説されています。
今後、このような人間とソフトウェアが共同で創作する人工知能 (AI) を利用したアートは益々発展していくのではないかと思います。
レンブラントは、日本人に人気の画家、フェルメールと同時代の17世紀にオランダで活躍した画家です。
ちなみに、レンブラントやフェルメールに代表される17世紀オランダ絵画に関しては、ニューヨークでは、メトロポリタン美術館、フリックコレクションが充実しています。
この他、モルガンライブラリーでは、様々なテーマの特別展も行われています。
ローマをテーマとしたアート
レンブラント展のお隣では、”City of the Soul: Rome and the Romantics”というローマを描いた作品がテーマの特別展が行われています。
美しいローマの絵画も素敵なものが色々あります。
アインシュタインの手紙
今年はアインシュタインによる一般相対性理論の論文が発表されてから100周年になる年です。そんなアインシュタインに関する手紙や、アーティファクトが数点展示されています。
アインシュタインが天文学者とのやり取りをしたという手書きの手紙の展示です。
古代メソポタミアへタイムスリップ
古代メソポタミア文明の遺品である、古代メソポタミアの青銅の像を集めた展示、Founding Figures: Copper Sculpture from Ancient Mesopotamia, ca. 3300–2000 B.C.も行われています。
Lucas Samarasの幻想的な世界
モルガンライブラリーの 2階では、ギリシア出身のアメリカ人アーティスト Lucas Samaras の作品の展示、Dreams in Dust: The Pastels of Lucas Samaras も行われています。
幻想的な作品がところ狭しとぎっしりと並んでいて、壮観です。
モルガンライブラリー常設展
せっかく訪れたら常設展も見逃せません。こちらは、JP Morganの書斎です。
昔のお屋敷時代の様子です。
まるでヨーロッパのお屋敷にでもきているような気分になってしまう美しい天井の広がる空間、ロタンダです。
ワシントンのマスクという作品もあり、よく見ると、希少な興味深いものが色々展示されているミュージアムで、JPモルガンさんの興味の幅広さを知ることができます。グーテンベルクの聖書も必見です。
地下は、あまりお客さんもいない、とてもゆったりとしたソファーのあるくつろぎのスペースになっています。
フライデーナイトは、ちょっとした演奏会も行われています。館内に響き渡る美しい音色。そんな居心地のいい空間で、ちょっとシャンパンを飲んだり、ワインを頂いたり、優雅な時を過ごすことができます。
モルガンライブラリーのみどころと、こんなすばらしいお屋敷に住んでいたJPモルガンさんってどんな人だったの?というのはこちらをどうぞ。
金曜の夜7時から9時までは特別展も含め、全館フリーで開放されていておすすめです。その他、火曜の3時から5時、日曜の4時から6時は常設展のライブラリーと、ロタンダ、書斎への入場が無料となっています。
The Morgan Library & Museum
225 Madison Avenue at 36th Street
New York, NY 10016 MAP