新型コロナウイルスが、現在、アメリカやヨーロッパをはじめ世界を席巻していますが、身の回りでは、通常通りの穏やかな日常が続いている人も多いと思います。その反面、日々激増していく感染者数、新型コロナウイルス関連のニュースを見ていると、悲しい現実を思い知らされるのですが、アメリカでは日々新しい対策が講じられていっています。大流行の兆しを見せる新型コロナウイルスとその経済的な影響に対して、連日、様々な対策が登場していますが、そんなアメリカの新型コロナウイルス対策の最新情報を紹介します。
新型コロナウイルス 世界での現状
現在、世界を騒然とさせている、新型コロナウイルスですが、もし情報を遮断していたら、何が起こっているか全く気づかないような平和な日々を過ごしている人も多いと思いますが、現在進行形の世界の現状を教えてくれるのが以下のデータになります。一体世界で今どんな状況になっているのか、世界の新型コロナウイルスの感染者数などの最新データをライブで確認できるおすすめサイトが以下になります。
*Worldometer の Coronavirus Update (Live)
世界各国の詳しい数値データが中心ですが、アメリカなどいくつかの国に関しては、さらに詳しくドリルダウンすることができます。毎日更新される、最新の数値となっています。黄色の部分が前日比の感染者数。赤い部分が前日比の死者数です。この数値を見るだけでも、その国のウイルス感染の勢いがわかります。
*ジョンズホプキンス大学の 新型コロナウイルス地図
世界のどこでどれくらい感染が広がっているのかを視覚的に見ることができる、コンパクトに情報がまとめられている、大学のデータサイトです。
(Johns Hopkins University)
*グーグルの 新型コロナウイルスポータル
3月20日に登場したばかりの新ポータルで、感染者データの他、新型コロナウイルスに関連する重要な情報など色々まとめられています。
アジアでの大流行期を経て、現在、世界で最も新型コロナウイルスの感染者数が激増しているのが、イラン、イタリアとスペインです。そして、ドイツ、フランス、アメリカも放っておくと同じ道を辿りそうな状況になっています。
新型コロナウイルス アメリカでの現状
アメリカの新型コロナウイルスの現状は、以下のコロナウイルス追跡マップを見ると、視覚的にわかります。検査体制が整っていなかったこともあり、ニューヨークシティの最初の感染者 (1人)が発表されたのは、まだそんなに遠くない 3月1日のことでした。それからまだ3週間弱くらいしか経っていませんが、今では、ニューヨーク州の感染者数は、なんと 4000人超に達しています。検査数が激増していることもありますが、全米での感染者数は、10000人以上、死者200人程と、想像を超えるスピードで増加しています。
https://twitter.com/beatricezjin/status/1240372609944104968
アメリカの急激な感染者数増加は、グラフで表すと、急カーブでうなぎ上りになるような指数関数的ものとなります。このように感染者が驚くほど一気に大量に出てくる、指数関数的な増加をする状況というのは、実は大変危険なことなのです。どれくらい大変な事態の状況なのかというのは、こちらの 映像 で、詳しく紹介されていますが、アメリカは今、かなり追い込まれています。
新型コロナウイルスは、幸い感染しても多くの人は重症に至りませんが、激しい増加を続けていくと感染者の中から、一定の割合で重症患者が出てきます。現状のペースでは、そんな重症患者を病院に収容しきれなくなる可能性があるため、パニックになっています。アメリカでは、先週から様々な対策が立て続けにとられており、連日、大統領やアメリカの各州の知事などにより発表されています。それでは、アメリカが実際にどんな対策を行っているのか順番に見ていきます。はじめのころの基本的な対策は、日本でもお馴染みのそれぞれの個人レベルでの予防を推奨する対策でした。今もそのベースは全く一緒なのですが、それだけではどうにもならず、もっと大きなレベルで対策を施す必要がでてきています。
アメリカの新型コロナウイルス対策
個人的な予防
コロナウイルス流行中の日本から帰って来た時の記事 でも紹介しましたが、手洗い、ハンドサニタイザー、顔を触らない、など個人レベルで実践できるウイルス対策が、一番基本中の基本で、ウイルスにやられない最も大切な予防方法です。各人それぞれが努力していかなくてはいけない対策で、多くの人が実践していると思うのですが、現在の感染者数の増加の様子を見ていると、アメリカでは、個々人の努力で何とかできるレベルを越えて来ているのが現状です。
ソーシャルディスタンシング
そこで、感染抑制のための対策で、現在中心となっているのが、ソーシャルディスタンシング (Social Distancing) です。人と人との間隔を常に確保する対策です。
感染していても、ほぼ症状のない感染者も多く、ウイルスはそんな人との至近距離での接触でも感染する可能性が高いため、CDC では、外出時の人と人との距離を2メートル (6 feet) 程確保することというルールを発表しています。
特に直近の15日間に関しては、こちらのPDF にあるように、不必要な外出や 10人以上で集まるイベントを控えるようにアドバイスしています。
CDC のルール以外にも、州や市などそれぞれの地方自治体レベルでも、不特定多数の人々の接触を少なくするための独自のルールを適用しています。
例えば、オフィスでの仕事に関しては、リモートワークが推奨されています。例えば、ニューヨーク州では、オフィスに来る必要のある仕事に関しても、通常の25%以下にすることが必須となっています。
また、アメリカの多くの州では、レストラン、バー、劇場、ミュージアム、リテール店など人が集まる場所は閉鎖され、飲食店に関しては、テイクアウトやデリバリーのみの制限付き営業となっています。
サンフランシスコやロサンゼルスなど、カリフォルニア州全域では、不必要な外出禁止令 (Shelter in Place) が出されています。
ニューヨークも外出禁止になります。
入国制限
新型コロナウイルスが特に流行している国からの入国制限もしています。現在、中国、イランの他、ヨーロッパを、直近、14日間以内に訪れたアメリカ人以外の入国が制限されています。また、アメリカとカナダ間の国境でも、それぞれの自国民以外の不必要な移動が制限されています。
アメリカ国内でも感染が広がっていますが、さらに国外からも新しい感染源となる人がやってくると、アメリカの状況はますます悪化します。少し前は中国でしたが、現在はヨーロッパで大流行しており、そんな国々からの入国を制限することにより、少しでもアメリカ国内の医療キャパシティに負荷をかけないよう対策をとっています。
また、アメリカ市民にも国外への旅行を避けるよう警告がでています。
治療キャパシティの拡大
ニューヨーク州など、重症者の数が激増しつつあるところでは、現在、緊急に必要となっているのが、治療のためのスペースと人口呼吸器などの医療器具です。そんな中、昨日、発動されたのが、国防生産法 (Defense Production Act) です。こちら で説明されていますが、もともとは朝鮮戦争時に作られた法律で、戦時中などで、必要な備品などの生産が緊急に必要な時に発動されるものなのですが、今回のケースでは、医療機関における、医療用マスクや人口呼吸器など、医療器具の不足の解消を目的としています。
治療用スペースとしては、海軍の医療船がニューヨーク州と西海岸に派遣されることになっています。ニューヨークには、ヴァージニア州のノーフォークから、USNS Confort がやって来るそうです。赤十字のマークがついた、超巨大船で、アメリカすごい!と思ってしまいました。
UPDATE: The federal government is sending a hospital ship to New York, the USNS Comfort.
The Comfort, which has about 1,000 rooms on it, will be moored in New York Harbor.
Hospital beds are what we need. pic.twitter.com/CwTVJhJvDi
— Archive: Governor Andrew Cuomo (@NYGovCuomo) March 18, 2020
ワクチン・治療薬の開発
治療薬がないため、恐ろしい感染病なのですが、新型コロナウイルスのワクチンが急ピッチで、開発されているようで、既に、一人目の治験がはじまっています。ただし、通常、利用できるようになるまで早くても一年程はかかるようです。その間、既に他の目的で承認が下りており、新型コロナウイルスにも効く可能性が高い薬を試験的に利用できるように、FDA が異例のスピードで評価、承認の作業を進めているそうです。早速、マラリア用の薬 (Hydroxychloroquine) の試用が承認されたようです。
オペレーションワープスピードで、ワクチン開発の大規模な支援を行っています。
オペレーションワープスピード 緊急ワクチン開発プロジェクト & 新型コロナ治療法 ギリアド Remdesivir に朗報
経済対策
入国制限により旅行者がいなくなり、観光地もエンターテイメントも休業となり、レストランの飲食も制限され、スーパーや薬局など必需品以外のリテール店は休業になり、あらゆる業界に大きな影響が出ていて、株式市場も大暴落を続けています。
昨日、そんな状態から復活するための経済対策、第一弾として、新型コロナウイルス救済法 (coronavirus relief bill) が成立しました。新型コロナウイルスの検査を一律無料とすること、体調が悪い時や新型コロナウイルスに感染した時など有給で休むことができることなどが盛り込まれています。ニューヨークでは、州知事によると、直近24時間で、早速、8000人程が検査を受けたそうです。そんな検査数の増大が感染者数増に影響しています。
ベーシックインカム的な現金給付も議論され、3月26日には、一般市民への現金の給付や、航空業界など影響の大きい業界に対する援助を含めた、総額約2.2兆ドルの大規模な新型コロナウイルス救済法が成立しました。
史上最大220兆円のアメリカ経済救済法 現金給付1人$1200 失業保険拡充など盛りだくさんの支援に期待 The CARES Act
また、4月15日が締め切りのタックスリターンですが、今年は、7月15日まで延長されます。