ニューヨークでは、今夏、クイーンズのロッカウェイにて、草間彌生さんの特別展 ナルシスの庭 (Narcissus Garden) が開催されています。ロッカウェイはNYCフェリーでひとっ飛びで行ける、ニューヨークの夏の名所です。夏休みのビーチを楽しみに来ている人々でとてもにぎわっています。先日、早速そんな夏のローカルニューヨーカーの人気スポットのロッカウェイへ行ってきました。草間彌生さんのナルシスガーデンの会場となっているのは、ナショナルレクリエーションエリアの Fort Tilden にある廃墟ビルです。入った瞬間、思わず感動させてくれる幻想的な空間が作り出されていました。
世界的な大人気アーティストとなっている草間彌生さんの今回のアート展示会場は、なんとこちらの廃墟です。最近では、世界中の著名な美術館で、特別展が開催されていますが、この、ある意味ニューヨークらしい、長い間放置されたような雰囲気たっぷりの廃墟で、アートを披露するのはどんな感じになるのか、非常に楽しみだったのですが、さすがというか、廃墟に入った瞬間のWOW感は忘れられません。
MoMA PS1 による “Rockaway! 2018: Narcissus Garden by Yayoi Kusama” と題された今回の展示では、なんと1500個もの玉が並べられています。
ぐるりと見渡す限り、銀のボールが廃墟の床を覆いつくしています。
実はこのアート、以前、フィリップジョンソンのガラスの家 で見たことがあるものなんです。その時は、池いっぱいに銀のボールが埋め尽くすように浮かべられていて、風でゆらゆらと動き、太陽の光も浴びて、キラキラと光りで表情が変わる銀のボールのアートを楽しめるものでした。
今回のロッカウェイのバージョンは、その真逆。光が遮られた廃墟の中に放たれた銀のボールは、動きが全くなく、木漏れ日が当たるほんの一部分を除いては、ほとんどの銀のボールは薄暗い廃墟のクールな雰囲気を楽しむものとなっています。
何度見ても新鮮な気持ちで感動してしまう、全く違うアート作品となることにスゴイものを感じます。
お庭にはカラフルなアウトドアチェアが置かれていて、アートを楽しみに来た人たちが休憩したり、日向ぼっこをしたりしていました。
今回の展示の行われている廃墟ビルへの入口となっているのが、NPSが管理する Gateway National Recreation Area の一部の Fort Tilden 内にある “Rockaway Artists Alliance – sTudio 7 Gallery”(地図) です。
こちらのギャラリーでは、ニューヨークをベースにした1960年代の草間彌生さんの活動が合わせて紹介されています。
ナルシスガーデンの起源は、ベネチアで2年に一度開催されているアート展 Venice Biennale です。1966年、草間彌生さんは招待されていないにもかかわらず、会場のそばで、ナルシスガーデンと題された作品を披露し、一個数ドル程でボールを販売するなどしていたことから、当時のアート界の常識から外れた行為ということで、撤去させられたそうです。
この他、ニューヨークの様々な有名スポットで、パフォーマンスアートを披露したりと多くの人々の注目を集める個性的な活動をしていたようです。
ワシントンスクエアパークやハロウィンドッグパレードで有名なトンプキンススクエアパークで、自身にトレードマークのポルカドットをつけています。
ちなみに、こちらが、現代バージョン。ニューヨークではボディーペインティングデーが開催され、こんな様子になります。
そして、セントラルパーク の不思議の国のアリス像前でも。
ニューヨーク証券取引所前や ブルックリンブリッジ でも。当時は、ベトナム戦争中で、反戦運動のためのパフォーマンスアートが盛んだったそうです。
草間彌生さんの1967年の作品、Self-Obliteration が上映されています。
Jud Yalkut 撮影による不思議な世界観の作品は、こちらで見ることができます。
草間彌生さんのロッカウェイでのナルシスガーデンは、金、土、日、そして最終日となるレイバーデーの9月3日の祝日に開催されています。開催時間は、正午から午後6時までとなっています。お天気のいい週末に、ビーチと一緒に訪れてみるのもおすすめです。ニューヨークの公共バスで会場近くまで行くことができます。ロッカウェイの人気ビーチ、Jacob Riis Park から、徒歩15分程で訪れることもできます。
楽しい週末を♡