サンフランシスコの街中で、よく見かけ、気になったのがこちらの電動スクーター (electric scooter) です。歩行者用のサイドウォークなどにこの電動スクーターが無造作に放置してあったりしていたので、最初は何かのPRかな?と思ったのですが、その放置してある電動スクーターを拾って、乗っていく人も見かけました。サンフランシスコの街中で、学生風な人から会社員風な人まで色々な人が乗っているのですが、子供たちがキックボードを楽しんでいる姿はニューヨークでもよく見かけますが、こんなに多くの大人たちが使っているのはなかなか不思議な感じでした。たしかに、急な坂の多いサンフランシスコでは電動で移動できたら便利かもしれませんが、一体これは何なのでしょう?
住宅街エリアにもこんな感じで、e-scooter が放置してありましたが、こちらは、実は、今年の3月にサンフランシスコの街中に急遽登場した e-scooter のシェアリングサービスだそうです。この緑の車体の電動スクーターは、Lime Bike というスタートアップのものですが、シャアリング電動スクーター&バイク業が、特に投資家の間で人気のようで、Lime Bike の他、Bird、Spin などいくつものスタートアップが同時期にサービスを開始しており、何種類かの車体を見かけました。
最近では、全米中の都市部ではシェアリングバイク(自転車)が普及してきています。ニューヨークでも シティバイク がお馴染みとなっていますが、シェアリングバイクサービスでは、自転車が特定の駐輪スペースに整然と並べられています。一方、シャアリング電動スクーターは、さらにこの駐輪スペースすら無くなり、アプリで自分の近くにある電動スクーターを探し、アンロックし、使用できるというサービスで、アンロックに$1、利用時に一分当たり15セントかかるという利用しやすい値段設定となっています。
ただし、新しく登場したサービスで、色々と問題点も出て来ているようです。例えば、カリフォルニア州の交通ルールでは、電動スクーターは、ヘルメットを着用の上、バイクレーンまたは車道の走行が可能だそうですが、現状では、ヘルメット無しに、歩行者用のサイドウォークをかなりのスピードで走っていたり、街中にランダムに放置されていたりと色々と問題も多かったようで、サンフランシスコでは認可制となることが決まりました。認可が下りるまで、今週から完全撤去となっています。
昔ながらのレンタルビジネスに、今風なアプリが付け足されただけな感じもしますが、Mobike, Ofo など中国での成功例もあり、実は、シリコンバレーベースの Lime Bikeは、Andreessen Horowitz などから、LAベースの Bird は Sequoia Capital などから、既に、数百ミリオンドルもの資金調達に成功しているようです。こちらの 記事 によると、これらの新しいスタートアップの他、シェアリングカーサービスの Uber や Lyft もサンフランシスコでの電動スクータービジネスの認可申請を行っているそうです。そんな投資マネーを背景に、既にシェアリング電動スクーターが登場している都市も増えつつあるようです。ニューヨークで見かける日もそのうちやって来るかもしれません。
ところで、e-scooter の開発、製造を行っているのはこれらの新スタートアップではなく、2015年にセグウェイを買収した中国のロボティックスタートアップの Ninebot だそうで、このブームで最も恩恵を受けそうです。こちらにも Sequoia Capital などが出資しているようで、何となくその構図が見えてきます。
車体以外のコストがほとんどかからず、簡単に新しい都市に拡大できるビジネスモデルですが、オンラインでロックを解除するという放置車体が街に溢れてきた時に、都市部でそんな状態が受け入れられるかどうかが鍵となります。