世界を席巻している新型コロナウイルスにより、ここ最近、アメリカ、世界の株式市場は、乱高下を繰り返していましたが、さらにそこに追い打ちをかけるように、サウジアラビアとロシアのシェア競争による石油戦争 (Oil War) が勃発しています。なんと今日一日で、石油価格が30%近くも下落してしまい、S&P500、DOW、NASDAQ-100 などアメリカの株式インデックスも7%を越える大下落となりました。
新型コロナウイルスによる世界的な石油の需要の低下に伴い、サウジアラビアをはじめとした世界の産油国の利益調整グループ、OPEC にロシアを加えた OPEC+ が、石油の減産など供給の調整について話し合っていましたが、話はまとまらず、今後、サウジアラビアとロシア、そしてシェールオイルで躍進を遂げているアメリカの三ヵ国によるシェア争いが激化することが明らかとなり、石油価格が急落しています。1991年以来の大幅な下落で、30%近い値下がりとなっています。これは、アメリカだけでなく、世界経済をも揺るがす大暴落です。
そんな石油価格の急落の影響を受け、アメリカをはじめ、世界各国の株式市場も急落し、アメリカの主要株式インデックス、S&P500 は、7%以上下落したため、株価の急落時に強制的に取引を止める、サーキットブレーカーにより、15分間、ニューヨーク証券取引所での取引が休止しました。最終的には、S&P500、DOW、NASDAQ-100 の全てが 7%前後の下落となっています。直近の株式市場での最高値から20パーセント以上の下落となるベアマーケットに接近してきています。
この他、30年の米国債の利回りも、1パーセントを下回り、史上最低となっています。また、為替市場の円ドルレートも102円とかなり大きく動いています。こちらでは、大変動となった今日の金融市場の様子が紹介されています。
こちらによると、アメリカのシェールオイル業界は、今年に関してはかなりヘッジしているため、大きく影響するのは、2021年以降の模様で、当面は、サウジアラビアとロシアの我慢比べになりそうです。
こちらで、トップ産油国3ヵ国の現状と対立の背景が説明されています。
The Saudi Arabia-Russia oil war — and how coronavirus played a role in starting it — explained https://t.co/4auFe7qgpy
— Vox (@voxdotcom) March 9, 2020
産油国や石油関連企業にとっては大打撃ですが、一般消費者にとっては、ガソリン価格が安くなるメリットがあります。
マーケットの大きな変動は、思わぬ所で、巨大なロスを与えることが多いです。2008-2009年にかけての世界金融危機の時に比べれば、物凄いレバレッジをかけてスペキュレーションをしている企業は少ないと思いますが、いずれにしても、新型コロナウイルスが引き金となっている経済危機なので、早い終息を願いたいところです。