6月は、LGBTQ プライド月間 (Pride Month) です。ニューヨークでは、LGBTQ運動の象徴となっている虹色の旗が街中ではためいていて、このプライド月間をとても大事にしています。例年、ニューヨークでは、6月に大規模なプライドパレードが開催され、世界中からたくさんの人々がやって来て、とても賑やかになるのですが、今年は、コロナのため中止となり、静かな6月を迎えています。
現在、世界中に広がっている、LGBTQ 運動の大きな転機となったのが、1969年にストーンウォールインで起こった、ストーンウォールの反乱です。ストーンウォールインのお隣にある公園、クリストファーパークは、そんな歴史的な出来事を記念し、2016年に、ストーンウォールナショナルモニュメント (Stonewall National Monument) となり、ニューヨークの名所の一つとなりました。今年も LGBTQ の象徴である、レインボーフラッグが美しく飾られ、プライド月間をお祝いしています。
ストーンウォールナショナルモニュメント
ニューヨークには、自由の女神や、フェデラルホールをはじめ、アメリカの歴史上重要となる、ナショナルモニュメントが色々ありますが、そこに2016年に加わったばかりの最新のナショナルモニュメントが、グリニッジビレッジにある、ストーンウォールナショナルモニュメント (Stonewall National Monument) です。
ストーンウォールナショナルモニュメントとなっているのは、とても小さな憩いの公園、クリストファーパークです。その歴史は古く、なんと1837年に誕生した公園です。
そんな歴史ある公園には、南北戦争時代の北軍の将軍、Philip Sheridan 像の他、中央には、ひと際目立つ、シンボル的な存在の白い像のアートがあります。George Segal 作、”Gay Liberation” と題された作品です。
ストーンウォール事件10周年記念の1979年に製作を依頼され、1980年に完成しました。ところが、当時はこの作品を受け入れられず、今のように、クリストファーパークに飾られるようになったのは、10年以上も経った、1992年からです。同モチーフの作品は、シリコンバレーにある名門、スタンフォード大学 にも飾られています。
行き方は、地下鉄1番のクリストファーストリート駅が最寄り駅となり降りてすぐです。
ストーンウォールナショナルモニュメント Stonewall National Monument
38-64 Christopher St, New York, NY 10014 地図
ストーンウォールイン
ストーンウォールナショナルモニュメントの小さな公園、クリストファーパークのお隣には、LGBTQ運動のきっかけとなった、ストーンウォールイン (Stonewall Inn) という歴史的な場所があります。1969年6月28日に起こったストーンウォールイン事件 (Stonewall riots) の舞台となった場所です。
ストーンウォールイン (Stonewall Inn) は、1970年にはじまったこのプライドパレードの原点となる、1969年、LGBTと対立していた警察と市民との争いが起こった場所であり、その後のLGBTの市民権運動の象徴となっている歴史的な場所です。
ストーンウォールイン (Stonewall Inn) は、オーナーは変わりましたが、今もバーとして営業しています。例年はとても賑やかなのですが、今年は、コロナロックダウン以降しばらく閑散としています。経営は厳しい状態となっているようですが、GoFundMe で、無事、資金集めに成功したようで、安心です。
ストーンウォールの反乱
LGBTQ 運動の大きな転機となったのが、1969年にストーンウォールインで起こった、それまで目の敵にされ続けていた警察に対し反抗した、ストーンウォールの反乱です。
ストーンウォールの反乱はどうして起こったの?ストーンウォールの反乱って何?というのをこちらの映像で分かりやすく紹介されています。
現在、全米を中心に世界に拡大している、Black Lives Matter の抗議運動 のきっかけは、警察の暴力行為 (Police Brutality) を白日に晒すこととなったジョージ・フロイドさん事件ですが、ゲイの人々に対する差別が大きかった時代、1969年に起こった、警察への反抗、ストーンウォールの反乱も、長年に渡る、警察によるゲイの人々に対する度重なる嫌がらせや暴力行為が原因で、その後のLGBTQ運動の盛り上がりのきっかけとなり、長い年月をかけ、権利の向上、差別の廃止などが成し遂げられてきました。
古くは、以前、パスオーバーの Matzo で紹介したことがある、モーゼでお馴染みの旧約聖書の出エジプト記のお話にもありますが、ストーンウォールの反乱が起こった当時は、ベトナム戦争が起こり、今年は、コロナの大感染が起こり、こういう社会的な大きな変化が起こり、人々が大きなストレスに晒されるようになると、歴史的に見ても、不公正など社会的な不満が沸き上がり、変化を求める運動が沸き起こるようになることが多いと言えると思います。
プライドパレード
ストーンウォールの反乱の事件の翌年、1970年からはじまったのが、プライドパレードです。例年大盛り上がりのニューヨークの大イベントとなっています。
2019年は、ストーンウォールの反乱から50周年目を迎えた記念すべき年で、大盛り上がりでした。
かつては、ゲイとして一括りで、ゲイパレードと呼ばれることもありましたが、現在では、LGBT として広く認知されるようになり、ここ最近では、その他の様々な性的マイノリティを含め、LGBTQ+ と呼ばれています。
L レズビアン
G ゲイ
B バイセクシャル
T トランスジェンダー
Q クィア (Queer)
2020年は、プライドパレードの50周年記念の年でしたが、コロナのために、残念ながらパレードイベントも中止となってしまいました。その代わりに、バーチュアルプライド 2020 (Virtual Pride 2020) となり、NYC Pride や Global Pride では、様々なオンラインイベントを開催しています。NYC Pride は、6月28日の正午から午後2時に、ABC のチャンネル7 または オンライン でストリームされます。
ニューヨークの虹スポット
ニューヨークの様々な場所に、レインボーフラッグが掲げられています。
ワールドトレードセンターの オキュラス にも巨大なレインボーフラッグが登場しています。
ニューヨークの街中のバーやレストランも。
ワンワールドトレードセンター も虹のライトアップ。
ソーホーなど、ブティックショップのお店屋さんも虹色の旗がたくさんはためいています。
その他、5番街にも巨大な虹が広がっていたりと6月のニューヨークは、様々なスポットで、虹が大きく掲げられています。