セントラルパークのジャクリーヌ・オナシス・ケネディ貯水池 (Reservoir) は、今、渡り鳥をはじめ水鳥たちの楽園となっています。園内で最も大きな池で、他の池が凍ってしまう冬の極寒の日でもこの池だけは完全に凍り付くことがないので、鳥たちが集まってくるのです。貯水池では、お馴染みのマガモや、カナダグース、ハシビロガモをはじめ様々な種類のカモやカモメが見られますが、先日、見かけたのが、一羽の美しい白鳥です。白鳥の優雅な泳ぎと、羽繕いする姿を見ていると、バレエの定番、白鳥の湖の気分になって来ました。
ニューヨークでは、2月は、雪が多く、極寒の日が続いてこともあり、普段は、カモでいっぱいのセントラルパークのザ・レイク(The Lake) の池もすっかり雪と氷に覆われ、まるで陸地のようになり閑散としていました。日中は、暖かくなり氷が溶け出して来ていましたが、前日や早朝はまだ池が完全に凍っていたのか、ボウブリッジの下や、池の氷面にたくさんの人の足跡が残されていました。
他の池が凍ってしまうときでも、完全に凍りついてしまうことがほとんどないのが、セントラルパークの中央に位置する、ジャクリーヌ・オナシス・ケネディ貯水池(Reservoir) です。陸に近い水面は、一部凍りついていて、普段は、ジョギングで人気の池の周囲の小道も雪が残っています。
リザーバーは、他の池が凍っていまう冬になると、カモたちの人気スポットとなります。いつ訪れても必ずいるのが、カナダガン (Canada Goose) と、マガモ (Mallard) です。
太陽がさんさんと輝くお天気のいい日には、噴水に虹がかかり、いつも以上に美しい景色になります。
雪道で、さすがに、ランニングをする人はいつもより少ないのですが、お天気のいい週末には、お散歩や景色を楽しみにやって来る人や、ウィズコロナの中、新たな趣味として、カメラや双眼鏡を片手にバードウォッチングにやって来る人も増えています。
そんなたくさんのカモたちの中で、一際目立っていたのが、真っ白な美しい白鳥でした。
カモは、賑やかな鳴き声を発していることが多いのですが、白鳥はとても静かな鳥です。そんな白鳥の名前は、あまり鳴かない寡黙な白鳥で、英語で、Mute Swan と呼び、日本語では、コブハクチョウとして知られています。コブハクチョウは、ヨーロッパからアジアにかけて生息し、もともと北米にはいなかった外来種です。その姿振る舞いからヨーロッパで特に愛されている白鳥で、19世紀後半には、お屋敷のペットや公園での鑑賞用などで北米にももたらされ、それが、野生化し増えています。
羽を広げたり、長い首をクネクネ動かしたり、と優雅な白鳥の姿を見ていると、バレエの白鳥の湖が思い浮かびます。
逆さまになって水草を食べたり、長細い首を使って上手に羽繕いしたりと優雅でありながら同時にコミカルな動きもするので見ていると面白いです。
白鳥を見ているとバレエの白鳥の湖を思い出してしまいます。ニューヨーク同様、世界各地で、バレエをはじめとしたパフォーミングアートの公演の中止が続いていますが、昨年のロックダウン中、バレエダンサー達が自宅のバスタブで共演する白鳥の湖の面白いコレオグラフィーの作品が登場しました。
New York City Ballet は、来年2022年2月11日から20日まで、白鳥の湖 の公演を予定しています。そのころまでに無事コロナが収束し、ぜひ再開してくれることを期待しています。
白鳥の他、普段と違った動きをしていて、目についたのが、黒いプラスチックのシャベルのようなくちばしをもつ、ハシビロガモ (Northern Shoveler) という鳥です。普段は、群れになって、水面でグルグル回転していることが多い鳥なのですが、最近は、群れにならず、一匹でいたりカップルで過ごしている姿をよく目にします。
こちらは、先日、セントラルパークの北西にあるザ・プール(The Pool) で見かけたハシビロガモの可愛い動きです。
この他、ヒメハジロ(Bufflehead)、オウギアイサ(Hooded Merganser) などもよく見かけます。
リザーバーに、スキー姿で、ワンちゃんの散歩をしている人もいます。犬ぞりのように見えて最初ビックリしてしまいました。
氷の上では、カモメの大群がくつろいでいます。珍しいものを含め色々な種類のカモメがいるようですが、遠いので識別は難しいかも。
空を見上げてみると、たくさんのカモメたちが気持ち良さそうに羽ばたいています。
この日は、まだ明るい内に、美しい月が顔を出していました。月もだいぶ満ちて来ましたが、明日2021年2月26日から明後日2月27日にかけての夜が、満月となります。ニューヨークの月のカレンダーは、こちら です。アメリカでは、雪の多い2月の満月は「スノームーン」と呼ばれています。
NYC では、プロスペクトパークの Lake でも白鳥をよく見かけます。
ニューヨーク州全域では、歴史的に白鳥が飼われていたお屋敷が多かった、ロングアイランドやハドソンバレーに多く生息している他、オンタリオ湖周辺でも見られるようになっています。