メトロポリタン美術館の新しい分館となる、The Met Breuer(メット・ブロイヤー)が、2016年3月18日に元ホイットニー美術館の建物にオープンしました!
メットブロイヤー (Met Breuer) は、メトロポリタン美術館から歩いて10分程、アッパーイーストサイドのマディソンアベニュー沿いの 74 St と75 St の間にある近現代アートに特化した美術館です。
Marcel Breuer によりデザインされたコンクリート造りのブルータリスト建築で、1966年に完成した建物です。
The Met Breuer(メット・ブロイヤー)は、メトロポリタン美術館の本館とは違う趣向のコレクションになるということだったのですが、蓋を開けてみれば、これはすごい!レオナルドダヴィンチ、ミケランジェロ、ティツィアーノ、エルグレコ、レンブラント、ピカソなど巨匠達の作品がずらりと並んでいます。さすがメット!ブラボーです!メトロポリタン美術館のキュレーターによる作品のセレクションの質の高さはやはり世界級レベル。期待以上のものを見せてくれる美術館です。
メット・ブロイヤー とは
メトロポリタン美術館の新しい分館、The Met Breuer(メット・ブロイヤー)、この名前の由来は、この新しい美術館が入っている建物の建築家、マルセル・ブロイヤー (Marcel Breuer) さんの名前からきています。
このメット・ブロイヤーの分館は、2014年までホイットニー美術館があった場所にあります。2015年に ホイットニー美術館 はミートパッキングエリアに新しくオープンしました。そして、この旧ホイットニー美術館だった場所に、メトロポリタン美術館がやってくることになりました。
メトロポリタン美術館は本館「The Met Fifth Avenue」、「The Met Cloisters(クロイスター美術館)」、そして、この新館「The Met Breuer」全部で3つもの拠点を構えることとなりました。一度チケットを買えば、1日でこの3つの美術館全てをはしごして入場することができるのですが、果たして1日で周りきれるかどうか。。。というくらいすごい規模になってきました。
巨匠たちの未完成作品 “Unfinished” がすごい!
“Unfinished(未完成)” というテーマで、ルネッサンス時代から現代までの美術界の巨匠の未完成作品を集めた展示が行われています。とてもおもしろいテーマであり、そうそうたるメンバーの作品群に驚き、感動します。
この “Unfinished” の展示は、9月4日まで行われている現在の目玉の特別展です。
展示されている作品群のうちの4割は MET 所有のものだそうで、残りは世界各国のミュージアムやプライベートコレクションから集められてきました。
クリムトの未完成作品もありました。
ここにある3枚全て、ピカソの未完成作品ですが、他にも色々あります。モネ、ターナー、ルノアール、レンブラント、ジャコメッティ、ムンク、サージェント、マティス、セザンヌ、などなど、巨匠たちの描きかけの作品が色々ありとても興味深いです。
ミュージアムブックストア PHAIDON
The Met Breuer(メット・ブロイヤー)のミュージアムブックストアもとてもいい雰囲気です。
PHAIDON という本屋さんなのですが、メトロポリタン美術館直営のお店ではなく、2012年に、ニューヨークのビリオネア、Leon Blackさんが買収した、ロンドンベースの歴史あるアートや写真に特化した出版社の本屋さんのようです。そのため、メトロポリタン美術館の本館にあるギフトショップとはまた雰囲気が違います。
他ではなかなか見ない選りすぐりのセンスのいい、アートの専門書関連の本が揃っています。
ニッチな本が多く、日本の建築などに関する本もあり人気がありました。
ミュージアムカフェはおしゃれなブルーボトルコーヒー
5階にできた新しいミュージアムカフェはかっこいいブルーボトルコーヒーが入りました。
ニューヨークには名だたるコーヒー店がたくさんありますが、選ばれたのはブルーボトルコーヒーのようですね。
ブルックリン、ウィリアムズバーグのブルーボトルコーヒーのお店もとても雰囲気がいいのですが、この美術館に入ったお店もやはりとてもセンスのいい空間です。
このメット・ブロイヤー (The Met Breuer) のカフェは、入った瞬間思わず居座りたくなってしまうとても広いオープンスペースの素敵なくつろぎ空間になっています。お部屋の壁にはアートが飾られていて、ミュージアムのカフェとして本当におしゃれな素敵なカフェになっています。
ホイットニー美術館時代を思い起こさせる建物はそのままの雰囲気を保っています。
オープニング ジャズコンサート Vijay Iyer
3月18日にオープンした メトロポリタン美術館の新館、メット・ブロイヤー (The Met Breuer) のオープニングイベントとして、3月いっぱい、Vijay Iyerさんのジャズコンサートが行われていました。ローカルニューヨーカーにとってもうれしいイベントということで開演30分前から列ができるほど人気でした。メット・ブロイヤーの建物の1階、チケット売り場などのある階にあるとても小さなお部屋で行われた演奏会なので至近距離で音の振動がそのまま伝わってくるような迫力でした。ニューヨークでは、このような一流の音楽を楽しむことができるイベントも多くうれしいですね。
Vijay Iyerさんはジャズ界では珍しくインド系の方で、経歴がなかなかユニークです。幼い頃からバイオリンをやっていたようですが、大学では数学、物理を専攻、UCバークレーの博士課程では物理学の博士号を目指していたようですが、途中で、テクノロジーとアートの学際エリア、音楽の心理学という分野でPHDを取得することにしました。最近では、ジャズの作曲家として、そしてピアニストとして様々な賞を受賞するなど、ジャズ活動とともに、実はハーバード大学の教授もしています。こちらの記事で掘り下げて紹介されていますが、なかなかすごい人のようです。
こちらのビデオのような独特なセンスのジャズ演奏でした。
このように美術館でライブイベントなどが行われるようになってきているのを見ていると、今後、ミュージアムのあり方も変わっていくのかもしれません。それが象徴的にわかるのが、このMetLiveArtsです。音楽などの演奏もそうですが、その時、その場にいるからこそ体験できるような「ライブアート」の重要性がこれからますます高まっていくのではないかと思います。
メット・ブロイヤー美術館の行き方
メット・ブロイヤー (The Met Breuer) への行き方は、地下鉄6番線の77ストリート駅が最寄駅となります。
メトロポリタン美術館から、メットブロイヤーへの行き方は、セントラルパーク沿いに歩いて、75ストリートで曲がります。徒歩9分です。
メトロポリタン美術館本館と営業時間が多少違うので気をつけましょう。
定休日 月曜日 (サンクスギビングデー、12/25、1/1 も休館)
開館時間 火曜日ー水曜日: 10:00 a.m.–5:30 p.m.
木曜日&金曜日: 10:00 a.m.–9:00 p.m. 時間延長で開いている木曜日・金曜日おすすめです!
土曜日&日曜日: 10:00 a.m.–5:30 p.m.
※ 2020年8月 メット・ブロイヤー (The Met Breuer) は、閉館になりました。
フリックコレクションの一時的な移転先 となります。
メット・ブロイヤー The Met Breuer (Closed in 2020)
945 Madison Ave, New York, NY 10021
メットブロイヤーで開催された特別展:
→ ゲルハルト・リヒター Gerhard Richter 特別展 現代アートで最も有名なドイツ人アーティスト
→ エットレ・ソットサス特別展 カラフルで個性的なイタリアデザイン
メトロポリタン美術館の本館とクロイスター美術館も必見です。