メトロポリタン美術館 日本ギャラリー 源氏物語 1000年の歴史を誇る不朽の名作

Metropolitan Museum Japan (1)

ニューヨークのメトロポリタン美術館、日本ギャラリーでは、源氏物語の特別展、The Tale of Genji が開催中です。日本では、世界でも最古の歴史を誇る天皇家の代が替わり、新元号の令和がいよいよはじまりました。天皇を中心とした平安時代の貴族社会を描いた歴史的な長編小説である、紫式部の源氏物語は、11世紀初頭と1000年も前の作品ですが、現在でも日本の文化に大きな影響を与え続けている名作です。新元号、令和がスタートする今年、メトロポリタン美術館で、源氏物語に関する貴重な歴史的遺品の数々を見ることができます。

Metropolitan Museum Japan (29)

ニューヨークのアッパーイーストサイドにある世界有数の大きな美術館、メトロポリタン美術館の2階の北側にある、日本美術ギャラリーでは、現在、源氏物語の特別展、The Tale of Genji が開催されています。
源氏物語は、10世紀後半から11世紀前半の平安時代、藤原家が隆盛だった時代に活躍した女性作家、紫式部が描いた54帖からなる大作で、総文字数は、100万字を越えています。親王として出生した光源氏を中心に、その子孫にまで渡るとても長い期間に渡る物語で、物凄い数の人物が登場する壮大なストーリー展開のお話です。

Metropolitan Museum Japan (6)

会場には、16世紀後半から17世紀初頭の、室町時代から安土桃山時代にかけて活躍した絵師、土佐光吉と弟子たちによる美しいイラスト付きの源氏物語の数多くの帖が並んでいます。

Metropolitan Museum Japan (28)

こちらは、土佐光吉による源氏物語の第36帖、柏木帖。

Metropolitan Museum Japan (25)

源氏物語全54帖を収めることができる、とても美しい書箱です。

Metropolitan Museum Japan (27)

土佐光吉は、源氏物語にまつわる様々な作品を残しています。こちらは、第24帖の胡蝶を描いた源氏物語図屏風。

Metropolitan Museum Japan (14)

源氏物語手鑑の若菜下。正確には、描かれた年が、分かっていない作品が多いのですが、こちらは記録があるようで、1612年の作品だそうです。

Metropolitan Museum Japan (15)

鎌倉時代、13世紀に描かれたという源氏物語浮舟帖。源氏物語を描いた絵としては、12世紀の源氏物語絵巻がありますが、こちらは、現存する最古の源氏物語のイラスト付きの本だそうです。

Metropolitan Museum Japan (32)

歌人としても有名な天台宗の僧、慈円の筆とされる源氏物語の須磨帖。芸術的で美しい、13世紀の書です。

Metropolitan Museum Japan (26)

メトロポリタン美術館の日本美術のギャラリーでは、仏像のある常設展エリアも美しく飾りつけられています。中心にいるのは、12世紀、平安時代の大日如来坐像です。

Metropolitan Museum Japan (31)

こちらも平安時代の不動明王像です。

Metropolitan Museum Japan (30)

更級日記の作者で、源氏物語の熱烈なファンでもある菅原孝標女の石山寺参詣を描いた石山寺縁起絵巻第三巻。14世紀の作品です。石山寺は、紫式部が源氏物語の着想を得たと言われる源氏物語縁の場所でもあります。

Metropolitan Museum Japan (24)

15世紀から16世紀に描かれたという、美しい扇がたくさん描かれた源氏物語絵扇面散屏風も素敵でした。

Metropolitan Museum Japan (18)

源氏物語の作者である紫式部を描いた作品も色々と展示されています。こちらは、16世紀に描かれた紫式部聖像です。

Metropolitan Museum Japan (22)

土佐光吉の子孫、土左光成の作品で、紫式部・須磨・明石図です。17世紀後半から18世紀にかけて描かれたもので、紫式部が、源氏物語の着想を得たと言われる石山寺から琵琶湖を臨む光景と、源氏物語の二つのシーンからなる作品です。

Metropolitan Museum Japan (23)

土佐派が朝廷の絵師だったのに対し、幕府の絵師だったのが狩野派です。こちらは、17世紀の狩野派の作品、源氏物語図屏風の若紫です。金箔が印象的です。

Metropolitan Museum Japan (21)

ゆったりとくつろげるスペースの奥には、国宝にも指定されている俵屋宗達の1641年の作品、源氏物語関屋・澪標図屏風がありました。俵屋宗達は、同時代の本阿弥光悦、後の尾形光琳と並び、狩野派や土佐派とは異なる独自のスタイルを築き、江戸時代の町人文化として知られる琳派の祖の一人です。

Metropolitan Museum Japan (33)

こちらも、17世紀の作品。ドラマチックな第9帖を描いた車争図屏風です。

Metropolitan Museum Japan (12)

源氏物語の葵から世阿弥が製作した能楽作品、葵上に登場するのが、般若と泥眼です。そんな能面も展示されています。

Metropolitan Museum Japan (13)

源氏物語のエピソード名、若紫と書かれた美しい楓と竹の絵柄の振袖。こちらは、17世紀後半のものです。

Metropolitan Museum Japan (20)

普段は、茶室のような雰囲気の畳部屋も、平安時代の雰囲気を出し、源氏物語風になっています。

Metropolitan Museum Japan (17)

徳川13代将軍、家定が妻となる篤姫との結婚時、1856年に製作されたという駕籠。内部に源氏物語の一幕が描かれています。

Metropolitan Museum Japan (16)

源氏物語の一幕が、このように、かるたのテーマになったり、

Metropolitan Museum Japan (9)

貝の飾り物のテーマになったりして、江戸時代にも大変人気の物語だったことが伺えます。

Metropolitan Museum Japan (11)

松岡映丘さんの源氏物語の一幕を描いた1912年の作品、宇治の宮の姫君たち。

Metropolitan Museum Japan (5)

源氏物語を漫画で描いた、あさきゆめみしの作者、大和和紀さんの美しい原画も展示されています。

Metropolitan Museum Japan (2)

他にも、色々と興味深い歴史的な美術品がたくさん展示されています。源氏物語が1000年もの時代を越え、愛され続ける不朽の名作であることがよく伝わってくる特別展になっています。最近では、多言語への素晴らしい翻訳のおかげもあり、日本の古典文学が世界の人々の間でも広く知られるようになってきています。

Metropolitan Museum Japan (3)

メトロポリタン美術館、日本ギャラリーの見どころは、こちらもどうぞ。
日本ギャラリーのマップはこちらの記事に載っていますが、日本アートセクションは、ギャラリー223 から ギャラリー232 までです。

メトロポリタン美術館 日本アートの見どころ 豪華な日本美術が勢揃い!

世界的にも有名なニューヨークのメトロポリタン美術館は、世界の様々な名作アートが大集合する素晴らしい美術館です。

メトロポリタン美術館 見どころ有名作品 完全攻略法

メトロポリタン美術館
Metropolitan Museum of Art (The Met Fifth Avenue)
1000 5th Ave, New York, NY 10028 MAP

メトロポリタン美術館 日本ギャラリー 源氏物語 1000年の歴史を誇る不朽の名作 was last modified: 4月 25th, 2022 by mikissh