MET Thomas Cole (9)

メトロポリタン美術館 トーマスコール特別展 大西洋を行き来し活躍したハドソンリバー派の風景画アーティスト

MET Thomas Cole (9)

メトロポリタン美術館では、19世紀にアメリカで活躍したトーマス・コール (Thomas Cole) の特別展 “Thomas Cole’s Journey: Atlantic Crossings” がはじまりました。イギリスで生まれアメリカに移住し、アメリカの大自然をロマン主義的に描いたハドソンリバー派の代表として有名なアーティストですが、途中、アメリカからイギリス、イタリアなども旅し、ターナー、ジョン・コンスタブルらイギリスで活躍中のアーティストの影響を受けると共に、ローマ周辺の景観の作品も数多く残しています。今回の特別展では、そんなトーマス・コールが描いた数々の作品を一堂に見ることができます。5つの作品からなる帝国の推移を描いた大作 “The Course of Empire” は、迫力があり、見入っている人も多かったです。

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メトロポリタン美術館でスタートした “Thomas Cole’s Journey: Atlantic Crossings” は、アメリカセクションの一階で行われており、トーマスコールの作品とともにトーマスコールに影響を受けたアーティスト、そして影響を与えたとされる関連するアーティストの作品が時代順に展示されています。
トーマス・コールは、イギリスで生まれ、家族でアメリカのオハイオ州に移住したそうですが、その後、ポートレートアーティストとしてアーティストのキャリアをスタートします。次第に風景画にシフトし、ニューヨーク周辺などアメリカらしい景色を描きだします。こちらのようなキャッツキルズの山の景色 (View of Round-Top in the Catskill Mountains) などを描いています。

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実際に見た風景画だけでなく、本などからも着想を得ていたようで、こちらは、モヒカンインディアンの集会の様子を描いた作品、Scene from “The Last of the Mohicans” Cora Kneeling at the Feet of Tamenund です。

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こちらは、エデンの園 (The Garden of Eden)。

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美しい紅葉のナイアガラの滝なども描いています。

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そんなトーマス・コールの大きな転機は、ヨーロッパを訪れた時でした。1829年から1832年にかけて、イギリスとイタリアを旅したそうで、その後の作品などに大きな影響が見てとれます。
そんなヨーロッパ旅行の途中トーマス・コールがイギリスで鑑賞し、影響を受けたアーティストの作品も展示されています。こちらは、19世紀前半、主観的で、感性を尊重するロマン主義の時代に活躍したイギリスの著名なアーティスト、J. M. W. Turner の作品、Ulysses Deriding Polyphemus – Homer’s Odyssey (1829) も展示されています。風景画ということで、現在の写真に相当する存在だったと思いますが、単なる写実的な風景以上に伝わってくるものがある作品です。イギリスの産業革命と世界進出の時代ということもあり、海と船をモチーフとした作品が多いアーティストです。

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同じく、ロマン主義で風景を独特の感性で描いた John Constable の作品、Hadleigh Castle, The Mouth of the Thames – Morning after a Stormy Night(1829)。

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こちらは、The Opening of Waterloo Bridge (“Whitehall Stairs, June 18th, 1817”)(1832)。そんな時代背景の下、ロマン主義的にアメリカの風景を描いたトーマスコールの歴史的な背景が分かります。

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ちなみに、19世紀前半のイギリスの2大アーティストターナーとコンスタブルは、ライバル関係にあったようです。ターナーがドラマチックなモチーフを感情を込めて大袈裟に描くのに対し、コンスタブルは、現実をそのまま詳細に描き、同じ風景画の世界でも、作風に大きな違いがあります。
こちらの映像では、二人の違いについて紹介されています。

イタリアへの旅で描かれた、その興奮が伝わってくる作品の数々も並んでいます。風景画は、写真がないこの時代に、その感動を視覚的に伝える唯一の方法です。
ローマのコロッセオ。

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古代ローマの水道橋。

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フィレンツェの景色 (View of Florence from San Miniato)。

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古代ローマ遺跡に影響を受けたと思われるシューレアリズムのような作品、The Titan’s Goblet などもありました。

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普段は ニューヨークヒストリカルソサイエティー にある5つ絵からなる大作、The Course of Empire もイタリアでの旅で学んだ古代ローマ帝国の栄華盛衰に強く影響を受けていると思われます。
帝国の繁栄 (The Course of Empire: The Consummation of Empire)。

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崩壊 (The Course of Empire: Destruction)。

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荒廃 (The Course of Empire: Desolation) していきます。

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View from Mount Holyoke, Northampton, Massachusetts, after a Thunderstorm—The Oxbow (1836)

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View on the Catskill—Early Autumn (1836-1837)

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トーマスコールが使用したパレットも展示されていました。

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トーマスコールと関係の深いハドソンリバー派のアーティストの作品も展示されています。こちらは、トーマスコールの旅仲間でもある Asher Brown Durand の作品、Progress (The Advance of Civilization)。トーマスコールとは少し違った雰囲気です。Frederic Edwin Church の作品も何点かありました。

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メトロポリタン美術館によるトーマスコール特別展の紹介ビデオをご覧ください。

ミケランジェロ展は終了となりましたが、見どころいっぱいのメトロポリタン美術館についてはこちらをどうぞ。

メトロポリタン美術館 ミュージアム見どころ完全攻略法

アップステートニューヨークのキャッツキルズなどでは、トーマスコールの描いた世界を今でも楽しむことができます。

キャッツキルズで絶景ハイキング ハドソンリバー派絵画の世界

メトロポリタン美術館 トーマスコール特別展 大西洋を行き来し活躍したハドソンリバー派の風景画アーティスト was last modified: 2月 14th, 2018 by mikissh