アジアソサエティミュージアム ニューヨークで珍しいアジア各国アーティストの現代アート特別展トリエニアル開催!

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ニューヨークには、世界の様々な文化や歴史、アートをテーマとしたミュージアムがありますが、アジアに特化し、アジアに関する様々なテーマの展示が行われているのが、アッパーイーストサイドにある、アジアソサエティ (Asia Society) です。アジアソサエティでは、今、アジアソサエティトリエニアル (Asian Society Triennial) という、3年に1度、世界的にはまだあまり知られていない、アジア出身の有望な現代アーティストたちを紹介して行こうという大規模なグループ展が開催中です。2020年が記念すべき第一回目となる、トリエニアル (Triennial) ですが、もともとは6月からの開催が予定されており、ウィズコロナのため延期され、いよいよ先日、10月27日からはじまりました。ニューヨークでは、普段あまり見かけることのない、珍しいアジアらしいテイストのコンテンポラリーアート作品が大集合していて、新鮮で面白い特別展です。

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アジアソサエティ

アジアの文化や歴史を世界に伝えることを目的とした、アジアソサエティ (Asia Society) は、世界で活動している NPO で、その本拠地となっているのが、ニューヨークのアッパーイーストサイド、パークアベニュー沿いの 70 St です。石油王で、ニューヨークをはじめとした不動産開発で知られる、ロックフェラー家の John D. Rockefeller III により、1956年に設立されました。ヘッドクオーターとなっている建物は、1980年に完成し、その後、拡大リノベーションを経て、ミュージアムのギャラリースペースなどが追加されながら、現在に至っています。ミュージアムでは、ロックフェラー家のコレクションが展示されたり、アジアをテーマとした様々な特別展が開催されています。

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トリエニアル

ニューヨークのアジアソサエティに併設されたミュージアムでは、新企画となる、3年に1度の開催が予定されている、アジア系コンテンポラリーアーティストたちのグループ展の第一回目となる、“We Do Not Dream Alone” と題されたトリエニアル がはじまりました。ウィズコロナで予定より遅れての開催で、期間は、2020年10月27日から2021年6月27日までで、途中、パート1、パート2と作品を入れ替え、アジア20カ国出身、40人以上ものアーティストの作品が展示されます。トリエニアル参加作品の中には、館内だけでなく、ニューヨークの街中に、パブリックアートとしても飾られるものもあります。欧米のミュージアムでアジアがテーマというと、仏像をはじめとした歴史的な遺品の展示のイメージがありますが、トリエニアルでは、珍しい現在進行形のアジアらしい現代アート作品の数々が見られます。題名の We Do Not Dream Alone は、1964年に出版された、オノヨーコさんのコンセプトアートを集めたアート本、Grapefruit に登場した一節、”A dream you dream alone may be a dream, but a dream two people dream together is a reality” から名付けられたそうです。

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アジアソサエティも、現在、ウィズコロナの特別ルールで、木曜日から日曜日まで週4日間のオープンで、マスク着用、時間指定制の事前予約が必須となっています。入場料は無料で、こちら から予約できます。

アジアソサエティのトリエニアルの会場となっているのは、2階と3階の2フロアで、絵画、彫刻、工芸、映像、オルゴールなど多種多様な媒体のアート作品が展示されています。トイレは地下にあり、エレベーターに乗る場合はウィズコロナルールで一度に2人までとなっています。

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トリエニアル作品紹介

アジアソサエティのトリエニアルは、驚くほどインターナショナルなアーティスト揃いで、みんな個性的で新鮮です。3階フロアの作品から順番に紹介していきます。
3階は、アジアらしい繊細で細やかな感じの様々な分野の工芸品的なクラフトアートが中心に展示されています。
こちらは、イスラエル出身、アメリカで活動するアーティスト、Ghiora Aharoni さんの遥か古代を彷彿とさせるファッションアートです。腕には、見たことがないような不思議な文字が描かれています。

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シンガポールとニューヨークで活動するアーティスト、Jason Wee さんの作品は、人の動き、コレオグラフィーを表現したもので、なんとジグソーパズルになっています。

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クウェート出身で、南アジアでアートを学んだ Hamra Abbas さんのミニチュア絵画です。写真のように見えますが、小さなスペースにミニチュアのように丁寧に、写実的に描かれていてビックリします。

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パレスチナ系としてアメリカで生まれ、活動するアーティスト、Jordan Nassar さんのとても細かい伝統的パレスチナ模様の刺繍作品。

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こちらの中国の水墨画のような雰囲気の作品の数々は、インドで20世紀中頃に活躍したアーティスト、Nandalal Bose さんが描いたものです。

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マレーシア人アーティスト、Anne Samat さんの東南アジアの寺院風のカラフルで細やかな作品は、木材、織物、金属、プラスチックなどの様々な既製品が見事に組み合わされ、構成されています。

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韓国人アーティスト、Kyungah Ham さんのこちらの抽象表現アート風の作品は、なんと刺繍でできた繊細な作品です。実は、韓国で活動する Kyungah Ham さんがデザインし、北朝鮮のアーティストさんが主に製作を手掛け、仕上げを行っているというコラボ作品だそうです。

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シャンデリアやコマのようにも見える躍動感のある刺繍作品も、とても細やかな仕上がりの作品で感動です。

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3階の小ギャラリーは、一風変わった構成で、論語や独立宣言など歴史的な書と一緒にアジアらしい屏風アートが展示されています。こちらは、”We The People: Xu Bing and Sun Xun Respond to the Declaration of Independence” と題された展示で、アメリカ建国の父たちが理想とした政府やリーダーシップ像に影響を与えたとされる論語がアジア文化の一つとしてフィーチャーされています。
中国人アーティスト、Sun Xun さんの “July Coming Soon” と題された作品には、アジア風の長い屏風の背景に、アメリカの象徴的な自由の女神とトーチが描かれ、組み合わせが面白い作品でした。

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2階に移動すると、少し雰囲気が変わり、コンセプトアート的な作品が並んでいます。ギャラリー前の広場で、出迎えてくれるのが、上海で活動するアーティスト、Xu Zhen さんのギリシア風の像に仏像風の像が合わさった2体の彫刻です。パート1では、アジアソサエティ内に飾られていますが、パート2では、アジアソサエティ前のパークベニューにパブリックアートとして飾られる予定になっています。

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広いギャラリーの中央には、シリア出身でアメリカで活動するアーティスト、Kevork Mourad さんのパベルの塔をモチーフとした存在感のある彫刻作品があります。彫刻作品には、細やかなデザインがプリントされていて、その周囲には、そんなデザインと調和した感じでの、インドネシア人アーティスト、Christine Ay Tjoe さんのリトグラフ用クレヨンで描かれた独特の風合いの作品が並んでいます。

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韓国出身で、ニューヨークで活動するアーティスト、Kimsooja さんの映像作品。世界の様々な国の国旗が、次々と登場し、とても滑らかに映し出されていきます。

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こちらは、日常の風景の中に、ヨーロッパが混在する、東南アジアらしい光景を描いた、タイ人アーティスト、Natee Utarit さんの作品。

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少しマティスを彷彿とさせる、独特のカラフルな色使いの絵画は、インド人アーティスト、Arpita Singh さんの作品です。

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ギャラリー内には、小さな世界 (It’s a Small World) の旋律を奏でるオルゴールの音色が響き渡っていました。ディズニーランドの It’s a Small World を彷彿とさせる、こちらの作品は、日本とオーストラリアのカップルアーティスト、 Ken + Julia Yonetani の “Three Wishes” と題された作品で、核分裂技術を利用した原子力発電の危険性がテーマとなっています。

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2階の小ギャラリーでは、韓国人アーティスト、Minouk Lim さんの南北分裂の悲劇をテーマとした、映像と彫刻などが組み合わされた、インストレーションアートが展示されています。

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アジアソサエティトリエニアルのパート1は、2020年10月27日から2021年2月7日、パート2は、2021年3月16日から6月27日の開催となっています。

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以前、鎌倉時代の仏像をテーマとした特別展を見に行ったことがありますが、アジアソサエティでは、アジア各国の様々なテーマの特別展が行われます。

ニューヨークで盛り上がる鎌倉の仏像アート展 Asia Society Kamakura

アジアソサエティ Asia Society
725 Park Ave, New York, NY 10021 地図

アジアソサエティミュージアム ニューヨークで珍しいアジア各国アーティストの現代アート特別展トリエニアル開催! was last modified: 9月 14th, 2022 by mikissh