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いよいよトランプ大統領の迷走で振り回されるアメリカ、そして世界

トランプ大統領が誕生し、まだ10日程しかたっていませんが、世界を巻き込んだアメリカの迷走がはじまりつつあります。上手く大衆に訴えかける鋭い感覚と注目を集めるための演出上手なのは分かりますが、それに加え、もしかすると思慮深く、戦略的で、実際に大統領になったら、それなりに大統領としてふさわしい言動や行動に変化するのではないか、という期待もかすかにありましたが、スタートしてこの10日間の様子を見ている限り、はかない期待だったかもしれません。緊急性のない “Executive Order” を連発したりと必要以上に大統領の権限を行使し、権力を見せつけるかのような行動に出たりと、自己中心的な振る舞いが特に目についています。

入国制限と難民に関する大統領令 Executive Order 発動

選挙戦中はまさに勝利のために役を演じているのでは、という雰囲気もありましたが、実際に大統領となっても変化する様子はなく、本当にあの言動は本心からのものだったのかもしれない、ということを印象づけた10日間だったと思います。入国管理を強化する象徴とも思われた、メキシコ国境の大きな壁 “Huge Wall” も本気のようで、その費用は関税を通してメキシコに支払わせると言っていますが、実際に影響を受けるのはアメリカの一般市民となり、実行されれば貿易は必ず減少します。
そして、最も物議を醸しているのが、イラク、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの国籍を持つ者のアメリカへの入国禁止の “Executive Order” です。流動的で、ターゲットの国をどのように選んだのか、誰が入国拒否されるのかの条件も曖昧な状態でのスタートで、最初は、グリーンカード保持者など、アメリカ国内での滞在権利があるにもかかわらず入国を止められていました。昨日のホワイトハウスの発表によると国籍、グリーンカードを保持していれば入国できるとしていますが、この問題は引き続き物議を醸しています。

今回の入国制限と難民に関する “Executive Order” については、こちらのビデオで分かり易く解説されています。

そして特定の国の人々の入国禁止の Executive Order の行使に関しては、様々な批判や抗議デモが行われています。早速、ワシントン州の検事総長が訴えを起こしていて、他にも続々と続いていくと思われます。

そして、こちらがホワイトハウスのまたまた報復的な対応。司法省は人事権など様々な権限を握る大統領に従順なべきか、法律に従順なべきか、当たり前と言えば当たり前ですが、普段あまり認識されることはありませんが、大きなコンフリクトを抱えています。

危険な大統領令 Executive Order とは?

実はこの他にも、かなりの勢いで “Executive Order” や、”Presidential Memorandum” などの Presidential Action が発表されています。普段、それほど目につくことのない「大統領令 “Executive Order”」 ですが、それを発令する人によってはかなり危険な存在となりかねないことが強くアピールされたと思います。
“Executive Order” とは?はこちらのビデオをどうぞ。

ちなみに、過去の “Executive Order” の事例として、太平洋戦争中の日系人強制収容が挙げられます。フランクリン・ルーズベルト大統領による大統領令 (Execurive Order) 9066号によって、西海岸の日系人の強制収容へとつながったことなどもありました。

大統領の権限や政府の在り方を見直す必要性?

アメリカの雇用、雇用、と叫んでいますが、ビジネスはギブ&テイク、あまりにアメリカ第一主義を掲げ、一人の人物が好き勝手にルールを作り、話し合いもないまま、簡単に新しい法律を施行できてしまうような国に、他国からビジネスが喜んでやってくる状態を作り出すことは難しいかもしれません。

国家をはじめ、組織は常に複雑に拡大する方向に進んで行きます。法律の範囲内で何でもありのビジネスとは異なり、通常、国のトップは、トップとしての強大な力を意識し、良心とバランス感覚を持って行政を行い、少なくともその強大さを見せつけることはしません。本来であれば、大きな波風を立てず裏方に徹し、できるだけ公平に国民が生活、経済活動などを行えるようにするのが政府の役割だと思いますが、トランプさんの世界では全く別の理想があるのかもしれません。アメリカの Founding Fathers 達が遠い昔、アメリカの制度をデザインする時に、恐れていたように、長い年月をかけ、とても強大になった政府を、一人の人間が好き勝手にコントロールするという現実は、まさに最悪のシナリオかもしれません。国家の危険性や矛盾をさらけ出すことがトランプさんの真の狙いだとしたらビックリですが、国家の力のダウンサイジング、政府トップの権限の在り方などへの見直しが早急に必要となっているのかもしれません。

いよいよトランプ大統領の迷走で振り回されるアメリカ、そして世界 was last modified: 1月 31st, 2017 by mikissh