メトロポリタンオペラ 華麗なるトゥーランドット

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ニューヨークの秋から春にかけての楽しみの一つであるメトロポリタンオペラ (Met Opera) が9月後半から始まりました。今シーズンも様々な名作が登場、全26作品、全220回もの公演が行われる予定となっており、どの作品を見ようかと悩んでしまいます。今年最初となるオペラ鑑賞で訪れてみたのは、プッチーニのトゥーランドット (Turandot) です。秋からスタートする公演シーズン中のリンカーンセンターは、いつ訪れても別世界の美しさがあり、ライトアップされた建物と夜の噴水はうっとりするほど美しい光景です。

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リンカーンセンターのメトロポリタンオペラハウスの中は、夜の大人のキラキラとした世界が広がっています。
オペラハウスは黄金の花の天井が美しく、とてもゴージャスな雰囲気の会場です。

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トゥーランドット (Turandot) は、ラ・ボエーム (La bohème)、トスカ (Tosca) などいくつもの有名な作品を残しているオペラの作曲家であるプッチーニ (Giacomo Puccini) が手掛けた最後の作品です。実は生存中にトゥーランドットの作品を完成させることができず、最終的に別の作曲家 Franco Alfano により、1926年に完成しました。トゥーランドット (Turandot) のストーリーは、ペルシアに古くから伝わるお話で、それがヨーロッパへ伝わり、東洋がまだ未知の時代であった18世紀に、ヨーロッパで人気を博した物語のようです。
イタリア語のオペラで、席の目の前の英語の字幕を見ながら鑑賞できますが、初めての人はストーリーをちょっとだけでも予習してきた方がいいかもしれません。

トゥーランドット (Turandot) の簡単なあらすじはこんな感じです。

舞台は中国です。タイトルのトゥーランドット (Turandot) というのは、主人公である中国皇帝の娘、王女様の名前です。

トゥーランドット (Turandot) のあらすじ

第一幕
美しいトゥーランドット (Turandot) 王女と結婚するためには条件がありました。それは、王女が出す3つの謎を解くことです。挑戦し失敗すると命を失うという非常に厳しいもので、多くの犠牲者が出ていました。
そんな中、ダッタン王国の王子、カラフが挑戦することになりました。

第二幕
トゥーランドット (Turandot) 王女とカラフの謎解き対決です。

第一の謎「毎晩生まれて来ては明け方には死んでしまうものは?」→「希望」
第二の謎「炎のように暖かく赤いが、火ではないものは?」→「血」
第三の謎「氷のように冷たく周囲の炎を凍らせ、焼き焦がしてしまうものは?」→「トゥーランドット!」

見事にすべての謎を解くことができたカラフ王子。
トゥーランドット姫は結婚したくないと駄々をこね始めますが、カラフはそんな姫に対して、まだ名乗っていない自分の名前を明日の夜明けまでに当てることができたら、私は潔く死ぬこととしよう、と今度は王子からトゥーランドットへ謎解きを提案します。

第三幕
カラフ王子のことを知る、召使いのリューは、トゥーランドット (Turandot) に捕えられ、王子の名前を教えるよう強要されます。トゥーランドット (Turandot) とは対照的な優しい女性、リューは、愛のために決して王子の名前を明かすことなく、自ら死を選んでしまいます。
夜明け前に、トゥーランドット (Turandot) は、カラフ王子の名前を突き止めることができませんでしたが、最終的に、王子は自発的に名前を告白し、トゥーランドット (Turandot) の判断に運命を委ねます。リューの愛に生きる姿を見て心を動かされたのか、王子の名前の告白に心を動かされたのかトゥーランドット (Turandot) は、カラフ王子を「愛」と呼び、めでたくふたりは幸せに結ばれるのでした。

トゥーランドット (Turandot) は、今となっては、かなり唐突なストーリー展開ではありますが、当時、王様の言うことが絶対だった絶対王政という背景の下、神秘的な未知の東洋の不思議な話として人々の心を捉えたおもしろいお話だったのかもしれません。

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トゥーランドット (Turandot) の公演時間は 3時間です。夜8時開演で、開演時間から終了まで、ブロードウェイミュージカルなどよりかなり時間が長いので、帰る時間がちょっと遅くなります。舞台が3幕あり、その途中に30-40分の休憩時間が2回あります。それぞれの舞台は、実は30-40分ほどなので、舞台の時間と同じくらいの休憩時間があるという優雅なエンターテイメントです。

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長い休憩時間中、2階のレストランでお食事を取る人たちが多くいます。また、それ以外の人たちは、バーカウンターでオーダーしたシャンパンを楽しみながらおしゃべりに花を咲かせていて、とても華やいだ雰囲気です。ニューヨークのオペラは、ブロードウェイミュージカルと比べると、ニューヨークのローカルの割合が高く、男性はスーツ、女性はドレスアップした美しいゴージャスな人たちが圧倒的に多く雰囲気が全然違います。

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オーケストラ席の一番前まで行くと、オーケストラの演奏の様子を目の前で見ることができます。最前列席はまさにオーケストラを楽しめるオーケストラ席です。

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トゥーランドット (Turandot)と言えば、何といっても名曲 Nessun dorma、そして物凄い数のキャストが登場する豪華なオペラ作品です。
こちらは、予告編です。

Princess Turandot は、2014年からMETで活躍するウクライナ出身の Oksana Dyka さんです。

上演後の拍手喝さいの中の舞台挨拶。

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トゥーランドット (Turandot) は、Pavarotti や Domingo ら世界最高峰のテナー歌手が競い合うように素晴らしい歌声を披露してきた作品です。
こちらは、ドミンゴの映像ですが、さすがの感動の歌声です。

会場に入場する前に、館内一階の正面右側に、お土産屋さんもあります。

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入場後、地下には、ちょっとしたメトロポリタンオペラに関する展示スペースもあるので、少し早目に来て、覗いてみるのもおすすめです。

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メトロポリタンオペラの会場となる建物周辺も、ライトアップされ美しい景観となっています。

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メトロポリタンオペラハウスの正面にかかっているコミカルな羊のオペラの作品が気になります。初めて聞く演目なので、機会があれば行ってみようかな。ニューヨークの秋から冬にかけてのエンターテイメントである、オペラ。ニューヨークの美しいリンカーンセンターのメトロポリタンオペラハウスは、優雅な時を過ごす、いつもと違う世界を体感できる素敵な場所です。

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トゥーランドット以外にも様々な演目が上演されています。今シーズンのメトロポリタンオペラの演目とスケジュールは、こちらです。

メトロポリタンオペラ 華麗なるトゥーランドット was last modified: 2月 20th, 2021 by mikissh