ニューヨークのアメリカ自然史博物館で、今日 3月12日から未知の海をテーマとした新しい特別展の一般公開がスタートしました。タイトルはアンスィーンオーシャンズ (Unseen Oceans)、あまり知られていない深海の世界を教えてくれる特別展です。最近人々の注目は、私たちの住む地球から、宇宙へと向かいがちですが、実は、私たちは地球の大部分を占める海のことを思っている以上に知りません。深い深いどこまでも深い海の中の世界には未知の世界が広がっています。今回のアメリカ自然史博物館の特別展では、そんなまだあまり知られていない深海など未知の領域の海の中の生物や環境、そんなアクセスが難しい領域を探索するための新テクノロジーと、その研究者たちの体験などが分かり易く紹介されています。特別展の会場に入ると同時に、ザブーンと押し寄せる海の波。ビジュアルとエクスペリエンスに工夫を凝らした面白い特別展となっています。
特別展の会場は、アメリカ自然史博物館の一番の見どころフロアー、恐竜展示がされている4階です。会場へ入ると、まるで海の世界に入ってきたようなディープなブルー色の世界です。そこに光を放つ生物たちがまるで本当にそこにふわふわと生息しているよう。
深海には見たことがないような、プランクトンやたくさんの変わった生物が生息しています。
そんな珍しい生物たちについて学んだり。
バイオルミネッセンスなど深海ならではの現象を学ぶことができます。
まるで自分が今海の中にいて、すぐそこに魚たちを見ているかのようなリアルな雰囲気の素晴らしい映像もあります。
クジラ、巨大イカ、マンボウなど突然現れる巨大な生物たちにびっくり。いつまでも見ていられるくらい面白い海の中の世界。子供から大人までみんな夢中で映像を楽しんでいました。
砂遊びができるこちらのコーナー。こちらは、単なる砂ではなく “Kinetic Sand” という、粘り気がある、ゆっくりと動く砂です。もちろん子供たちに大人気でした。
海の小魚たちがいる美しい光の水槽です。
地球上の台地、そして海の下の台地も、こうしている間にも動いているって知ってる?
海底の地形を測定するテクノロジーなども紹介されています。
展示会場はまるで深海の中。光の魚たちが忙しく動き回っています。
エコノミストの記事でも紹介されていましたが、近年、未知の深海を探索するテクノロジーや、それを養殖や採掘などで有効利用するためのテクノロジーの開発が急速に進んでいるようです。ニューヨークのアメリカ自然史博物館の今回の特別展では、そんな最新のテクノロジーの一端も紹介されています。
海の中深くへ潜っていくにはこんな潜水艦に乗ります。1000メートル程潜れるそうです。今回の特別展のスポンサーは、世界最大のヘッジファンド、Bridgewater Associates の創業者として知られている Ray Dalio さんの基金だそうですが、Ray Dalio さんは、Alucia という船や潜水艦を所有しているそうで、OceanX というプロジェクトを通じ、自然史博物館のバイオルミネッセンスの研究など、海に関する様々な研究を推進しているそうです。ちなみに、Ray Dalio さんは、経済の仕組みについて、こちらのような分かりやすい教育用ビデオも作っています。
海の中を潜るってこんな感じだよ、を体験できるこちらのコーナー、Explore the Depth。
海の中の生物たちをトラッキングする方法は?新しいトラッキング装置も色々と開発されているようです。
深海の様子を探るための海洋ドローンも紹介されています。
こちらは、アメリカ自然史博物館による今回の特別展の紹介ビデオです。
“Unseen Oceans” は、2019年8月18日までの開催となっています。
ニューヨークのアメリカ自然史博物館は見どころ盛りだくさんのミュージアムです。『ナイトミュージアム』の映画の舞台にもなったアメリカ自然史博物館の「ナイトミュージアム」コースを回ってみるのも楽しいですよ。
アメリカ自然史博物館への行き方など詳細はこちらで紹介しています。
Ocean と言えば、イギリスでは昨年、アメリカでは今年放映されている BBC の海、特に海洋汚染をテーマとしたドキュメンタリー、Blue Planet 2 も素晴らしいシリーズです。