アメリカの物価の上昇、インフレは、最近驚くほどの状況はなくなり、とても落ち着いてきています。
昨年は、消費者物価指数 (CPI) が 7% 以上という、40年振りの高水準のインフレが起こり大変でしたが、アメリカのインフレの象徴になっていた食品価格の代表的なもの、卵の値段などもかなり安くなり、アメリカらしい大胆な大セールもよく行われるようになっていて、ショッピングも楽しめるようになってきています。
ですが、ここにきて、最近、再び原油価格が急激に上昇中で、ガソリン価格などに影響が出てきているため、インフレ再燃の懸念も出て来ています。
そんな中、今日、アメリカの物価・インフレ率を表す、8月の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。
消費者物価指数 (CPI)
消費者物価指数 (CPI) とは、モノやサービスなど、アメリカの物価の動きを知るために毎月統計されている指標です。全ての物価を総合した「消費者物価指数 (CPI) 」と、価格変動の大きいエネルギー関連と食費を除いた「コアCPI」とあります。
消費者物価指数 (CPI)
8月の消費者物価指数 (CPI) は、昨年8月から今年8月までの一年間の数字です。
現在、消費者物価指数 (CPI) は再び上昇傾向にあり懸念が示されています。
消費者物価指数 (CPI) は、市場の予想を上回り、3.7% となりました。7月は、14ヵ月振りに上昇に転じ、3.2% でしたが、8月もさらに上昇し、2ヶ月連続での上昇となります。8月1ヵ月間の消費者物価指数 (CPI) の上昇率は、6月、7月の 0.2% からジャンプし、0.6%と急上昇しているので、今後のインフレの行方に少し懸念が残る結果となっています。
コアCPI
変動の激しいエネルギー関連と食費を除いたコアCPIは下降傾向にあり良い状態です。
コアCPIは、ここしばらく5%代を推移していましたが、7月の 4.7% に続き、8月は、4.3% と4%代継続で、緩やかな下降トレンドとなっています。
アメリカのインフレ 物価上昇
アメリカでは、100年振りのパンデミックによる、インフレへの対策として、大規模な金融緩和や経済刺激策がずっと行われてきました。
そんなパンデミックからの変遷期を終え、現在アメリカではすっかり日常が戻ってきています。
昨年は、最初は、オミクロンの大流行により雇用やサプライチェーン問題、その後、ロシアによるウクライナへの侵攻、干ばつ、鳥インフルエンザなど様々な要因でインフレが加速しました。
アメリカの生活が通常モードになったことにより、オンラインでの消費などモノ消費から体験消費へと移行し、旅行、パーティ、イベントなどへの急激な需要の変化が起こり、サービス全般の価格が上昇しインフレになっていました。最近では少し落ち着きを取り戻しつつあり、パンデミックの影響もようやくなくなってきている感じがします。
その一方、直近のサウジアラビアとロシアの石油減産継続の発表により、あらゆるものの価格に影響を与える原油価格が急激に上昇してきているため、今後のインフレへの影響が心配されています。
アメリカの金利の上昇
パンデミック以降、FF金利(フェデラル・ファンド金利)がゼロの状態が続いていましたが、インフレ抑制のため、この一年間で、急激な利上げが行われ、現在、FF金利は、5.25-5.50% となっています。
インフレの加速によりその抑制のために、アメリカで預金の金利がどんどん上がり、モーゲージレートなど借入金利が上昇する一方、利子が上昇し、アメリカに預金がある人たちにはうれしい恩恵もあります。
消費者物価指数 (CPI) 2023年8月
アメリカ労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) は、今日9月13日、2023年8月の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。8月のCPIは、13ヵ月振りに上昇に転じた7月の 3.2% からさらに上昇し、市場の予想値、3.6% を上回る 3.7% となっています。1ヵ月間の上昇は、0.6% となり、ここしばらく続いていていた 0.2% から大幅に上昇しています。
価格変動の激しいエネルギーと食費を除外した、コアCPIに関しては下落の傾向にあります。
8月のコアCPIは、8月1か月間で 0.3% で、1年間では 4.3% となっています。
6月は4.8%、7月は4.7%、8月は4.3%で、コアCPIは緩やかに下落してきています。
8月のCPIの主な要因
8月のCPIの最大の要因となったのが、ガソリン価格の大幅な値上がりで、10.6% 上昇しました。エネルギー関連全般も、5.6% の上昇となり、ここしばらく安定していたエネルギー関連が上昇に転じています。
一貫して高水準の上昇が続いている、住宅費も、0.3% とまだトレンドが継続しています。
また注目に値するのが、自動車保険です。8月一ヵ月間だけで、2.4% も上昇し、一年間では、なんと 19.1%も上昇しています。
食費・住宅費の物価上昇
多くの人々の生活に影響を与える、食費 (自宅 0.2%、外食 0.3%) は、0.2% 上昇で、ここ数ヵ月同様、若干上昇しています。
そしてもう一つ、住宅費 は、0.3% の上昇で、こちらは一年間では 7.3% もの上昇となっています。
アメリカのインフレ絶頂の時は、スーパーマーケットに買い物に行くたびに値段の高騰を目にし驚いていましたが、その頃と比べて、最近はアメリカのスーパーでの食料品の買い物もだいぶ安くなってきています。食費のインフレの代表であった卵の価格は下落し続けていて、最近、卵の値段が本当に安くなりました。一方、豚肉やパンなど値段が高い商品もまだあります。
旅行費用・交通費・航空券
8月は、行楽シーズンの真っ只中で、エネルギー関連価格の高騰もあるのか、交通費は 2.0%と大幅に上昇しています。中でも、航空券は、繁忙期と言うこともあり 8月は 4.9% 上昇しました。ただし、航空券は、9月に入ると急落し、とても安くなるので、秋からは旅行がしやすくなりそうです。
8月のCPI に関する詳細は、こちら です。
アメリカの消費者物価指数 (CPI) の変化
アメリカの消費者物価指数 (CPI) は、今回のインフレサイクルで初めて 7% を越えた2021年12月以来、以下のように推移してきています。
2021年12月のインフレ率 は、1年間で 7% 📈
2022年1月のインフレ率 は、7.5% 📈
2022年2月のインフレ率 は、7.9% 📈
2022年3月のインフレ率 は、8.5% 📈
2022年4月のインフレ率 は、8.3%、📉
2022年5月のインフレ率 は、再び上昇 8.6% 📈
2022年6月のインフレ率 は、今回のインフレサイクルで最高となる 9.1% 📈
2022年7月のインフレ率 は、8.5% 📉
2022年8月のインフレ率 は、8.3% 📉
2022年9月のインフレ率 は、8.2% 📉
2022年10月のインフレ率 は、7.6% 📉
2022年11月のインフレ率 は、7.1% 📉
2022年12月のインフレ率 は、6.5% 📉
2023年1月のインフレ率 は、6.4% 📉
2023年2月のインフレ率 は、6.0% 📉
2023年3月のインフレ率 は、5.0% 📉
2023年4月のインフレ率 は、4.9% 📉
2023年5月のインフレ率 は、4.0% 📉
2023年6月のインフレ率 は、3.0% 📉
2023年7月のインフレ率 は、3.2% 📈
アメリカのインフレの原因
パンデミックも終わり、インフレはいつまで続くの?と気になるところですが、やはり最も大きな影響を与えているのが、石油や天然ガスなどのコモディティ価格です。
原油価格
原油価格の指標となっている、WTI原油先物は、昨年6月には驚きの 1バレル$120 まで上昇していましたが、その後、金融引き締めとそれに伴う景気後退の見込みにより 40% 近くも下落し $75 代付近に。そして3月に $70 以下に急落後、4月に入り再び、OPEC+ による減産発表があり $80 以上に再び上昇、その後、$70代が続いていましたが、再び急上昇し、現在は $90 近辺を推移しています。原油価格の上昇は、今後のインフレへの懸念材料となり得ます。
アメリカのガソリン価格は、昨年2022年6月は 1ガロン $5 に達しアメリカの物価高にも影響を与えましたが、その後、$3.2 まで下がりましたが、再び上昇に転じ、現在では、ガソリンの平均価格は、$3.8 前後を推移しています。
石油価格は、もともと経済の見通し、減産、政治情勢など様々な要因で変化しやすいですが、エネルギー価格が、より安定するためには、ウクライナでの戦争の終結が重要となります。
モノ消費の物価
モノ消費に関しては、在庫も増え、価格も落ち着き、デリバリーもスピーディで完全に正常化しています。一時期高くなっていた感があるオンラインの価格も、セールがとても増えていてお買い物がしやすくなっています。
旅行費用の物価
一方、久しぶりに自由を満喫できる旅行シーズンを迎え、ペントアップデマンドにより、サービス業セクターはホットになっていましたが、最近はオフィス通勤も戻りつつあり、人々の忙しい日常生活が戻ってきたためか、今はアメリカ国内を中心に少し下がってきています。
アメリカのインフレの経緯
今回の CPI のレポートで明らかになって来たことは、仮に、エネルギー関連価格の下落が継続したとしても、一旦、あらゆるものに波及してしまったインフレを抑えることは容易ではないということです。確たるマネタリーポリシーでの相当な努力と時間が必要となります。目標としている数字は 2%。達成までにはまだもう少し時間がかかりそうです。
高いレベルのCPIの推移により、2023年のソーシャルセキュリティの給付額は、8.7%アップの調整 (COLA) となりました。
今までの動向を振り返って見ると、最初は、ようやくオミクロンの大流行が収まり、通常モードに戻り、供給が正常化し、これからインフレも落ち着くのではないかと期待していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁と戦禍により、エネルギーを中心に様々なコモディティ価格の高値状態が続き、インフレも長期間に渡って継続する可能性が高まってしまいました。
パンデミックにより様々な物の需給が急速に変動し、金融緩和によるアセットバブルの状態が続きましたが、利上げがはじまり、株式市場をはじめ、様々な資産の価格も大きく変動しています。インフレ時には、インフレに連動したアメリカ国債、インフレ連動債もあります。I-Saving Bond は、利率が これまでで最高の9.62% となっていましたが、インフレの落ち着きと共に下降し、2023年5月からは、利率4.3% となっていて、条件のいい金融機関の短期預金の利率と同程度にまで下がって来ています。
年利4.3%まで低下!アメリカの低リスク インフレ連動預金用債券 I Bonds 2023年5月更新 固定金利部分0.9%に
アメリカのインフレによる物価高も、そろそろ落ち着いてきていますが、
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