アメリカの物価 インフレは今? CPI 3.2% 再び上昇!7月の消費者物価指数 コアCPI は引き続き下降中

アメリカの物価は、昨年は、消費者物価指数 (CPI) が 7% 以上という、40年振りの高水準のインフレが続いていましたが、今年に入り、ようやく落ち着いて来ています。アメリカのインフレの象徴になっていた食品価格の代表的なもの、卵の値段などもかなり安くなってきていて、お肉や魚も以前のような驚く価格ではなくなってきています。そんな中、今日、アメリカの物価・インフレ率を表す、7月の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。

消費者物価指数 (CPI)

消費者物価指数 (CPI) とは、モノやサービスなど、アメリカの物価の動きを知るために毎月統計されている指標です。全ての物価を総合した「消費者物価指数 (CPI) 」と、価格変動の大きいエネルギー関連と食費を除いた「コアCPI」とあります。

7月の消費者物価指数 (CPI) は、昨年7月から今年7月までの一年間の数字です。市場の予想を下回り、消費者物価指数 (CPI) は、3.2% となりました。6月の3.0% だったので、14ヵ月振りに上昇に転じていますが、7月1ヵ月間の消費者物価指数 (CPI) の上昇率は、6月同様、0.2% の低水準の上昇となり、ほぼ横ばい状態で、インフレに歯止めがかかってきていることがわかります。

変動の激しいエネルギー関連と食費を除いたコアCPIは、ここしばらく5%代を推移していましたが、6月の 4.8% に続き、4.7% と、4%代が継続しています。

アメリカのインフレ 物価上昇

アメリカでは、100年振りのパンデミックによる、インフレへの対策として、大規模な金融緩和や経済刺激策がずっと行われてきました。
そんなパンデミックからの変遷期を終え、現在アメリカではすっかり日常が戻ってきています。

昨年は、最初は、オミクロンの大流行により雇用やサプライチェーン問題、その後、ロシアによるウクライナへの侵攻、干ばつ、鳥インフルエンザなど様々な要因でインフレが加速しました。

生活が通常モードに移行したことにより、オンラインでの消費などモノ消費から体験消費へと移行し、旅行、パーティ、イベントなどへの急激な需要の変化が起こり、サービス全般のインフレが目立つようになっていました。最近では少し落ち着きを取り戻しつつあり、パンデミックの影響もようやくなくなってきている感じがします。

アメリカの金利の上昇

パンデミック以降、FF金利(フェデラル・ファンド金利)がゼロの状態が続いていましたが、インフレ抑制のため、この一年間で、急激な利上げが行われ、現在、FF金利は、5.25-5.50% となっています。

アメリカ金利 利上げ25bp 5.5%に!FF金利2001年以来22年振りの高水準に

インフレの加速によりその抑制のために、アメリカで預金の金利がどんどん上がり、アメリカに預金がある人たちにはうれしい恩恵もあります。

消費者物価指数 (CPI) 2023年7月

アメリカ労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) は、今日8月10日、2023年7月の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。7月のCPIは 3.2% となり、6月の 3.0% から13ヵ月振りに上昇に転じ、微増となっています。1ヵ月間の上昇は、市場の予想値の0.3% を下回り、0.2% となり、一年間では 3.2% アップとなっています。


(tradingeconomics.com)

価格変動の激しいエネルギーと食費を除外した、コアCPIに関しては一時下落に転じましたが、2023年1月から 0.4% と再び上昇に転じ、2月の 0.5% に続き、3月、4月同様、5月も 0.4% となり、一貫して上昇が継続していましたが、6月同様、7月も市場の予想を下回る 0.2%、一年間では、4.7% となり、コアCPIの下落は続いていて、インフレ収束に向けて期待が持てる数字となっています。

7月のCPIの主な要因

7月のCPIの最大の要因となったのが、一貫して高水準の上昇が続いている、住宅費の 0.4% です。また、エネルギー関連は、0.1% とほぼ動きがなく、自宅での食費は、0.3% と若干上昇に転じています。
また注目に値するのが、自動車保険です。7月一ヵ月間だけで、1.7% も上昇し、一年間では、なんと 17.8%も上昇しています。落ち着く気配がありません。

食費・住宅費の物価上昇

多くの人々の生活に影響を与える、食費 (自宅 0.3%、外食 0.2%) は、0.2% 上昇で、6月と比べると若干上昇しています。
そしてもう一つ、住宅費 は、0.4% の上昇で、こちらは一年間では 7.7% もの上昇となっています。

アメリカのインフレ絶頂の時は、スーパーマーケットに買い物に行くたびに値段の高騰を目にし驚いていましたが、その頃と比べて、最近はアメリカのスーパーでの食料品の買い物もだいぶ安くなってきました。
そんな食費のインフレの代表である卵の価格は下落し続けています。最近、卵の値段が本当安くなりました。一方、パン、牛肉、野菜やフルーツなどが値上がりをしています。

旅行費用・交通費・航空券・中古車

現在、行楽シーズンの真っ只中ですが、中古車価格は、-1.3%、交通費は、少し上昇し、0.3% と全般的には落ち着いています。航空券も引き続き、特に国内線を中心に値段が下落気味で、1ヵ月で -8.1% となっています。
7月のCPI に関する詳細は、こちら です。

アメリカの消費者物価指数 (CPI) の変化

アメリカの消費者物価指数 (CPI) は、今回のインフレサイクルで初めて 7% を越えた2021年12月以来、以下のように推移してきています。
2021年12月のインフレ率 は、1年間で 7% 📈
2022年1月のインフレ率 は、7.5% 📈
2022年2月のインフレ率 は、7.9% 📈
2022年3月のインフレ率 は、8.5% 📈
2022年4月のインフレ率 は、8.3%、📉
2022年5月のインフレ率 は、再び上昇 8.6% 📈
2022年6月のインフレ率 は、今回のインフレサイクルで最高となる 9.1% 📈
2022年7月のインフレ率 は、8.5% 📉
2022年8月のインフレ率 は、8.3% 📉
2022年9月のインフレ率 は、8.2% 📉
2022年10月のインフレ率 は、7.6% 📉
2022年11月のインフレ率 は、7.1% 📉
2022年12月のインフレ率 は、6.5% 📉
2023年1月のインフレ率 は、6.4% 📉
2023年2月のインフレ率 は、6.0% 📉
2023年3月のインフレ率 は、5.0% 📉
2023年4月のインフレ率 は、4.9% 📉
2023年5月のインフレ率 は、4.0% 📉
2023年6月のインフレ率 は、3.0% 📉

アメリカのインフレの原因

パンデミックも終わり、インフレはいつまで続くの?と気になるところですが、やはり最も大きな影響を与えているのが、石油や天然ガスなどのコモディティ価格です。

原油価格

原油価格の指標となっている、WTI原油先物は、昨年6月には驚きの 1バレル$120 まで上昇していましたが、その後、金融引き締めとそれに伴う景気後退の見込みにより 40%近くも下落し $75 代付近に。そして3月に $70 以下に急落後、4月に入り再び、OPEC+ による減産発表があり $80 以上に再び上昇、その後、$70代が続いていましたが、7月中旬以降再び急上昇し、現在は $80以上を推移しています。原油価格の上昇は、今後のインフレへの懸念材料となり得ます。

アメリカのガソリン価格は、昨年2022年6月は 1ガロン $5 に達しアメリカの物価高にも影響を与えましたが、現在では、ガソリンの平均価格 は下がり、$3.8 前後を推移しています。
石油価格は、もともと経済の見通し、減産、政治情勢など様々な要因で変化しやすいですが、エネルギー価格が、より安定するためには、ウクライナでの戦争の終結が重要となります。


(tradingeconomics.com)

モノ消費の物価

モノ消費に関しては、在庫も増え、価格も落ち着き、デリバリーもスピーディで完全に正常化しています。一時期高くなっていた感があるオンラインの価格も、セールがとても増え買い物しやすくなってきています。

旅行費用の物価

一方、久しぶりに自由を満喫できる旅行シーズンを迎え、ペントアップデマンドにより、サービス業セクターはホットになっていましたが、最近はオフィス通勤も戻りつつあり、人々の忙しい日常生活が戻ってきたためか、今は国内を中心に少し下がってきています。

アメリカのインフレの経緯

今回の CPI のレポートで明らかになって来たことは、仮に、エネルギー関連価格の下落が継続したとしても、一旦、あらゆるものに波及してしまったインフレを抑えることは容易ではないということです。確たるマネタリーポリシーでの相当な努力と時間が必要となります。目標としている数字は 2%。達成までにはまだもう少し時間がかかりそうです。

高いレベルのCPIの推移により、2023年のソーシャルセキュリティの給付額は、8.7%アップの調整 (COLA) となりました。

今までの動向を振り返って見ると、最初は、ようやくオミクロンの大流行が収まり、通常モードに戻り、供給が正常化し、これからインフレも落ち着くのではないかと期待していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁と戦禍により、エネルギーを中心に様々なコモディティ価格の高値状態が続き、インフレも長期間に渡って継続する可能性が高まってしまいました。

ロシアへの厳しい経済制裁 SWIFT送金遮断と中央銀行資産凍結 食品また値上がる?

パンデミックにより様々な物の需給が急速に変動し、金融緩和によるアセットバブルの状態が続きましたが、利上げがはじまり、株式市場をはじめ、様々な資産の価格も大きく変動しています。インフレ時には、インフレに連動したアメリカ国債、インフレ連動債もあります。I-Saving Bond は、利率が これまでで最高の9.62% となっていましたが、インフレの落ち着きと共に下降し、2023年5月からは、利率4.3% となっていて、条件のいい金融機関の短期預金の利率と同程度にまで下がって来ています。

年利4.3%まで低下!アメリカの低リスク インフレ連動預金用債券 I Bonds 2023年5月更新 固定金利部分0.9%に

アメリカのインフレによる物価高も、そろそろ落ち着いてきていますが、
アメリカでは、お得にお買い物ができる裏技が色々あります。
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アメリカの物価 インフレは今? CPI 3.2% 再び上昇!7月の消費者物価指数 コアCPI は引き続き下降中 was last modified: 3月 8th, 2024 by mikissh