アメリカの物価は高い!といわれてきましたが、いよいよ、アメリカのインフレも落ち着き始め、物価の低下が見え始めてきました!
アメリカ在住者は、最近気づき始めていると思いますが、アメリカのインフレによる高い物価の象徴になっていた卵の値段がかなり安くなってきています。またお肉や魚も以前のような驚く価格ではなくなってきています。
アメリカでは、消費者物価指数 (CPI) が 7% 以上という、40年振りの高水準が昨年は続いていましたが、今年に入り、ようやくインフレが落ち着いて来ています。そんな中、今日、5月の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。CPIは、昨年5月から今年5月までの一年間の数字で、市場の予想通り、4.0% となりました。5月一ヵ月間の上昇率は、0.1% と下がって来ているので、いよいよインフレに歯止めがかかってきている感じです。変動の激しいエネルギー関連と食費を除いたコアCPIは、ここしばらく5%代を推移していて、3月の5.6%、4月の 5.5% に引き続き、5月は 5.3% でした。
アメリカでは、100年振りのパンデミックへの対策として大規模な金融緩和や経済刺激策が行われてきましたが、そんなパンデミックからの変遷期を終え、すっかり日常が戻っています。
昨年は、最初は、オミクロンの大流行により雇用やサプライチェーン問題、その後、ロシアによるウクライナへの侵攻、干ばつ、鳥インフルエンザなど様々な要因でインフレが加速しました。最近では、生活が通常モードに移行したことにより、オンラインでの消費などモノ消費から体験消費へと移行し、旅行、パーティ、イベントなどへの急激な需要の変化が起こっていて、サービス全般のインフレが目立つようになっていましたが、ようやく少し落ち着きつつあります。
パンデミック明けに加え、アメリカの高インフレとそれに伴う急激な利上げは、世界中にも影響を与えていて、世界各国、そして日本でもインフレの傾向が強まっています。
パンデミック以降、FF金利(フェデラル・ファンド金利)がゼロの状態が続いていましたが、インフレ抑制のため、この一年間で、急激な利上げが行われ、現在、FF金利は、5.0-5.25% となっています。今後は、インフレ、雇用、景気の動向によっては、様子見状態に入ると予想されています。
インフレの加速によりその抑制のために、アメリカでは、預金の金利もどんどん上がっていったので、アメリカに預金がある人たちにはうれしい恩恵もありました。
利上げの判断を下す次回の FOMC を控え、6月13日に、アメリカ労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) は、2023年5月の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。5月のCPIは 4.0% となり、先月の 5.9% から引き続き下がって来ています。市場の予想通り、1ヵ月間の上昇は、0.1% と再び落ち着き、一年間では 4.0% アップとなっています。
今回のインフレの大きな要因となっているのは、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー関連価格の高騰でしたが、そこから石油価格が急落し、あらゆるものの価格に影響を与えるガソリン価格が大幅に下落したことにより、消費者物価指数 (CPI) も、今回のインフレサイクルの最高値を更新した2022年6月から下落に転じて、高インフレ脱出の期待が持てるようになってきていました。
戦争は、現在も継続中で、石油価格の変動は、金融緊縮による景気悪化による石油需要の減退を予期したものなので、今後も、そんな予想がコロコロ移り変わるたびに、CPIに大きな影響を与える状態が続きそうです。
価格変動の激しいエネルギーと食費を除外した、コアCPIに関しては一時下落に転じましたが、2023年1月から 0.4% と再び上昇に転じ、2月の 0.5% に続き、3月、4月同様、5月も 0.4% となり、一貫して上昇が継続しています。
5月のCPIを抑える最大の要因となったのが、ガソリンをはじめとしたエネルギー関連価格の大幅下落です。
しかし、そんな中一貫して上昇が続いているものもあります。住宅費、中古車価格、外食費、交通費などです。これらがまだCPIを押し上げています。
長くインフレの象徴となっていた、卵や魚、肉などの自宅での食費は落ち着いて来ましたが、その一方、住宅費は 0.6%と引き続き高い上昇率となっていて、CPIに大きな影響を与えています。
多くの人々の生活に影響を与える、食費 (自宅 0.1%、外食 0.5%) は、0.2% と落ち着いてきていますが、
さらに上昇が続いているのが、住宅費 (0.6%) で、一年間で 8.0%の上昇となっています。
アメリカのインフレ絶頂の時は、スーパーマーケットに買い物に行くたびに値段の高騰を目にし驚いていましたが、その頃と比べて、最近はアメリカのスーパーでの食料品の買い物もだいぶ安くなってきました。
そんな食費のインフレの代表である卵の価格は下落し続けています。3月の -10.9%、4月の -1.5% に引き続き、5月も -13.8% と大幅に下がって来ています。最近、卵の値段が本当安くなりました。
そしてそんな卵を含めた肉魚卵のカテゴリーは、この一ヵ月で -1.2% で、1951年1月以来の最大の下落となっています。
今回のインフレでは、初期の頃、中古車価格もインフレの象徴となっていました。そんな中古車価格もしばらくは下落が続いていましたが、最近は一転、4月に続き、5月は4.4% 上昇しています。
また、交通費もここしばらく上昇していて、先月は小休止状態でしたが、行楽の絶好の季節を迎え、再び0.8%上昇しています。
そんな中、航空券に関しては、おそらく正常化に伴う増便の効果もあり、1ヵ月で -3.0% と、先月に引き続き値段が下がってきています。
5月のCPI に関する詳細は、こちら です。
アメリカの消費者物価指数 (CPI) は、今回のインフレサイクルで初めて 7% を越えた2021年12月以来、以下のように推移してきています。
2021年12月のインフレ率 は、1年間で 7% 📈
2022年1月のインフレ率 は、7.5% 📈
2022年2月のインフレ率 は、7.9% 📈
2022年3月のインフレ率 は、8.5% 📈
2022年4月のインフレ率は、8.3%、📉
2022年5月のインフレ率 は、再び上昇 8.6% 📈
2022年6月のインフレ率 は、今回のインフレサイクルで最高となる 9.1% 📈
2022年7月のインフレ率 は、8.5% 📉
2022年8月のインフレ率 は、8.3% 📉
2022年9月のインフレ率 は、8.2% 📉
2022年10月のインフレ率 は、7.6% 📉
2022年11月のインフレ率 は、7.1% 📉
2022年12月のインフレ率 は、6.5% 📉
2023年1月のインフレ率 は、6.4% 📉
2023年2月のインフレ率 は、6.0% 📉
2023年3月のインフレ率は、5.0% 📉
2023年4月のインフレ率は、4.9% 📉 となっていました。
昨年は、カリフォルニア州をはじめ、干ばつにより水不足が続き、農作物の生産状況にも影響があり、カリフォルニア米などの値段が上昇しました。今年は、カリフォルニア州では、完全に干ばつが解消しているようなので豊作が期待できそうです。
アメリカ中部も改善して来ていて、深刻な干ばつの地域は、オクラホマ州、カンザス州の一部のみとなり、だいぶ減って来ています。
インフレはいつまで続くの?と気になるところですが、やはり最も大きな影響を与えているのが、石油や天然ガスなどのコモディティ価格です。
原油価格の指標となっている、WTI原油先物は、昨年6月には驚きの 1バレル$120 まで上昇していましたが、その後、金融引き締めとそれに伴う景気後退の見込みにより 40%近くも下落し $75 代付近となり推移していました。3月に $70 以下に急落したのですが、4月に入り再び、OPEC+ による減産発表などがあり $80 以上に再び上昇、現在は再び下落し $70前後を推移しています。
アメリカのガソリン価格は、昨年2022年6月は 1ガロン$5に達しアメリカの物価高にも影響を与えましたが、現在では、ガソリンの平均価格 は下がり、$3.5 前後を推移しています。
エネルギー価格が、最終的に安定するためには、ウクライナでの戦争の終結が重要となります。
モノ消費に関しては、在庫も増えつつあり、価格も落ち着き、デリバリーもかなりスピーディになり正常化しています。一時期高くなっていた感があるオンラインの価格も、セールなどがとても増え、正常化してきています。一方、久しぶりに自由を満喫できる旅行シーズンを迎え、ペントアップデマンドにより、サービス業セクターはホットになっていましたが、最近はオフィス通勤も戻りつつあり、人々の忙しい日常生活が戻ってきたためか今は少し下がってきています。
今回の CPI のレポートで明らかになって来たことは、仮に、エネルギー関連価格の下落が継続したとしても、一旦、あらゆるものに波及してしまったインフレを抑えることは容易ではないということです。確たるマネタリーポリシーでの相当な努力と時間が必要となります。目標としている数字は 2%。達成までにはまだもう少し時間がかかりそうです。
高いレベルのCPIの推移により、2023年のソーシャルセキュリティの給付額は、8.7%アップの調整 (COLA) となりました。
今までの動向を振り返って見ると、最初は、ようやくオミクロンの大流行が収まり、通常モードに戻り、供給が正常化し、これからインフレも落ち着くのではないかと期待していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁と戦禍により、エネルギーを中心に様々なコモディティ価格の高値状態が続き、インフレも長期間に渡って継続する可能性が高まってしまいました。
パンデミックにより様々な物の需給が急速に変動し、金融緩和によるアセットバブルの状態が続きましたが、利上げがはじまり、株式市場をはじめ、様々な資産の価格も大きく変動しています。インフレ時には、インフレに連動したアメリカ国債、インフレ連動債もあります。I-Saving Bond は、利率が これまでで最高の9.62% となっていましたが、インフレの落ち着きと共に下降し、2023年5月からは、利率4.3% となっていて、条件のいい金融機関の短期預金の利率と同程度にまで下がって来ています。
年利4.3%まで低下!アメリカの低リスク インフレ連動預金用債券 I Bonds 2023年5月更新 固定金利部分0.9%に
アメリカのインフレによる物価高も、そろそろ落ち着いてきていますが、
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