アメリカ インフレ CPI 7.1% 11月の消費者物価指数 2022年最低値 そろそろ終わり?!

アメリカでは、昨年2021年12月以降、消費者物価指数 (CPI) は 7%以上となっており、40年振りの高水準が続いています。2022年6月に、9.1% の最高値に達して以来、下降基調に転じていますが、4回連続75bp という急激な利上げが続いているにもかかわらず、エネルギー関連価格の大幅な下落の中、インフレは緩やかに落ち着いてきています。そんな中、今日、11月の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。CPIは、昨年11月から今年11月までの一年間の数字で、市場の予想値、7.3% を下回る 7.1% となりました。11月一ヵ月間の上昇率も、0.1%となり落ち着きつつあります。変動の激しいエネルギー関連と食費を除いたコアCPIは、1982年8月以来となる40年振りとなった先月10月の6.3% から若干低下し、6.0% となっています。11月のCPIは、10月のトレンドを引き継ぎ、今年、最も低い数値となり、来年には、インフレが収束していくのではないかという期待を抱かせてくれています。

最新2023年1月発表の新記事はこちらです。

アメリカ インフレ CPI 6.5% 12月の消費者物価指数 1年振り 7%以下に!

アメリカでは、100年振りのパンデミックへの対策として大規模な金融緩和、経済刺激策が行われてきましたが、そんなパンデミックからの変遷期を終え、すっかり日常が戻って来ました。

昨年末頃から、オミクロンの大流行により雇用やサプライチェーン問題から高い水準のインフレになり、さらに今年2月からはロシアによるウクライナへの侵攻という少し前には予想していなかった混乱も加わり、インフレが加速。最近では、さらに多くの人の生活が通常モードに戻って来たことにより、オンラインでの消費などモノ消費から体験消費へと移行し、旅行、パーティ、イベントなどへの急激な需要の変化が起こっており、サービス全般のインフレが目立つようになっていました。

パンデミック以降、FF金利(フェデラル・ファンド金利)がゼロの状態が続いていましたが、インフレ抑制のため、3月には25bp、5月には50bp、6月、7月、9月、11月は、4連続で75bpのFF金利の利上げが行われ、今後は、利上げのペースは緩やかになりますが、もうしばらく継続されていくことが予想されています。今年最後となる明日のFOMC でも、50bp の利上げが予想されています。6月からは、保有債券の売却など量的緩和の解除も行われ、9月からはそのペースも上がっています。
そんな変化に伴い、アメリカでは、預金の金利がどんどん上がっているので、アメリカに預金がある人たちにはうれしい恩恵もあります。

アメリカ金利大幅利上げ 4回連続0.75% 75bp アップでFF金利 4%台に突入

インフレの動向に注目が集まる中、今日11月10日、アメリカ労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) は、11月の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。11月は、ガソリン、燃料などエネルギー関連価格が再び下落に転じた他、これまで通り、住宅費、食費が上昇している一方、その他モノ全般は、同レベルまたは下落し、全体としては、7.1% となりました。市場の予想値 7.3% より、低い数値となっています。10月の7.6%より0.5%下がっています。


(tradingeconomics.com)

今回のインフレ、特に今年に入ってからの大きな要因となっているのが、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー関連価格の高騰でしたが、7月以降、石油価格が急落し、あらゆるものの価格に影響を与えるガソリン価格が大幅に下落したことにより、CPIも、今回のインフレサイクルの最高値を更新した6月から下落に転じ、そろそろピークアウトするかもしれないという期待が持てるようになってきています。
ただし、戦争は、現在も継続中で、石油価格の変動は、金融緊縮による景気悪化による石油需要の減退を予期したものなので、今後も、そんな予想がコロコロ移り変わるたびに、CPIに大きな影響を与える状態が続きそうです。10月には、OPEC+ は、11月以降、一日当たり200万バレルの減産を行うことを発表しています。

価格変動の激しい、エネルギーと食費を除外した、コアCPIは、7月は、5.9%、8月は、6.3%、9月は、1982年8月以来の高水準の 6.6% とさらに上昇していましたが、10月は、6.3% と久しぶりに下降に転じた10月に引き続き、11月は、6.0% と下落しています。一ヵ月間のコアCPIの上昇率は、0.2% となっています。

ここ数ヵ月のCPIの変化の大きな要因は、必需品以外のモノ全般の価格下落傾向です。

多くの人々の生活に影響を与える、食費 (自宅 0.5%、外食 0.5%)、特にさらに上昇が続いている住宅費 (0.6%) などは、引き続き高い水準が続いています。
誰もが日常生活で必要な自宅用の基本的な食品の値上がりは、この一年間で、12% と目を見張るものがあります。11月は、多くの食品カテゴリーで、値上がりが収まって来ているようですが、まだ値上がりが顕著なのが、卵、シリアルやパン、ケーキなど小麦の加工食品、牛乳などで、まだ上昇を続けています。干ばつの影響もあり、フルーツや野菜も値上がりが続いていますが、特にレタスは、11月になんと8.9%も値上がっています。
この一年間で大幅に上昇していた交通費も、11月から下落に転じています。これまで大幅な上昇を続けていた航空券も、ようやく下落してきています。
11月のCPI に関する詳細は、こちら です。

CPI は、今回のインフレサイクルで初めて7%を越えた昨年2021年12月以来、これまで、以下のように推移して来ています。12月のインフレ率 は、一年間で 7%、1月のインフレ率 は、7.5%、2月のインフレ率 は、7.9%、3月のインフレ率 は、8.5%、4月のインフレ率は、8.3%、5月のインフレ率 は、再び上昇に転じ、8.6%、6月のインフレ率 は、今回のインフレサイクルで最高となる 9.1%、石油をはじめエネルギー関連価格が急落する中、7月のインフレ率 は、8.5%、8月のインフレ率は、8.3%、9月のインフレ率 は、8.2%、10月のインフレ率 は、7.6% なっていました。

今年は、カリフォルニア州をはじめ、干ばつにより水不足が続いていて、農作物の生産状況にも影響があり、例えば、カリフォルニア米などの値段が上昇しています。
カリフォルニア州、オクラホマ州、カンザス州などでは、まだ深刻な干ばつが長期化しているエリアもあり、今後も供給に影響を与える状況は続きそうです。


(droughtmonitor.unl.edu)

インフレはいつまで続くの?と気になるところですが、やはり最も大きな影響を与えているのが、石油や天然ガスなどのコモディティ価格です。

原油価格の指標となっている、WTI原油先物は、6月には、1バレル$120 まで上昇していましたが、現在は、金融引き締めと、それに伴う景気後退の見込みにより40%近く下落し $70 代付近を推移しています。6月には、1ガロン$5に達した、ガソリンの平均価格 は、かなり下がり、$3.2 前後を推移しています。今後のインフレ緩和に期待が持てますが、景気の動向の予想とそれに伴うリスク資産への資金の流入により、エネルギー関連の価格が変化する状態が続いているため、最終的に安定するためには、ウクライナでの戦争の終結が重要となります。


(tradingeconomics.com)

モノ消費に関しては、在庫も増えつつあり、価格も落ち着き、デリバリーもかなりスピーディになり、正常化しています。一方、久しぶりに自由を満喫できる旅行シーズンを迎え、ペントアップデマンドにより、サービス業セクターは、ホットになっていて、まだ落ち着く気配がありません。

今回の CPI のレポートで明らかになって来たことは、仮に、エネルギー関連価格の下落が継続したとしても、一旦、あらゆるものに波及してしまったインフレを抑えることは容易ではないということです。確たるマネタリーポリシーでの相当な努力と時間が必要となりそうです。

高いレベルのCPIの推移により、来年2023年のソーシャルセキュリティの給付額は、8.7%アップの調整 (COLA) となることが発表されています。

今までの動向を振り返って見ると、最初は、ようやくオミクロンの大流行が収まり、通常モードに戻り、供給が正常化し、これからインフレも落ち着くのではないかと期待していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁と戦禍により、エネルギーを中心に様々なコモディティ価格の高値状態が続き、インフレも長期間に渡って継続する可能性が高まってしまいました。

ロシアへの厳しい経済制裁 SWIFT送金遮断と中央銀行資産凍結 食品また値上がる?

パンデミックにより様々な物の需給が急速に変動し、金融緩和によるアセットバブルの状態が続きましたが、利上げがはじまり、株式市場をはじめ、様々な資産の価格も大きく変動しています。インフレ時には、インフレに連動したアメリカ国債、インフレ連動債もあります。I-Saving Bond は、利率が これまでで最高の9.62% となっていましたが、インフレの落ち着きと共に下降し、現在は、利率6.89% となっています。まだまだ他と比べて有利な条件なので、地道ですが、インフレで増えている消費分をこれで少しでも取り戻したいところです。

アメリカ I Bonds 史上最高利率9.62% もうすぐ終了!11月から新利率6.89%に

インフレでアメリカのあらゆる物の値段が高騰していますが、そろそろ終わりにならないかと期待したいところです。スーパーの食品も卵などまだまだ値上がりが続いているものがありますが、中でも干ばつの影響で、カリフォルニア米の価格の高騰はとても大きいです。私がよくお米を買っている アメリカの日本食オンラインショップ では、今、日本から輸入している日本のお米の方が安く買えます。20ドルOFF のキャンペーンも開催されているので、アメリカ在住者の人におすすめのお店です。

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アメリカ インフレ CPI 7.1% 11月の消費者物価指数 2022年最低値 そろそろ終わり?! was last modified: 1月 12th, 2023 by mikissh