アメリカ インフレ CPI 8.2% 9月の消費者物価指数 コアCPI 40年振りの高水準に

アメリカでは、昨年2021年12月以降、消費者物価指数 (CPI) は 7%以上となっており、40年振りの高水準が続いています。2022年6月に、9.1% の最高値に達して以来、下降基調に転じていますが、急激な利上げが続いているにもかかわらず、想定より緩やかな下落となっていて、エネルギー関連価格の大幅な下落の中、8月は、8.3% となっていました。そして、今日、待望の9月の消費者物価指数 (CPI) が発表されました。CPIは、昨年9月から今年9月までの一年間の数字で、市場の予想 8.1% を上回る 8.2%となりました。エネルギー関連価格が低く推移したことから、ここ数ヵ月の間、一ヵ月間の上昇率は、ゼロ付近になっていましたが、9月は、0.4%と上昇に転じています。変動の激しいエネルギー関連と食費を除いたコアCPIは、6.6%となり、1982年8月以来となる40年振りの数値となっており、あらゆる分野に根強いインフレ圧力が波及しています。

アメリカでは、100年振りのパンデミックへの対策として大規模な金融緩和、経済刺激策が行われてきましたが、そんなパンデミックからの変遷期を終え、すっかり日常が戻って来ています。

昨年末頃から、オミクロンの大流行により雇用やサプライチェーン問題から高い水準のインフレになり、さらに今年2月からはロシアによるウクライナへの侵攻という少し前には予想していなかった混乱も加わり、インフレが加速。最近では、さらにみんなの生活が通常化されたことにより、オンラインでの消費などモノ消費から体験消費へと移行し、旅行、パーティ、イベントなどへの急激な需要の変化が起こっており、サービス全般のインフレも目立つようになっています。

パンデミック以降、FF金利(フェデラル・ファンド金利)がゼロの状態が続いていましたが、インフレ抑制のため、3月には25bp、5月には50bp、6月、7月、9月は、3連続で75bpのFF金利の利上げが行われ、利上げは、今後もしばらく継続されていくことが予想されます。6月からは、保有債券の売却など量的緩和の解除も行われ、9月からはそのペースも上がっています。
そんな変化に伴い、アメリカでは、預金の金利がどんどん上がっているので、アメリカに預金がある人たちにはうれしい恩恵もあります。

アメリカの金利がぐんぐん上がる! 三連続0.75% 75bp の大幅利上げ FF金利 3.25% 2008年以来の高金利に

インフレの動向に注目が集まる中、今日10月13日、アメリカ労働統計局 (Bureau of Labor Statistics) は、9月の消費者物価指数 (CPI) を発表しました。9月は、ガソリンなどエネルギー関連価格が下がり続ける中、その他の項目のインフレ圧力は引き続き高く、8.2% となりました。市場の予想値 8.1% より、高い数値となっています。ほぼ先月と同水準で、8月の8.3%より0.1%下がっています。


(tradingeconomics.com)

今回のインフレ、特に今年に入ってからの大きな要因となっているのが、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー関連価格の高騰でしたが、7月以降、石油価格が急落し、あらゆるものの価格に影響を与えるガソリン価格が大幅に下落したことにより、CPIも、今回のインフレサイクルの最高値を更新した6月から下落に転じ、そろそろピークアウトするかもしれないという期待が持てるようになってきています。
ただし、戦争は、現在も継続中で、石油価格の変動は、金融緊縮による景気悪化による石油需要の減退を予期したものなので、今後も、そんな予想がコロコロ移り変わるたびに、CPIに大きな影響を与える状態が続きそうです。10月に入り、OPEC+ は、11月以降、一日当たり200万バレルの減産を行うことを発表しています。

価格変動の激しい、エネルギーと食費を除外した、コアCPIは、7月は、5.9%、8月は、6.3% と上昇傾向が続いていますが、9月は、6.6% とさらに上昇し、1982年8月以来の高水準となっています。一ヵ月間のコアCPIの上昇率は、先月8月同様、0.6% となっています。

9月のCPIの変化の大きな要因は、先月に引き続き、エネルギー関連全般の下落で、中でもガソリンは -4.9% と引き続き下落しています。ここ最近、あらゆる項目の価格が上昇していましたが、エネルギー関連価格の下落にもかかわらず、8月に引き続き9月も、中古車、アパレル、医療品など一部の項目を除き、ほぼ全ての項目が上昇しています。

多くの人々の生活に影響を与える、食費 (自宅 0.7%、外食 0.9%)、住宅 (0.7%) などは、引き続き高い水準が続いています。
誰もが日常生活で必要な自宅用の基本的な食品の値上がりは、この一年間で、13% と目を見張るものがあります。最も顕著なのが、卵、鶏肉、小麦関連製品、シリアル、米、ベーコン、乳製品、フルーツや野菜の缶詰や冷凍食品、油などで、この一年間で、15-30%も値上がっています。直近9月の1ヵ月間だけでも、値上がりが特に目立っていたのが、小麦粉(2.0%)、リンゴ(5.0%)、ジャガイモ(3.5%)、レタス(6.8%)、炭酸飲料(2.0%)、キャンディ・ガム(2.0%)、マーガリン(4.2%)、ドレッシング(2.4%)、スープ(2.6)、フルーツや野菜などの冷凍食品や缶詰などで、基本的な食材の値上がりが目につきます。
食費の他、交通費も、一年間で、14.6% と大幅上昇しています。中でも、航空券は、42.9% の値上がりとなっています。
9月のCPI に関する詳細は、こちら です。

CPI は、今回のインフレサイクルで初めて7%を越えた昨年2021年12月以来、これまで、以下のように推移して来ています。12月のインフレ率 は、一年間で 7%、1月のインフレ率 は、7.5%、2月のインフレ率 は、7.9%、3月のインフレ率 は、8.5%、4月のインフレ率は、8.3%、5月のインフレ率 は、再び上昇に転じ、8.6%、6月のインフレ率 は、今回のインフレサイクルで最高となる 9.1%、石油をはじめエネルギー関連価格が急落する中、7月のインフレ率 は、8.5%、8月のインフレ率は、8.3% となっていました。

今年は、カリフォルニア州をはじめ、干ばつにより水不足が続いていて、農作物の生産状況にも影響があり、例えば、カリフォルニア米などの値段が上昇しています。
夏も終わりましたが、カリフォルニア州、オクラホマ州、カンザス州などでは、まだ深刻な干ばつが続いているエリアもあり、トウモロコシ、レタス、小麦、米など様々な農作物の生産量にも影響を与えています。


(droughtmonitor.unl.edu)

インフレはいつまで続くの?と気になるところですが、やはり最も大きな影響を与えているのが、石油や天然ガスなどのコモディティ価格です。

原油価格の指標となっている、WTI原油先物は、6月には、1バレル$120 まで上昇していましたが、現在は、金融引き締めと、それに伴う景気後退の見込みにより25%程下落し $89 前後となっています。6月には、1ガロン$5に達した、ガソリンの平均価格 は、9月は、$3.707 まで下がって来ていましたが、OPEC+ の減産を受け、再び $3.9 と上昇に転じています。今後のインフレ緩和に期待が持てますが、景気の動向の予想とそれに伴うリスク資産への資金の流入により、エネルギー関連の価格が変化する状態が続いているため、最終的に安定するためには、ウクライナでの戦争の終結が重要となります。


(tradingeconomics.com)

モノ消費に関しては、在庫も増えつつあり、価格も落ち着き、デリバリーもかなりスピーディになり、正常化に向かっています。一方、久しぶりに自由を満喫できる旅行シーズンを迎え、ペントアップデマンドにより、サービス業セクターは、ホットになっていて、9月以降も落ち着く気配がありません。

今回の CPI のレポートで明らかになって来たことは、仮に、エネルギー関連価格の下落が継続したとしても、一旦、あらゆるものに波及してしまったインフレを抑えることは容易ではないということです。確たるマネタリーポリシーでの相当な努力と時間が必要となりそうです。

高いレベルのCPIの推移により、来年2023年のソーシャルセキュリティの給付額は、8.7%の調整 (COLA) となることが発表されています。

今までの動向を振り返って見ると、最初は、ようやくオミクロンの大流行が収まり、通常モードに戻り、供給が正常化し、これからインフレも落ち着くのではないかと期待していましたが、ロシアによるウクライナ侵攻による経済制裁と戦禍により、エネルギーを中心に様々なコモディティ価格の高値状態が続き、インフレも長期間に渡って継続する可能性が高まってしまいました。

ロシアへの厳しい経済制裁 SWIFT送金遮断と中央銀行資産凍結 食品また値上がる?

パンデミックにより様々な物の需給が急速に変動し、金融緩和によるアセットバブルの状態でしたが、利上げがはじまり、株式市場をはじめ、様々な資産の価格も大きく変動しています。インフレ時には、インフレに連動したアメリカ国債、インフレ連動債もあります。I-Saving Bond は、現在、利率が これまでで最高の9.62% となっています。地道ですが、インフレで増えている消費分を少しでも取り戻したいところです。

I Savings Bond って何?インフレ時におすすめ 現在年利7.12% 預金的に使えるインフレ連動アメリカ国債

インフレで最近アメリカの日常のあらゆる物の値段が増々高騰しています。日常生活で避けられない色々な利用料などが気が付くと値上がりしていたり、スーパーの食品もあらゆるものが値上がりしてしまっていたりと、毎日色々な場面で値上がりを経験しています。中でも干ばつの影響で、カリフォルニア米の価格の高騰はとても大きいです。私がよくお米を買っている アメリカの日本食オンラインショップ では、今、日本から輸入している日本のお米の方が安く買えます。20ドルOFF のキャンペーンも開催されているので、アメリカ在住者の人におすすめのお店です。

インフレで出費が増えているこんな時だからこそ、お得にお買い物ができるよう色々工夫をしています。
アメリカでは、知っているとお得に買い物ができるキャンペーンが実は色々あります。
アメリカ在住者でまだ利用したことがなければ、この機会に利用してみるのもいいかもしれません。おすすめです!

アメリカ生活 お得節約情報まとめ おすすめアプリ紹介!

アメリカ・ニューヨークの最新情報をいろいろ発信しています!
Youtubeチャンネル → こちら
インスタ → こちら
Facebook → こちら
Twitter → こちら

アメリカ インフレ CPI 8.2% 9月の消費者物価指数 コアCPI 40年振りの高水準に was last modified: 10月 13th, 2022 by mikissh