ニューヨークのアメリカンアートミュージアム、ホイットニー美術館では、2年に1度開催されるアートイベント、ホイットニーバイエニアル (Whitney Biennial) が、はじまりました。アート好きが多いニューヨーク、さっそく多くのニューヨーカーたちがやってきていて、とてもにぎわっています。新進気鋭のアーティストたちによる自由な発想の最新アートに興味がある人は、必見のアートイベントです!
ニューヨークの最新人気エリア、ミートパッキングディストリクトにある、ホイットニー美術館では、79回目となる Whitney Biennial が、一週間程前の5月22日からはじまりました。
「ホイットニーバイエニアル」とは、1932年にスタートした伝統ある特別展で、1973年以来ずっと、2年に1度開催されています。アメリカの新進気鋭のアーティスト、75人の最新作品が展示され、新人アーティストの登竜門ともいえるイベントで、面白い発想の作品を色々見ることができます。
ホイットニー美術館は、アメリカ有数のアメリカアートに特化したミュージアムで、アメリカの著名アーティストの作品やアメリカンアートの企画展が展示されています。初めてホイットニー美術館に訪れる人は、アメリカアートの展示も見逃せません。また、ホイットニー美術館のおすすめの見どころの一つは、ルーフトップからの素晴らしいニューヨークの絶景です。エンパイアステートビルと、ハイライン周辺の夜景が見渡せるロマンチックな展望スポットとなっています。
現在、最上階の8階で行われているのが、カラーフィールド (Color Field) と呼ばれる色彩豊かな作品が並ぶ、美しいアートの企画展、“Spilling Over: Painting Color in the 1960s” が開催されています。こちらは、Kenneth Noland さんの作品です。
20世紀中頃のアート界では、ニューヨークを中心に抽象表現主義が隆盛でしたが、そんな中の一派が、色彩を重視した Color Filed と呼ばれるアーティストたちです。色を使いこなすアーティストというと、例えば ロスコ が思い浮かびますが、シンプルな幾何学模様を用いた、ミニマリスト的な作品が多いです。SFMOMA でも見かけましたが、独特の色合いが印象的な Ellsworth Kelly の作品も展示されています。こういうアーティストたちは、使用する色合いそのものがアーティストのブランドになっている感じです。
ホイットニー美術館では、アウトドアのアート展示もあり、そのうちのひとつが、屋上の一番上の階からのぞき込むと見える、こちらの夏のビーチをイメージしたようなカラフルなアートです。映像アートの作品で各丸いスポットで映像が見られるようになっています。
ニューヨークのダウンタウンとハドソン川の美しい景色が眺められ、まるで展望台のような楽しみ方もできます。
7階は、ホイットニー美術館の常設展示フロアとなっています。ホッパー、オキーフ、ウォーホルなど著名なアメリカ人アーティストの作品が展示されています。このあたりは、ホイットニー美術館の見どころ で紹介しているのでご覧ください。
春から初夏にかけてのこの季節は、風がとても気持ちよく、ホイットニー美術館は外も楽しめるので、今の季節にぴったりです。とても月が美しい日でした。金曜日と土曜日は、夜10時までのオープンとなっていておすすめです。
もう一つの屋外アート作品がこちらのコーナー。これはなに??人々のアテンションを引いてしまう不思議な世界が広がっています。いよいよ新進気鋭のバイエニアルの不思議の世界へようこそ!という感じです。5階と6階が、バイエニアルの会場となっています。また、1階と3階にも小さなギャラリーがあります。
そばへ寄って行ってみると、巨人の像が並ぶ何かのストーリーの一番面のような会場になっていました。どこかのアニメの天竜人のような光景です。
ぐるっと一周回ってみようと思ったら、突然煙が噴き出すこの演出に、近くにいた人たちはびっくりして顔を見合わせてしまいました。
インスタグラマーが思わず撮影したくなるような、面白い絵になる風船アート。
のぞき込んだら、その向こう側が見えている感じの楽しい構図の作品。
愛嬌のある個性的なキャラクターに思わず注目してしまうポップな作品。
様々な金物道具が美しく整然と並べられていて、何かの暗号文字のようです。
巨大なウォールアートの前には、柵があり、その奥では催涙スプレーを破壊しています。メッセージ性のある作品です。
実は、ホイットニー美術館のボードメンバーには、メキシコ国境などで使用されている催涙スプレー (Tear Gas) の製造会社のオーナーがいて、辞任を求め、プロテストが行われていました。
オリンピックアートも面白いです。スポーツというと写真や映像ですが、敢えて絵で描いている所が新鮮です。
時計がいっぱいのクロックルーム。微妙に時間がずれていっています。
手前の個性的なフォルムの彫刻 (Simone Leigh)、奥の独特の色合いの絵画 (Janiva Ellis)、どちらも黒人女性アーティストのインパクトのある作品です。
キルトのアメリカ国旗。最近は、自分のルーツを表現する「アイデンティティーアート」(Identity Art) の作品もよく見かけます。
ホイットニー美術館のギフトショップも、今なら、Whitney Biennial 2019 のスペシャルバージョンの品ぞろえになっています。
ホイットニーバイエニアルは、9月22日までの開催です。自分の美意識から少し離れ、大人の遊園地といった雰囲気で、自由で、クリエイティブな発想を楽しみに訪れてみるのがおすすめです。
ホイットニー美術館の行き方やチケット情報は ホイットニー美術館 の記事を、また、2年前2017年版の ホイットニーバイエニアル もご覧ください。
バイエニアル2019 の特別展は、普通の入場料だけで入れます。ニューヨークパス を利用しても入れます。
最新のホイットニーバイエニアル2022の様子は、こちらです。3年ぶりの開催となっています。
前回の2017年の様子は、こちらです。