ニューヨークのチェルシーのギャラリー、David Zwirner では、今世界で最も人気の高いアーティストと言っても過言ではない日本人アーティスト、草間彌生さんの特別展、”Festive of Life” が開催されています。ギャラリー内には、大人気の Infinity Mirror Room (無限の鏡部屋) もあり、連日、数時間待ちの大行列ができています。
草間彌生さんは、現在は日本で活躍されていますが、1960年代前後、ニューヨークで活躍していたアーティストで、当時のニューヨークのアートコミュニティーの中でもかなり存在感のあるアーティストだったそうです。ニューヨークで活躍し、アメリカンアートの流れの中で確立されたアートと言うことで、アメリカでは、アメリカンアートの一部として認識されています。独特の世界観、色使い、視覚的に人々をあっと言わせるその作品群は、インスタグラムなどビジュアル的側面がより大切な現在にとてもマッチした作品で、アートの専門家もそうでない人も、子供から大人まで、幅広く感動させることができる稀なアーティストです。
現在では、草間彌生さんの作品は、世界中の蒼々たるミュージアムに展示されており、今年は特に、北米のいくつかの美術館を巡回中の特別展、”Yayoi Kusama: Infinity Mirrors” が大変な人気ぶりだと伝えられています。先日、LA旅行で訪れた ザ・ブロード でも、ちょうどその特別展が行われていて、大行列ができるほどの人気ぶりとなっていました。
そんな草間彌生さんの特別展が現在ニューヨークでも大人気となっていて、連日、数時間待ちの大行列ができています。午後2-3時に列が打ち切られることもあるので、行く場合は早めに到着が望ましいです。
It’s a beautiful Saturday in NYC. Planning to visit Yayoi Kusama #FestivalofLife? Expect queue times of about 3 to 4 hours. The line may be cut off around 2-3PM. More FAQs here: https://t.co/qm8IQ6OtdG
— David Zwirner (@davidzwirner) November 25, 2017
まず最初に見学するのは、ギャラリーでみんなのお目当てとなっているこちらのお部屋、無限の鏡部屋 (Infinite Mirror Room) です。用意されている靴カバーを着け見学します。部屋には、一度に5人づつ入り、ドアが閉められ、鑑賞時間は1分間です。1分経ったら次のグループと交代するという感じで、中にいられる時間はあっという間です。ミラールームなので、どこにいても自分の姿が見え、また人の姿も見えますが、小人数なので、それ程相手が気にならない感じで写真撮影ができました。5人組でいったらもしかしたら貸し切りになって楽しいかもしれません。
部屋の中央には、覗き込むような形で見る、魔法の世界のような不思議なシルバーボールの世界が楽しめます。
水に浮かぶ美しい銀のボールは、昨年、著名な建築家、フィリップジョンソンさんのグラスハウスでも見かけました。実は、この数多くの銀のボールで構成される作品は、”Narcissus Garden” というタイトルで、1966年のヴェネツィア・ビエンナーレの会場の外で非公式に展示されたものです。ボールの販売も行っていたそうで、そんな行いのせいか、途中で公開中止となったと言う逸話もあります。
二つ目のお部屋はこちら。中を覗き込んでみると
WOW な草間さんワールドが見られます。
いくつか窓があって中を覗き込めるのですが、おもしろいのがそんな覗き込んでいる人たちの顔もアートの一部になって見えることです。
色々な色の世界を楽しむことができます。
そして、暗い光の世界から明るい光の世界へ。ポルカドットのチューリップワールドのお部屋へ入ってきます。
セルフィー写真スポットとなって賑わっていました。
草間彌生さんのサイン入り。
そして、フィナーレはこちら、広いギャラリーの周囲に絵画作品がずらっと並べられた圧巻のお部屋です。お部屋の中央には、存在感のある花の彫刻もあります。こちらは、並ばずに見学することができます。この時には、可愛らしい子供たちが沢山集まってお絵描きをしていました。ニューヨークではよくメトロポリタン美術館や自然史博物館など、ミュージアムに子供たちがやってきてアートの勉強をしている様子を見かけますが、こちらのギャラリーでもそんな様子が見られ、改めてニューヨークの子供たちは本当にアートを学ぶ環境に恵まれているなと感じます。
“Festival of Life” は、チェルシーのギャラリーで、12月16日まで開催されています。
David Zwirner “Festival of Life”
533 W 19th St New York, NY 10011 MAP
火曜日 – 土曜日 10AM – 6PM
入場無料
David Zwirner のギャラリーはニューヨークに二つあり、現在両方で草間彌生さんの特別展が開催されています。
こちらがもうひとつの David Zwirner のアッパーイーストサイドにあるギャラリーで行われている “Infinite Nets” です。様々な色合いの “Infinite Nets” が展示されています。”Infinite Nets” は、草間彌生さんが、アーティストとして初期の頃から描き続けているモチーフで、ニューヨークへやって来た後も、ひたらすこのモチーフを描き続けていたそうです。
色合いの違う作品がいくつか並んでいますが、とても細かなネットは、変わりません。
アッパーイーストサイドの “Infinite Nets” は、12月22日までとなっています。
David Zwirner ”Infinite Nets”
34 E 69th St New York, NY 10021 MAP
草間彌生さんは、ニューヨーク時代、著名なアメリカ人アーティスト、Donald Judd らとも友人だったようです。2008年に、テキサス州マーファのミュージアムなどでも知られている Donald Judd が所有していたと言う、1959年の Infinity Nets の作品、No. 2 が、$6 million 近い値段で落札されて以来、Infinity Netsをモチーフとした作品の価値は上昇を続けています。
こちらのツイートで紹介されている記事には、Donald Judd の草間彌生さんに対する印象が紹介されています。
In a previously unpublished interview shared by @ARTnewsmag, Donald Judd reflects on a colleague he greatly admired: Yayoi Kusama. A selection of Kusama's Infinity Nets paintings are at the @juddfoundation through December 2. https://t.co/Q0G2xb0xEI pic.twitter.com/G6s3uZqUNF
— David Zwirner (@davidzwirner) November 27, 2017
ちなみに、草間彌生さんは、あのジョージア・オキーフとも手紙をやり取りしていたそうで、オキーフがニューヨークを訪れた際、草間さんの様子を見に来たこともあったようです。1970年代にニューヨークを離れ、日本へ帰り、アメリカのアート界から姿を消した形となっていましたが、現在へとつながっていく大きな転機は、1998年に行われたMOMAで行われた特別展だったようです。その後、2008年のオークションなど価値が高まる中、2012年には、ロンドンの Tate、ニューヨークのホイットニー美術館で回顧展が行われたり、ルイヴィトンとのコラボなどで知名度が高まり、現在、世界で最も人気の高いアーティストの一人となっています。
東京にも草間彌生美術館がオープンし乗りに乗っている草間彌生さんですが、北米でも、人気の特別展、”Yayoi Kusama: Infinity Mirrors” が、2019年の2月まで、以下のスケジュールで、様々な美術館で行われています。
Hirshhorn Museum and Sculpture Garden, Washington, DC, Feb 23–May 14, 2017
Seattle Art Museum, Seattle, June 30–Sept 10, 2017
The Broad, Los Angeles, Oct 21, 2017–Jan 1, 2018
Art Gallery of Ontario, Toronto, March 3–May 27, 2018
Cleveland Museum of Art, Cleveland, July 9–Sept 30, 2018
High Museum of Art, Atlanta, Nov 18, 2018–Feb 17, 2019
2019年に、David Zwirner で、再び開催された特別展の様子はこちらです。
草間彌生 NYチェルシーの David Zwirner で特別展開催中!大人気のインフィニティミラールーム 2019最新作も大集合