以前、ニューヨークの最近のタクシー事情として、UberやLyftなど便利な携帯アプリを中心とした新しいサービスとの競争でタクシーの収益が落ち、そしてさらにニューヨークでタクシー業を行うことができる権利である、メダリオン価格の下落が起こっていることについて紹介しましたが、そんなトレンドを変えることができるかもしれない、ニューヨークタクシーで使える新しいアプリ、Arroが9月に登場するそうです。
「Arro」は、現在、ニューヨークでテスト中で、9月にはサービス開始を予定しているそうです。その後、順次サンフランシスコやワシントンDC、シカゴなど、全米の大都市に拡大を考えているとのことです。おそらくニューヨークのタクシー業界にとっては待望のアプリであり、少なくともUberやLyftなどの新しいサービスに対抗できる基本的なインフラとなり、タクシー業界のトレンドを変える救世主となる可能性を秘めているかもしれませんね。
ちなみにニューヨークタクシーの営業権利のメダリオン価格のトレンドは現在こんな感じです。aei.orgの記事によると、低金利、金融緩和で、すっかりアセットバブルの経済であるにも関わらず、そんな中メダリオン価格は急落を続け、2013年から、なんと30%以上下がっているようで、今では完全に流動性を失い取引はほとんど行われていない状態だそうです。7月には、最大のメダリオンの保有者が破産保護を申請したというニュースも出ていました。
(aei.org)
そんなニューヨークのタクシー業界の現状を伝えるこんなドキュメンタリーもつくられていました。政策によりつくりだされた歪みにより、以前はタクシー業界がどれだけ儲かるビジネスだったのか、そしてメダリオンの価値のバブルを引き起こしていたのかが分かります。
「Arro」の強みは、多くのニューヨークのタクシーの約半分ほどに、支払いやエンターテイメントシステムを提供しているCreative Mobile Technologiesとパートナーを組んでいることで、ドライバーのスマホと連動することなく、タクシー自体に備え付けで、サービスの機能を追加することができるようです。残りのタクシーに支払いシステムを提供している会社とも提携を模索中のようです。
ニューヨークの街中で、混雑する場所や時間帯にタクシーを捕まえるのは一苦労です。そんなニューヨークのタクシーですが、アプリで呼ぶだけでやってきてくれるようになり、今までのタクシーが捕まらないという苦労から開放してくれるようです。また支払いもアプリ内で完結することが可能となり、乗車時に現金やクレジットカードでのやりとりの必要がなくなるようで、かなり便利になりそうです。Uberなどで評判の悪い、混雑時の料金アップなどもなく、タクシーの現在の料金体系のままとなるようです。またうれしい副作用として、タクシー内で何か忘れ物をしてしまった時のトラッキングもとても簡単にできるようになりそうです。
アプリのプロモーションビデオによるとこんな感じになるようです。
スタート時の、アプリの使い勝手、サービスレベルはどのようになるか分かりませんが、利用者にとっては、より便利になっていくことは間違いないですね。