クニッシュって何？Yonah Schimmel Knish Bakery ニューヨークで100年以上続く老舗ベーカリー

ロウアーイーストサイドを散歩中、なんとも歴史がありそうなニューヨークらしいお店がふと目にとまりました。そのお店は、「Yonah Schimmel Knish Bakery」。お店の前を通りすがる他の人たちも皆なんとなく引き寄せられて、ウィンドウ越しに何のお店だろう？と覗いています。そんなちょっと気になる雰囲気を醸しだすお店なのですが、よくみてみると、そこは、クニッシュ（Knish）の専門店でした。
ニューヨークらしい、異国料理巡りのお店にもぴったりのこのお店。クニッシュってなんでしょう？ウィンドウ越しにもずらりとクニッシュが並んでいるのが見えます。ちょっとずっしりしたパンのような感じです。

実はこのパン、マッシュポテトをベースにしたもので、いわゆる、お惣菜パン的なもの、または、おやきみたいなものです。東欧系の伝統的な料理のひとつで、基本は、マッシュドポテトと炒めた玉ねぎで、それにほうれん草や、マッシュルーム、チーズなどを入れ、周りを薄い皮で包んで焼いたものです。できたてアツアツのうちに、マスタードをつけて食べるとおいしいのだそう。ロウアーイーストサイド一帯は、昔からジューイッシュ系の人々の老舗のお店が並ぶエリアとして有名ですが、このお店もそのうちのひとつなのです。

お店の中に入ってみると、かなりノスタルジックな昔のままの食堂風な店内でした。店内のテーブル席でゆっくり食べることもできるようですが、この日は急いでいたので、入り口の近くのカウンターで、1個だけテイクアウト。

こちらのビデオでは、Knishについて詳しく説明されています。

なんだかとっても素朴で、笑顔で親切なお店の人。ひさしぶりに、昔ながらのローカルな老舗のお店にやってきたのを感じます。そう、ここ最近のニューヨークでは、多くの小さいお店や、昔ながらの老舗の名店などが、レントやその他の経費の高騰の影響を受けて、ビジネスを続けられなくなるケースが増えています。ニューヨークは、移り変わりが早い街だとわかっていても、そういう昔からのニューヨークらしさの面影を残す店がなくなっていくのはとても寂しいですね。

そういえば、ブルックリンのベイリッジにあるカップケーキのお店、Robicelli’sも、地元民に愛されてきたお店だったのですが、やはり影響を受けて、クリスマスまでは営業をしますが、そのあとは、ニューヨークを離れ、ボルチモアに移ることに決めたというニュースも出ていました。

このクニッシュのお店のある通りには、パストラミサンドの専門店、カッツ (Katz’s)、や、スモークサーモンなどの専門店、ラス＆ドウターなどもあり、まさに、ロウアーイーストサイドの歴史的お店通りにあるお店のひとつなのです。
このロウアーイーストサイドエリアは、もともと移民たちがプッシュカートで商売を始めた歴史がある街なのですが、このお店もそのうちのひとつです。ルーマニアから移民でやってきて、ロウアーイーストサイドに住み、最初は、クニッシュをカートにのせて売ったのが始まりでした。1910年に今の場所に店舗を開き、そのまま100年以上も続けてきた歴史あるお店なのです。

クニッシュは、お惣菜系以外に、スイーツ系もあります。この日は、スイーツ系のスイートポテトを試してみました。一個がかなりのボリュームがあります。日本のスイーツのサイズから考えると、軽く10倍はあります。味は日本のスイートポテト系のスイーツを想像していたのですが、実際はずっと甘さ控えめで、素材の味を生かす感じの美味しさでした。