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「インスタカート Instacart」 って何?Whole Foodsでみつけた新サービス

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ホールフーズ (Whole Foods) のレジで見つけた “We ♥ Instacart”(インスタカート)、いったいどんなサービスなんだろうと興味を持ったところ、ちょうどお隣のレジで、お客さんもいないのに黙々とレジを打っている見慣れない人々を発見しました。しかもまさに今見つけた “Instacart”(インスタカート)のマークがそこにあり、見たところどうやらこの人達は、Whole Foods の従業員ではなく、Instacart(インスタカート)の人のようなのです。レジの清算が終わった後は、見たことのないオリジナルのエコバッグに次々と商品が入っていきます。そのバッグにも “Instacart”(インスタカート)のロゴが入っています。ますます興味を持ちました、何だろう、この Instacart(インスタカート)って?

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実は、この Instacartインスタカート)とは、オンラインでオーダーを入れると、当日、直ぐに買い物をして、デリバリーをしてくれるというサービスを提供している、今話題の会社なのです。なんと最短、一時間で届けてくれるそうですよ。

インスタカート (Instacart) は、2012年にサンフランシスコでスタートし、現在、ニューヨークも含め、アメリカのほとんどの大都市でサービスを提供しています。先月ベンチャーキャピタルから3度目となる資金調達(Series C)で$220 Millionもの資金を集め、今やなんと$2 billionの評価の会社になっていて、拡大フェーズに突入しているようです。Forbes の America’s Most Promising Companies でもトップに選ばれている有望な会社のようで、そのうちIPOで登場するかもしれません。
Uber や Airbnb に触発されたビジネスモデルで、消費者とスーパーなどのリテイルの間に入り、いわゆる昔ながらの”お買い物代行業”をやってくれるビジネスなのですが、今流行りのシェアリングエコノミー (Sharing Economy) を背景にかなり急激に成長しています。

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(Twitter/instacart)

時間を節約したい、もっと楽に買い物をしたい、と考える消費者のニーズと、たくさんの在庫を抱え少しでも効率よく商品を回転させたいというホールフーズのような大型リテイル店のニーズを上手くマッチングさせています。インスタカートは シェアリングエコノミー (Sharing Economy) をベースとしたビジネス。つまり空いた時間を有効利用して稼ぎたいと思っている人に、それぞれが都合のいい時間に都合に応じて働くことができるプラットフォームを提供し、それがシステムの土台となっています。そして、Grocery Delivery という、いわゆる買い物代行という昔ながらのビジネスでも、スマホの普及で、アプリを提供することによって、即顧客の On-Demand の注文が、これまた On-Demand の労働力によって受注・実行できるようになったということが大きく、システムやオペレーションの運営コストを大幅に節約、効率的に管理でき、スケールさせることが可能になってきています。とにかく、このインスタカートのサービスの流れと仕組みを見ていると、評価額の妥当さは分かりませんが、みんなが win win のモデルのように見えます。また Uber や Airbnb の領域であるタクシーやホテルなど営業上の許可や複雑なルールがある業界とは異なり、リテイルで買い物代行業というほとんど規制のない業界であることが魅力的なようです。

ホールフーズの奥の目立たない場所にインスタカート専用レジがあります。

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次から次へと注文を裁いていきます。$35以上購入の場合、2時間以内のデリバリーで$3.99、1時間以内のデリバリーで$5.99。あれ?意外と良心的な値段なんだ、って驚きました。でも、それぞれの商品のお値段にすでに利ざやが乗せられているそうなので、やはり自分で直接お店に買いに行くよりは多少は高めです。このインスタカートのサービスは、通常、朝9時から深夜0時まで営業しているようです。

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Whole Foodsとは特別の関係のようで、店内には、こんなロッカーのようなものも。デリバリーだけというわけではなく、ピックアップという選択肢も提供しているようです。それぞれのリテイラーによって関係は異なるようで、お店によっては、全くパートナー関係にはなく、当然、専用レジは与えられないので、普通のお客さんと同じように列に並び、定価で購入し、それをデリバリーするという完全代行モデルのケースもあるようです。また再販を容認していないトレーダージョーズ (Trader Joe’s) では買い物できないので対象外のようです。

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先日、ホールフーズ (Whole Foods) の第一四半期の好決算が発表されていましたが、インスタカート (Instacart) の貢献にも触れられていて、こんな Instacart Is Retail’s New Best Friend — Just Ask Whole Foods という記事も出ています。Instacart は、自身が店舗を持つリテイルビジネスに進出せず、デリバリーのみに専念し、Whole Foods など、その他多くのお店とパートナーを組んでいくストラテジーをとっています。自前のデリバリーシステムを持たない小売店にとって、たしかに販売チャネルを増やしてくれるありがたいパートナーとなりえます。天候が悪くて客足が落ちる日でもインスタカートの注文が増えればスーパーは売り上げの落ち込みをおさえることができます。スーパーと同じように自身で在庫を持って、かつデリバリーまでする、フレッシュダイレクト (FreshDirect) というサービスもありますが、この Instacart は在庫を持たず、デリバリーにのみ特化することに目をつけたサービス。根本的には家に食料品を届けてもらえるサービスということで、客層は同じなので、競争は激化していくことでしょう。いずれにしても消費者視点ではありがたいサービスだと思います。ニューヨークのスーパーは混み過ぎていて、レジ待ちの時間が長いという要因もあるかもしれませんが、現実的に忙しいニューヨーカーたちは、食料品のお買い物が嫌いな人が多いのは事実です。ニューヨークで拡大する可能性を持ったサービスだと思います。
忙しくて買い物をしている時間のない人や新しいもの好きは試してみても面白いかもしれません。

「インスタカート Instacart」 って何?Whole Foodsでみつけた新サービス was last modified: 3月 21st, 2018 by mikissh