グッゲンハイム美術館 (Guggenheim Museum New York) は、ニューヨークのアッパーイーストサイド、セントラルパークに隣接した近現代アート美術館です。著名建築家のフランクロイドライト (Frank Lloyd Wright) による、グッゲンハイム美術館の外観は特徴なデザインの建築で、ニューヨークのアイコンの一つとなっており、2019年に、世界遺産となりました。グッゲンハイム美術館の特徴である、美しい螺旋状のメインギャラリーでは、期間限定で様々なテーマの特別展が開催されます。また、20世紀以降の近代アートを中心としたコレクションを誇り、ピカソ、セザンヌ、ゴッホらポスト印象派の有名アーティストの作品が並ぶ常設展も見どころとなっています。
グッゲンハイム美術館 入場料 チケット予約・購入方法
グッゲンハイム美術館は、建築も有名で人気があるので、ミュージアム自体は1時間ほどで見て回れる小さなミュージアムなのですが、入場料は高めです。旅行者であれば、観光パスを上手に使ってお得に見て回るのがおすすめです。
ディスカウントチケット
ニューヨークの定番観光地をお得に回れる シティパス など、ニューヨークの観光パス が色々使えます。多くの有名観光名所をお得に回れるのでおすすめです。
グッゲンハイム美術館 チケット 入場料
・大人 30ドル
・シニア(65+) 19ドル
・学生 19ドル
・12歳以下 無料
→ グッゲンハイム美術館公式チケットページはこちら
グッゲンハイム美術館 行き方
メトロポリタン美術館 や、セントラルパークからすぐの、ニューヨーク、アッパーイーストサイドの五番街、ミュージアムマイル沿いにあります。
以下地図をご覧ください。
グッゲンハイム美術館へは、ニューヨークの地下鉄 4, 5, 6, Q線の86ストリート駅から徒歩14分。
または
バス M1, M2, M3, M4 にて、最寄りのバス停で下車します。(マジソンアヴェニュー、または、5番街沿い)
グッゲンハイム美術館 Solomon R. Guggenheim Museum
1071 5th Ave, New York, NY 10128 地図
開館時間:→ 営業時間・休館日について
日 – 金 11AM-6PM
土 11AM-8PM
休館日
サンクスギビングデー, クリスマス 12/25
グッゲンハイム美術館 見学所要時間:1-2時間ほど
グッゲンハイム美術館 アプリ と、無料ガイドは、こちら です。パンフレットの配布はないのでダウンロードしておきましょう。
グッゲンハイム美術館の見どころ
2019年7月7日、フランクロイドライトの建築のひとつとして、グッゲンハイム美術館が世界遺産に なりました。そんなグッゲンハイム美術館の建築は、当然このミュージアムの見どころのひとつとなっています。
グッゲンハイム美術館のコレクションは、主に ソロモン・R・グッゲンハイム (Solomon R. Guggenheim) が収集したものによって構成されていますが、他にも何人かのコレクターのコレクションも取得し、グッゲンハイム美術館のコレクションに加えられています。それぞれのコレクターにより、そのコレクションの好みに違いがありますが、全体としては19世紀の印象派から、キュビズムやシューレアリスム、20世紀中盤の近代アートまでのコレクションの中から選ばれた、コレクションを代表するような作品が展示されています。
グッゲンハイム美術館の楽しみ方のポイントは、何といっても、このフランクライドライト建築ならではの、優雅な雰囲気の建物の緩やかならせんのループをゆったりと歩きながら、絵画や彫刻などのアート展示を楽しむことです。メインとなる螺旋状のギャラリーでは、様々なテーマの特別展が、期間限定で開催されます。また、途中、螺旋状のギャラリーから外側にいくつかのギャラリースペースがあり、印象派・ポスト印象派の有名アーティストの作品が順次入れ替わりながら展示される常設展、その他の小規模な特別展も開催されています。
アート作品の他、最上階から見下ろす建物の中のインテリアも素晴らしいです。
グッゲンハイム美術館とは?
グッゲンハイム美術館は、その名のとおり、ソロモン R グッゲンハイムさんの功績によってできたミュージアムです。
こちらは、ミュージアム運営のパートナーであったドイツ人画家 Hilla Rebay さんによるソロモン R グッゲンハイム (Solomon R. Guggenheim) さんの絵画です。鉱山会社を経営する裕福な一家に生まれ、自身も鉱山会社の経営をしていましたが、次第にアートの収集にはまっていき、ビジネスを引退してからは当時のコンテンポラリーアート、現代で言うとキュビスムやシューレアリスムなど抽象的な作品を中心としたの近代アートのコレクターとして活躍しました。1939年に、グッゲンハイム美術館の前身、the Museum of Non‑Objective Painting との名称で美術館をオープンさせました。
Solomon R. Guggenheim さんがフランク・ロイド・ライトにミュージアムのデザインを依頼したのは1943年のことでした。Solomon R. Guggenheim さんはその後まもなく1949年に亡くなり、ミュージアムは、Solomon R. Guggenheim Museum と名称が変更されます。
フランクロイドライト建築のグッゲンハイム美術館の建物は、相当長い期間をかけて建設され、1959年にようやく完成しました。ところが、その完成を目前にし、フランク・ロイド・ライトは亡くなり、グッゲンハイム美術館は彼が最後に手掛けた建築となったのです。
グッゲンハイム美術館では以前まで、写真撮影は禁止されていたのですが、現在はポリシーが変更され、館内での写真撮影が可能になりました。グッゲンハイム美術館ならではの素敵な雰囲気を写真におさめることができるようになったのはとてもうれしいことです。
グッゲンハイム美術館の特別展
グッゲンハイム美術館では、パブロ・ピカソの没後50周年記念の特別展として、ピカソが若いときに描いた作品をテーマにした面白い特別展が開催されています。
▶️ グッゲンハイム美術館 ピカソ特別展 Young Picasso in Paris!若いピカソの才能とパリの雰囲気が伝わる特別展
グッゲンハイム美術館 ピカソ特別展 Young Picasso in Paris 開催中!若いピカソの才能とパリの雰囲気が伝わる展示
印象派・ポスト印象派の常設展
グッゲンハイム美術館には、らせんループエリアの展示とはちょっと趣向を変えて、オーソドックスな印象派の作品が展示されているセクションもあります。有名な印象派画家の作品が数多く展示されていて、ドイツでギャラリーを経営していたと言う Justin K. Thannhauser さんのコレクションだったことから Thannhauser Collection と呼ばれています。印象派・ポスト印象派の著名アーティストの作品が、随時入れ替わりながら展示されています。
ピカソ
ピカソの作品が数多く展示されています。Toulouse-Lautrec のような感じを受ける、当時のパリのアーティスト達の人気スポット、Moulin de la Galette を描いたものです。ピカソがまだ19歳だった頃の作品です。
ピカソの青の時代の最後の頃、1904年の作品。まだ暗い雰囲気ですが、色合いが明るくなりつつあります。
キュビスムの時期が終わった後の1920年の作品。シューレアリスムな感じを漂わせています。
マティスのような雰囲気のピカソ。1931年の作品、黄色い髪の女性 (Woman with Yellow Hair) です。
セザンヌ
静物画を得意としたセザンヌの桃を描いた作品。キュビスムの代表的アーティスト、ピカソやブラックらに影響を与えたアーティストです。
ゴッホ
ゴッホが、亡くなる前年、1889年に、精神病院に入院中に描いた作品、Mountains at Saint-Rémy。
ゴーギャン
南国をモチーフとした作品で有名なゴーギャンの1991年のタヒチの光景を描いた作品、In the Vanilla Grove, Man and Horse。
ドガ
バレリーナのモチーフで有名なドガの彫刻作品も飾られています。
グッゲンハイム美術館コレクションの代表的なアーティスト
カンディンスキー
グッゲンハイム美術館でコレクション数の多い代表的な画家の一人といったら、ロシア出身のアーティスト、カンディンスキー (Wassily Kandinsky) です。
カンディンスキーの “Composition 8″。作品の構成や色使いがミロの作品を彷彿とさせるような作品です。カンディンスキー (Wassily Kandinsky) は、後に大流行することとなる抽象画家の元祖とされる画家です。
カンディンスキーの作品がずらりと並ぶギャラリールーム。
ドローネー
フランス人画家ドローネー (Robert Delaunay) の “Circular Forms” です。ドローネーは、カンディンスキーと並び、抽象アートの先駆者の一人とされています。
ひとつひとつの作品が贅沢な空間に飾られていて優雅に鑑賞できます。
ドローネーは、色使いが印象的な画家です。
ドローネーのような抽象画アーティストにかかるとエッフェル塔もこんな印象になります。
モンドリアン
そしてもうひとり、抽象アートの先駆者として名があがる、オランダ人アーティスト、モンドリアン (Piet Mondrian) の作品もたくさんあります。
ルソー
グッゲンハイム美術館のループ沿いの作品群の中では、少し場違いな感じのする作品がこちらのコミカルな作品、ヘンリー・ルソー (Henri Rousseau) の “The Football Players” です。ジャングルを背景とするなど日常とは異なった異空間の作品が多い画家ですが、そんなルソーのファンタジー感のあるアートは、その後のシューレアリスムにつながっていったのかもしれません。
デュシャン
マルセル・デュシャンは、アメリカにやって来て活躍したフランス人アーティストで、キュビスムの代表的なアーティストの一人です。
後にアート界への批判から、現在へと続く社会的なメッセージを込めた自由スタイルのアートをスタートした人物でもあります。
シャガール
メルヘンチックな作風のシャガールのコレクション。不思議感満載で思わず引き込まれてしまいます。
フランツ・マルク
フランツ・マルク (Franz Marc) は、シャガールと同時代に活躍したアーティストで、シャガールやカンディンスキーと似た雰囲気の作風をしています。
Franz Marc の “Yellow Cow” です。
グッゲンハイム美術館では、美術鑑賞の途中、ふと周りに目を向けてみるとこんな壮観な光景が見られます。フランクロイドライトの傑作の建物は本当に素晴らしいです。
モジリアーニ
一目でモジリアーニ (Amedeo Modigliani) の作品だと分かる独特の世界を築いています。こちらにあるように、現在、世界トップレベルの価格で取引される画家でもあります。
らせんループの途中には思わず覗いてみたくなる小さな読書室も。
アレクサンダー・カルダー
アレクサンダー・カルダー (Alexander Calder) の繊細なバランス感覚が光る作品。
シューレアリスム
ソロモン・グッゲンハイムさんの姪にあたる著名なアートコレクターのペギー・グッゲンハイムさんは、シューレアリスムの作品を多く、収集していました。ちなみにベニスには、姪のペギーさんの名前の冠された、ペギー・グッゲンハイムミュージアム、Peggy Guggenheim Museum があります。
シューレアリスムの著名な画家、マグリット (René Magritte) の作品 “Voice of Space” 。SF小説のような世界です。
Yves Tanguy の “The Sun in Its Jewel Case”。こちらも独特な世界観です。
Paul Delvaux ”The Break of Day”。異次元な不思議な世界へと飛んでいきます。
Victor Brauner さんの作品。その名も “The Surrealist”。ルソーの作品がさらに不思議な世界に進化した感じを受けます。
ジャクソン・ポロック
MOMA やメトロポリタン美術館などでも作品をよく見かける、ジャクソン・ポロック (Jackson Pollock) は、こちらで逸話が紹介されていますが、ペギー・グッゲンハイムによって見出されたアーティストさんです。
典型的な Pollock らしい作品です。
こちらは、ポロックの珍しい作品です。バスキア風で、バスキアがインスピレーションを得たアーティストかもしれません。
抽象アート(アブストラクトアート)とは?
グッゲンハイム美術館が特化している抽象アートのコレクションは、時代背景やそれまでのアートの流れ、アーティスト間の影響の相互関係性などを知らないと、何が主題なのか、なぜそのように描かれているのか、よく分からないアートが多いですが、こちらのビデオでは、その背景や楽しみ方などが紹介されています。
アートは、時代の流れに大きな影響を受けるものです。時代と共に、それまでの時代のアートを認識しつつ、常に、現在進行形で、新しい形を求めて活動が行われています。
アートは、その時々によって、その時代の雰囲気に大きく影響されます。その時代のアーティスト達の作品など、様々な要素が影響を与え、一つの作品が誕生してきていることが見られて面白いです。
グッゲンハイム美術館 お土産
グッゲンハイム美術館のギフトショップは、色々おしゃれなデザイングッズが揃っていておすすめです。素敵なグッゲンハイム美術館の建築をモチーフにした、お土産にぴったりな商品も色々あります。
過去の印象的な特別展
ジャコメッティ
グッゲンハイム美術館では、あのジャコメッティの作品がいっぱいの見応えのある ジャコメッティの特別展 も開催されました。
ワシリー・カンディンスキー
グッゲンハイム美術館では、20世紀初頭頃から隆盛となった抽象絵画の初期の代表的アーティスト、ワシリー・カンディンスキー展、Vasily Kandinsky: Around the Circle が開催されました。
グッゲンハイム美術館は、抽象絵画のコレクションでよく知られており、カンディンスキーの代表作の数々が展示されています。
▶️ カンディンスキー展 グッゲンハイム美術館 Vasily Kandinsky: Around the Circle
Hilma af Klint
20世紀前半の抽象アートの先駆けとなったスウェーデン人女性アーティスト、Hilma af Klint さんの特別展も開催されました。こういうインスタ映えするようなアートコレクションを扱った特別展を行うのも、グッゲンハイム美術館らしいところでもあります。
Artistic License
ニューヨークのグッゲンハイム美術館では、現在、現役アーティストたちがキュレーターとなり、グッゲンハイム美術館の膨大なアートコレクションの中からアート作品を選んで展示する、アーティスティック・ライセンス (Artistic License) と題された特別展が開催されていました。
▶️ Artistic License グッゲンハイム美術館 6人のアーティストが選んだアートが飾られる 面白い特別展開催中!
バスキア
80年代にニューヨークで活躍したジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat) の警察による暴力に反対する社会的なテーマの特別展が、開催されました。
▶️ バスキア グッゲンハイム美術館で特別展開催中!Basquiat’s “Defacement”: The Untold Story
未来のカントリーサイド
珍しい社会派テーマの特別展、カントリーサイド・ザ・フューチャー(Countryside, The Future) が開催されていたこともあります。オランダベースの著名建築家、Rem Koolhaas さんらを中心に、都市部以外の広大なエリアのこれからの可能性について様々な角度から探るという意欲的な展示となっていました。
▶️ グッゲンハイム美術館で社会派の特別展開催中!未来はカントリーサイドに?!Countryside, The Future
黄金のトイレ
以前行われていた、大変話題になった、グッゲンハイム美術館の超人気の隠れ見どころスポットです。それはなんとびっくりトイレです。美術館の4階にはいつも大行列のトイレがひとつだけあり、その中を覗いてみると、そこにはピカピカと神々しく輝く18金の黄金のトイレがありました。
(Maurizio Cattelan: “America”)
Maurizio Cattelan さんの “America” と題された作品です。みんなが思わず写真を撮りに来たくなるような注目を集める作品となっていましたが、実はこの作品、社会的なメッセージも込められています。
どうしてゴールドなのか?
このトイレは “Inequality” が拡大する中、高騰するアートマーケットの象徴として、黄金なのだそうです。
なぜ “America” と名付けられたトイレなのか?
このトイレの表現するところは、アメリカの理想の一つである「機会の平等」です。トイレは、みんなが平等に使用することができる「機会の平等」の象徴です。そして、実際にこの黄金のトイレはみんなが平等に使うことができます。
フィラデルフィア美術館でも登場した、今からちょうど100年前、1917年に、それまでのアート界へのアンチテーゼとして物議を醸した Marcel Duchamp による既製品のトイレを利用した作品 “Fountain” を意識したものかもしれません。
普通にトイレとして利用できる個室のトイレで、ドアの前にはいつもセキュリティの人がいて、長蛇の列ができています。そんな有名なトイレのデザイングッズもミュージアムのギフトショップで発売されていました。
ニューヨークにはまだまだ素晴らしい見どころがたくさんあります。
グッゲンハイム美術館のようなニューヨークの定番観光スポットを巡るときには、ニューヨーク観光パス の利用がおすすめです。