Sushi (1)

ニューヨークでは魚は冷凍してから食べることが義務化!? お寿司はどうなるの?

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今年の始め頃から騒がれていましたが、とうとう来月、8月からニューヨークでは、お寿司、刺身、セビーチェなど生魚、もしくは生に近い形で料理をサーブする場合、その材料となる魚介類を一度冷凍することが義務づけられることになりました。実質上、レストランで冷凍されない魚を生の形で提供することは禁止されることになったそうです。
生魚にいる可能性のある寄生虫を完全に駆除するという健康面への配慮からの規制だそうですが、やはり刺身やお寿司で食べる場合、凍らせない生のフレッシュな魚の方が美味しいと思いますよね。今やニューヨークでもお寿司は多くの人にとって日常的なメニューとなっていますが、実際の所は、どんな影響があるんでしょうか?

ニューヨークは、新鮮なシーフード料理、お寿司や刺身など魚を生で楽しむことができる、日本以外では世界の中でも珍しい都市のひとつです。ハイエンドのシーフードレストランも多く、ニューヨークにあるシーフードの有名なレストランといえば、例えば、Le Bernardin、Mareaなど、また日系でも、Masa、Nobu、Sushi Yasuda、Sushi Azabuなど美味しいお寿司や刺身、セビーチェ、Crudなどを楽しめるお店はたくさんあります。

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長年、米国食品医療品局(FDA)によりアドバイスされていたこともあり、今回、ニューヨークが新たに施行することを決めた、「レストランで提供する魚介類は、一度冷凍すること」という新しい規制は、生の魚を扱うレストランに大きな影響を与えそうな気がしますが、これについて、New York Timesでは、こんな記事が出ていました。

養殖もの、貝類、深海でとれるある種のマグロなどいくつか例外はありますが、生魚の料理の場合、基本的にはレストランで15時間以上から1週間程度冷凍した後、提供することになるようです。
New York Timesによると、実は、レストランによっては既に高性能冷凍庫を積極的に活用していたり、サプライチェーンのどこがで既にどこかで冷凍されているケースがほとんどなので、実際の所、消費者やハイエンドのレストランにとっては影響はそんなにないのではないかと。

もし影響があるとすれば生魚を扱う小さなレストランなどで、高性能冷凍庫を備え付ける必要が出てくると思われます。また凍らせずにスピーディーに新鮮にニューヨークに届けるというようなプレミアムサービスにも影響があるかもしれませんね。

また日系の高級寿司屋では、既に、季節によらずに、一年中コンスタントにネタを提供するため、また魚の種類によってはそちらの方が美味しかったり、さらにその上値段も安いということで、冷凍ものを使用することも多いそうです。こちらの記事にもあるように、プロの寿司職人でさえ、冷凍ものとそうでないものの違いをブラインドテイスティングで見分けるのが難しいことがコメントされています。

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ニューヨークの高級店、お寿司屋さんなどでも、実は普通に冷凍の魚を使っていたんだ、ということを知りちょっと驚きました。でも、ビックリなのは、技術の進歩のおかげか、魚のタイプにもよるようですが、魚を捕まえた直後に、マイナス70度前後くらいで超低温冷凍し、食べる直前に上手く解凍することができれば、実は完全に生で運ばれてきた魚よりも、むしろ美味しい場合があるということです。

でも、本当に生魚を生のまま食べるより、いったん冷凍した方が美味しく食べられるの?って思いますよね。
もう少し客観的な研究発表データもありました。
冷凍ものを使ったお寿司と、そうでない新鮮なお寿司を、ブラインドテイスティングで見分けられるか、という面白い研究が神戸大学のグループにより行われたようです。
その結果はどうなったでしょうか?
やはり違いを見分けることはできなかったようですね。

とはいえ、刺身やお寿司の魚が冷凍もの、っていうのはちょっと残念な気がしますが、ニューヨークは、新鮮な魚介類を獲ってすぐ食べることができる漁村ではなく、世界中からシーフードがやってくる大都市なので、現実的、科学的には、「レストランで提供する魚介類は、一度冷凍すること」という新しい規制は、まずまず適切なルールなのかもしれません。

ニューヨークでは魚は冷凍してから食べることが義務化!? お寿司はどうなるの? was last modified: 9月 6th, 2016 by mikissh