バルセロナの中心にある大通り、グラシア通り (Passeig de Gràcia) には、19世紀末から20世紀初頭にかけて、カタルーニュ建築の巨匠たちが、競うようにデザインした個性的な建物が立ち並んでいるとても美しい景観の区画があります。中でも、一際異彩を放っているのが、アントニ・ガウディ (Antoni Gaudí) がデザインした、カサバトリョ (Casa Batlló) です。外観はもちろん、建物内、テラス、屋上と建物全体が、アールヌーヴォー全盛期らしい丸みを帯びた、美しい曲線美の細部までこだわったデザインで、まるでジブリのようなファンタジーの世界に入り込んだか気分に浸ることができます。
グラシア通りの5つの豪華建築
カサバトリョ (Casa Batlló) は、バルセロナの旧市街、ゴシック地区 (Gothic Quarter) の北西に広がる、アシャンプラ地区 (Eixample) の美しい並木道の大通り、グラシア通り (Passeig de Gràcia) 沿いにあり、ひと際華やかなエリアとなっています。特に、カサ・バトリョ (Casa Batlló) がある区画は、カサ・アマトリェール (Casa Amatller)、カサ・ボネット (Casa Bonet)、カサ・ムリェラス (Casa Mulleras)、カサ・リェオモレーラ (Casa Lleó Morera) とガウディを含め、5人の異なる建築家たちがデザインした5棟の20世紀初頭の豪華な建物が立ち並んでおり、Illa de la Discòrdia (Block of Discord) とも呼ばれています。
カサバトリョ入場
バルセロナの中心地で、人通りが多い、グラシア通りのエリアの中でも大行列ができ、特に大人気となっているのが、ガウディ作品群の一つとして世界遺産になっている「カサ・バトリョ」 (Casa Batlló) です。朝一番に訪れてもすでに大行列が出来ているほどのヒートぶりで、バルセロナを訪れたら外せない、大人気観光スポットとなっているのです。そんなカサバトリョをスムーズに見学したい人は、公式サイト から前もって時間指定のチケットを購入しておくか、優先入場が可能な バルセロナパス を利用するのがおすすめです。今回の訪問では、バルセロナパスを利用してみましたが、ゴールドのプライオリティレーンで、パスをスキャンしてもらい、行列をスキップしてチケットを渡され、スムーズに入館することができました。
カサバトリョへ入館後すぐ、スマートオーディオガイドの受付に行きます。スマートオーディオガイドでは、それぞれのスポットを訪れると自動的にナレーションが行われるので、自分でその場所の番号を選んで再生する必要がありません。オーディオガイドは、日本語も借りられます。
オーディオガイドを手に入れたら、いよいよ出発です。待ちに待った、カサバトリョの建物の中の見学へと進んでいきます。
入り口の丸い窓枠や、洞窟のような壁、動物の骨のような階段の手すりなどすでに不思議の世界に入り込んで行く感じで、ワクワク感が高まります。
カサバトリョの歴史
カサ・バトリョは、実ははじめからガウディの建築として建てられた建築ではなく、もともとは、1877年に建てられたごく普通の家でした。1900年、その素晴らしいロケーションにある建物を、アパレル業で財をなしたバトリョ家の Josep Batlló が購入しました。最も目立つデザインを希望し、リノベーションプロジェクトに抜擢されたのが、アントニオ・ガウディでした。1904年からはじまった、カサバトリョのプロジェクトが完了したのが、1906年です。錬鉄、木、ステンドグラス、セラミックタイル、石の装飾品など様々なクラフトが使用され、統一感のある不思議の世界が作り出されています。
カサバトリョのお部屋見学
カサ・バトリョの 2階は、バトリョさんの生活スペースだった、ノーブルフロア (Noble Floor) です。まず登場するのが、バトリョさんの書斎だったスペースです。豪華なシャンデリアと対照的に、背景は爬虫類の肌のような不思議なデザインとなっています。書斎とリビングルームをつなぐドアは、オーク製で、上部には、美しいステンドグラスの飾りが施されています。
書斎には、キノコ型をした小さなスペースがあり、中には面白い形をした暖炉があります。中では、暖炉の周りに座ってくつろげるようになっています。
書斎の奥には、カサバトリョで最も広い部屋であるリビングルームが広がっています。大通りに面したとても明るい部屋です。こちらのシャンデリアの周りには、渦が巻いています。
外を眺めてみると、入館待ちの行列の他、たくさんの人が写真撮影をしています。誰もが思わずカメラを向けたくなる、大人気写真撮影スポットです。
建物の中心部には、光のパティオ (Patio of lights) と呼ばれる青を基調とした美しいタイル作りの空間があります。
大通りの反対側の2階奥には、ダイニングルームがあります。こちらの窓枠も曲線で、カサバトリョでは、直線のデザインがほとんど見られません。
ダイニングルームの外には、気持ちのいいインドアガーデンが広がっています。美しいタイル張りの中庭です。
インドアガーデンからのカサバトリョの裏側の景観。
インドアガーデンの端にも美しい装飾があります。
ルーフトップを目指し、さらに上へと向かっていきます。木製の階段の縁は、骨を模したデザインです。スペインでは、カサバトリョは、骨の家 (Casa dels ossos) とも呼ばれているそうです。
美しい真っ白なロフトスペースには、アーチが連なっています。
カサバトリョの屋上
カサバトリョのルーフテラスには、面白い形状の煙突がいくつもあります。
カサバトリョの屋上のデザインはカラフルでファンタジーの世界のようですが、これら屋上の飾りは、ドラゴンの背中をイメージしてデザインされたものだそうです。
カサバトリョに限らず、バルセロナでは、ドラゴンの装飾は、色々な場所で見られますが、カタルーニャ地方で有名な神話、St. George and the Dragon から来ています。
屋上にある祠のような卵型の部屋には、丸みを帯びた小さな噴水が隠れています。フィゲラスにあるダリ美術館風な雰囲気ですが、ガウディの影響は、ダリらスペイン出身アーティストの作品などでも強く感じることができます。
カサバトリョのギフトショップ
最後は、カサバトリョのミュージアムショップに立ち寄ります。カサバトリョの美しい写真が載った写真集などの本をはじめ、各国言語のガイドブックなどとても品揃えが豊富です。
ガウディ風デザインの様々な雑貨なども集められていて、楽しめます。
カサバトリョのライトアップ
お昼間のカサバトリョのパステルカラーの可愛い雰囲気も素敵ですが、ライトアップされた夜のカサバトリョもとても幻想的で美しいです。
夜のお散歩でカサバトリョにふらっと立ち寄ってみるのもおすすめです。
カサ・バトリョ Casa Batlló
Passeig de Gràcia, 43, 08007 Barcelona, Spain 地図
ガウディ建築の最高傑作とされるバルセロナのシンボル、サグラダファミリアも必見です。
バルセロナには、他にもたくさんの見どころがあります。