メトロポリタンオペラ Summer HD Festival ニューヨーク・リンカーンセンターの大スクリーンで無料オペラ！

ニューヨークでは、夏の終わりとともに、9月の後半から、オペラやバレエなどがスタートし、芸術の秋のシーズンがやってきます。それに先立ち、毎年夏の最後には、ニューヨークメトロポリタンオペラにより、サマーHDフェスティバル (Summer HD Festival) が行われ、リンカーンセンター前の大スクリーンで連日オペラが上映され、少しづつ涼しくなってきた夏の夜長に野外でオペラを楽しむことができます。
昨日、『ロミオとジュリエット』を見に行ってきましたが、これがなかなかすばらしい作品でした。リンカーンセンタープラザの広場に並ぶ3100席はみるみる満席になり大盛況のイベントになっていました。

このThe Metropolitan Opera’s 2015 Summer HD Festivalは、リンカーンセンターの広場、Lincoln Center Plaza で8/29-9/7までの期間中、毎日行われているイベントです。昨年までに上演されたオペラ作品の中から10作を選び毎日違う作品のビデオを大スクリーンで上映してくれます。

3100席もの席が広場に並んでいて、チケット不要で、来た人から順番に好きな席に座ることができます。早い者勝ちですので、スクリーンの前中央は2時間以上も前からみんな場所取りを始めます。1時間半くらい前に会場に到着したら、スクリーン前の中央の一番見やすいエリアの席は、かなり埋まってきていました。席にパンフレットなどを置いて、席の確保だけして席を離れる人もいますし、グループを代表してひとりの人が席取りしていることも多く、一見空いているように見える席も実はすでに誰かが確保している席であることが多く、表立っては見えない静かな競争を感じました（笑）でも席の位置さえ気にしなければ、ぎりぎりに来ても大丈夫だと思います。

ピクニックとまではいきませんが、みんな各々食べ物や飲み物を持ってきていて席のところで楽しんでいます。ニューヨークフィルのセントラルパークコンサートでもそうでしたが、芸術鑑賞にはワインがつきものなのでしょう。プラスチックのワイングラスに、ワインボトルを持ってきてワインを楽しんでいる人もちらほらみかけました。オペラを劇場内で見るときも、休憩時間にシャンパン飲みに行ったりしますものね。イベント時もそんな大人ののりの楽しみ方をしているんですね。
そうこうしているうちに、いよいよ上映開始です。期待が高まります。

劇場でオペラを見るのと、スクリーンでオペラを見るのでは、感覚が大きく違いすごく新鮮でした。劇場で見ているときは、舞台全体が視野に入ってくる感じでみているのですが、当然のことながらスクリーンで見る映像のオペラはカメラ目線で見た部分だけがクローズアップされてみることになります。ある意味、そこにカメラの演出が入るので、そんな別の視点からみるオペラはなんだか別の作品のようなのです。また映像だと、ふだん劇場ではあまり見ることのないオーケストラや指揮者の様子にもフォーカスされていたり、さらに舞台裏の様子やリハーサルの様子まで映し出してくれたりするのでなかなかおもしろく、また違った楽しみ方ができます。
ものすごく短い時間にジュリエットが衣装替えをする様子とか、剣で戦うアクロバティックなシーンの直前リハーサルの様子とかが、オペラの本編の合間に組み込まれています。
『ロミオとジュリエット』すごく没頭して見ていたので、特に第二幕はあっという間でした。ジュリエットを演じていた、世界的にも有名なスターオペラ女優、Anna Netrebko さんの歌声が本当にすばらしく、とても印象的な作品でした。

こちらが、今回見た『ロミオとジュリエット』の予告編です。

アメリカは今レイバーデーで3連休の週末ですが、明日、9/6の日曜日は、 7:45 PM から『ドン・ジョバンニ (DON GIOVANNI)』、最終日9/7の月曜日は、8:00 PM から『アイーダ (AIDA)』が上映されます。ニューヨークにいる、オペラ好きの方は、訪れてみると楽しめると思います。

こちらがモーツァルト作曲の『ドン・ジョバンニ』のハイライトです。