吉野山 桜の絶景と世界遺産の見どころ! 山いっぱいピンクの絨毯になる桜の名所 金峯山寺 吉水神社を散策

奈良県 吉野山は、飛鳥、奈良、平安時代と遥か昔から歴史に登場し、日本古来の桜の名所としてとてもよく知られています。桜の季節には、3万本もの桜が、山いっぱいに咲き誇り、ピンクの絨毯のような素晴らしい桜の絶景が広がります。大阪や京都など主要都市からは少し遠く、訪れにくい場所にありますが、ちょうど桜がピークの時期に当たったので、足を伸ばしてみました。金峯山寺や、吉水神社など日本の歴史にも度々登場する、歴史スポットも多い吉野山は、高野山、熊野三山などと共に、紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産に登録されています。吉野山は、様々な観光の見どころがある他、クズ(葛)や柿の葉寿司などのご当地グルメも色々あり楽しめます。

吉野山

吉野山は、奈良県から和歌山県まで続く紀伊山地の北部、大峯連山の北側の尾根部分の山で、桜の時期には、たくさんの人が訪れる、桜の名所となっています。山間部を中心に3万本もの桜が咲き誇り、ちょっと見渡すだけで物凄い数の桜が見られることから「一目千本」と呼ばれる桜のピンクの絨毯が敷き詰められたような素晴らしい桜の絶景が楽しめます。その歴史は古く、なんと飛鳥時代まで遡り、壬申の乱に勝利し、天武天皇となる大海人皇子が隠棲していたのが、吉野山で、桜の夢を見て挙兵したとされています。
さらに、吉野が中心となった山岳仏教、修験道では、桜が神木とされたこともあり、平安時代以降、桜が植えられ続け、日本古来からの歴史ある桜の名所として知られ、吉野山は、日本のさくら名所100選にも選ばれています。

吉野山への行き方は、主要都市から少し時間がかかりますが、公共交通機関で行くことができます。
吉野山観光の拠点となるのが、近鉄の吉野駅です。大阪阿部野橋駅(JR天王寺駅)から特急で1時間15分程、急行で1時間半程、近鉄京都駅からの場合は、途中乗り換えがあり、早いと1時間半程、通常、2時間程度かかります。今回は、大阪阿部野橋駅から特急に乗るつもりでしたが、桜の時期の繁忙期のため既に予約でいっぱいだったため、急行を利用していきました。

吉野駅に到着してからは、すぐ吉野山へのハイキングコースがスタートします!
吉野山は、下から順に、下千本、中千本、上千本、奥千本と主に4つのエリアに分かれています。
例年、桜は、標高が低い下から上に向かって順番に咲いて行くので、長い期間に渡って楽しむことができますが、今年は、下千本、中千本、上千本の桜がほぼ一斉に開花し満開となりました。
吉野山の観光の中心となるのが、世界遺産の金峯山寺や吉水神社をはじめ見どころが点在していて、道沿いにお店屋さんがズラリと並ぶ、下千本から上千本にかけてのエリアです。


(吉野山観光協会)

吉野山の駅から下千本、中千本、上千本への行き方は、徒歩で山登りをして行く他、バスやケーブルカーを利用することもできます。通常時は、吉野神宮から奥千本までの路線バス(吉野大峯ケーブル自動車)がありますが、桜の時期(観桜)は、近鉄吉野駅から中千本バス操車場(竹林院前)まで奈良交通臨時バスが運行しています。
日帰りで、あまりゆっくりできない場合は、一気に中千本の奥まで行き、下に歩いてくるコースがおすすめです。

吉野山の駅を出てから少し歩いていくと、ロープウェイ乗場があります。ロープウェイは、近鉄吉野駅駅前の千本口駅から下千本の吉野山駅までの運行で、七曲り坂と呼ばれるハイキングコースの最初の急坂部分を省略することができます。
ロープウェイで吉野山の下千本まで一気に登って行くのは楽しいですが、桜の季節は激混みになるので、大行列の待ち時間が大変なことになります。そのため、あまり時間がない場合は、バスや、歩きなども考慮に入れておくといいと思います。

今年2023年の吉野山の桜の開花は、とても早く、下千本、中千本、上千本共に3月下旬には、満開を迎えました。今回は、3月末に訪れましたが、下の方の桜は、散りかけているものもありました。もう少し早い時期だとロープウェイから美しい満開の桜の景色が見られたと思います。

ロープウェイ乗場を通り過ぎて進んで行くと、七曲りの坂と呼ばれる急坂があります。七曲坂の登り方は、選択肢が二つあり、緩いけど距離がある舗装道を歩いて行くか、急坂になる未舗装の近道を登っていくかを選ぶことができます。七曲坂の近道になっている方は、そこまで大変な道ではありませんが、未舗装の山道なので、山ハイキング好きにはいいですが、普通の観光客には、歩きやすさからいうと、多少距離が伸びても楽に歩ける舗装道路の方を登っていくのがいいかなと思います。

そして、七曲坂の急坂を登り切った場所にあるのが、吉野三橋の一つ、朱塗りの手すりが印象的な大橋です。橋がありますが、下に川は流れていません。橋のそばには、下千本の桜を見渡せる展望スポットがあります。

大橋から上方面は、道沿いに、お店屋さんが並び、門前町と言った感じの雰囲気となります。グルメやお土産選びを楽しみながら散策することができます。

金峯山寺

さらに進んでいくと、世界遺産の金峯山寺(きんぷせんじ) に到着します。
金峯山寺(きんぷせんじ) は、7世紀後半に、山岳仏教である修験道の開祖、役行者(役小角)により創建されたとされる、世界遺産のお寺です。
金峯山寺の手前、参道沿いには、国宝の仁王門がありますが、現在は、修復工事中で、2028年に完成予定となっています。

金峯山寺の本堂は、国宝の蔵王堂で、豊臣秀吉の寄進により、1592年に完成した歴史ある建物です。とても大きな建物で、歴史的な木造建築としては、東大寺大仏殿に次ぐ大きさで、迫力があります。

古くから山岳信仰の霊地だった金峯山寺の蔵王堂には、修験道の本尊で、日本固有の秘仏とされる、金剛蔵王大権現3体が祀られています。飛鳥時代の呪術者、役行者は、熊野や吉野の奥にある大峯などで修業を行い、吉野の金峯山で、金剛蔵王大権現を感得したとされ、吉野から熊野へと至る険しい山道、大峯奥駈道は、修験道の修行の地となりました。役小角以降、修験道が途絶えた時期もあったようですが、平安時代に真言宗の僧、聖宝が再興し、その後、多くの人の信仰を集め、貴族や皇族らも訪れるようになっていきました。

通常は、本尊を見ることができませんが、春と秋のピーク期には、特別観覧が行われています。現在は、2023年3月24日から5月7日にかけ、特別開帳されています。真ん中の中尊は、釈迦如来、右尊は、千手千眼観世音菩薩、左尊は、弥勒菩薩が姿を変えたものとされています。本堂内は撮影禁止で、こちらは、過去の特別開帳のポスターの写真です。

金峯山寺
奈良県吉野郡吉野町吉野山2498 地図

吉野山でのランチは、吉野山の名物、葛のお店で、金峯山寺近くの葛うどんのお店に行きました。お座敷席からは、美しい桜の景色を見ることができます。

もちもちとした、美味しい葛のうどんです。

鯖の柿の葉寿司付き。柿の葉寿司も吉野の名物で絶品です。

メインの通り沿いには、ところどころに小さな寺社があります。こちらは、東南院と呼ばれるお寺で、美しい多宝塔があります。

さらに進んで行くと、吉水神社へと続く脇道が伸びています。

途中、美しい桜の向こう側には、遠く金峯山寺の蔵王堂が見えます。

吉水神社

吉水神社の入口部分に、一目千本と呼ばれる吉野山で最も有名な桜の展望スポットがあります。吉野山の桜が一望できる場所ということで、人がいっぱいです。

一目千本の展望スポットからは、中千本と上千本のたくさんの桜がよく見渡せ、緑の山の中にピンクの絨毯が敷き詰められたような桜の絶景が見られます。ちなみに、吉野山の桜は、ソメイヨシノではなく、主に、野生のシロヤマザクラです。ヤマザクラは、開花中に、既に葉もついているので、白い桜と紅色の葉が混じったような感じになります。

日本の桜というと、ソメイヨシノという桜が有名ですが、実は、ソメイヨシノは、吉野の桜とは関係ありません。
ソメイヨシノは、江戸時代後期に、エドヒガンとオオシマザクラを交配して誕生した雑種の桜で、江戸末期から明治にかけて、東京の染井村(現在の豊島区駒込周辺)で育てられました。当時、日本古来の桜の名所から名前を取って、吉野桜の名称で売り出されていましたが、1900年に、植物学者の藤野寄命により、吉野のヤマザクラとは異なる桜であることが明らかになり、ソメイヨシノと命名されたそうです。

吉水神社は、もともとは、役行者(役小角)により僧坊、吉水院として建立されました。平安時代末期には、源頼朝に追われた源義経、弁慶、静御前らが滞在したり、南北朝時代には、鎌倉幕府を打倒し、建武の新政を行った、後醍醐天皇が、足利尊氏との戦いに敗れた後、京を脱出し、吉野に入り南朝を開いた際、滞在していたという日本の歴史の舞台にも度々登場する神社です。また、吉水神社は、安土桃山時代の1594年には、豊臣秀吉が、お花見を行った場所としても知られています。武士の時代が終わり、天皇中心の国家体制となった明治時代に入り、神社となっています。

吉水神社
奈良県吉野郡吉野町吉野山579 地図

大通りに戻り、さらに上へと進んで行くと、脇道や駐車場からは、山間の見事な桜が見えるスポットも点在しています。

櫻本坊

上千本方面には、さらに色々な寺社があります。こちらは、天武天皇が建立したとされる、櫻本坊です。

後に天武天皇となる大海人皇子は、天智天皇の弟で、天智天皇死後、壬申の乱で天智天皇の息子、大友皇子を倒し、天皇となった人物です。大海人皇子は、後継問題で、吉野に身を隠していた大海人皇子が、天智天皇崩御後、桜の夢を見て、挙兵することを決意しました。そんな夢で見た桜の地に建立した寺が、櫻本坊で、境内には、天武天皇縁の「夢見の桜」をはじめ、美しい桜が点在しています。
日本の歴史上の著名な人物が多数、吉野に縁があり、歴史好きの人はより楽しめる、おすすめのエリアです。

櫻本坊には、重要文化財の仏像もいくつかあり、この日は、地蔵大菩薩が開帳されていました。

櫻本坊
奈良県吉野郡吉野町吉野山1269 地図

竹林院

櫻本坊の少し奥にあるのが、竹林院です。竹林院や櫻本坊は、高野山のお寺のように宿坊になっていて宿泊することもできます。大和三庭園の一つ、千利休の作とされる庭園、群芳園があります。

竹林院からさらに少し奥に行った場所に、上千本行きのバス停があります。また櫻本坊、竹林院から谷の方へ少し下った場所に、奈良交通臨時バスの吉野駅行きの停留所があります。
さらに谷の下へ行くと、吉野で南朝を開いた後醍醐天皇の勅願寺とされる如意輪寺があります。如意輪寺には、重要文化財となっている本尊の如意輪観世音菩薩、桜の木で彫られた源慶作、木造の金剛蔵王権現木象、後醍醐天皇の陵などがあります。

今回の旅では、時間の都合上、上千本の入口までとなってしまいましたが、上千本の奥の方に向かって、30分程ハイキングすると、眼下に上、中、下千本の桜を見渡すことができる花矢倉展望台や世界遺産となっている吉野水分神社があります。さらに30分程歩くと同じく世界遺産の金峯神社などがあります。

参道沿いには、お土産屋さんや食事処が色々あり、グルメやお土産を探しながら、散策が楽しめます。

桜の名所らしい、さくら羊羹や、

吉野名産の葛餅など美味しいものが色々登場します。

信楽焼でお馴染みのタヌキなど可愛い雑貨のお店もあります。

日本の桜の名所、吉野山の桜の満開の時期に訪れることができ、桜はもちろん、吉野の観光スポットやグルメなども色々楽しむことができました。とてもいいところだったので、今度は、もう少しゆっくりと吉野山の一番上の方、上千本、奥千本の方へも訪れたいと思いました。

桜満開の吉野山散策の様子を紹介した映像は、こちらです。

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京都の嵐山、東京の上野公園など日本各地の桜の名所は、もともとは、吉野から取り寄せた桜が植えられたのが、はじまりとされています。

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