メトロポリタン美術館では、現在、ハーレムルネサンス (Harlem Renaissance) の特別展、The Harlem Renaissance and Transatlantic Modernism が開催されています。ハーレムルネサンスは、今からちょうど100年程前、Roaring 20’s やジャズエイジと呼ばれる時代に、ニューヨークのハーレムを中心に起こったアフリカ系アメリカ人による文化的なムーブメントのことです。アートや音楽、パフォーミングアート、文学、宗教、ファッションなど多岐に渡る分野で黒人たちが活躍するようになりました。今回の特別展では、ハーレムルネサンスの時代を代表する様々なアーティストたちの作品が登場し、当時の活気溢れる雰囲気を感じることができます。ニューヨークのハーレムの舞台をテーマにした特別展なので、ニューヨーカーたちにもとても人気になっています。
ニューヨークを代表するミュージアム、メトロポリタン美術館で、2月下旬にはじまったばかりの新しい特別展が、ニューヨークのハーレムを舞台にした文化的なムーブメント、ハーレムルネサンスをテーマとした特別展、The Harlem Renaissance and Transatlantic Modernism です。会場となっているのは、2階左手奥の特別展用ギャラリー、Gallery 999 です。
地元、ニューヨークのハーレムが中心となった歴史的なムーブメントがテーマになった展示と言うことで、ニューヨーカーたちにも注目度が高く、アフリカ系アメリカ人を含めたくさんの人々がやって来ています。
Roaring 20と呼ばれる1920年代は、第一次世界大戦が終わり経済が大きく発展した時代です。ちょうど禁酒法の時代ですが、逆にスピークイージーなど違法の隠れバーなどが繁盛し、音楽の生演奏やダンスなどエンターテイメントを提供する機会も増えた時代で、ジャズエイジとも呼ばれています。
アフリカ系アメリカ人は、それまではプランテーション時代という歴史の経緯にあり、アメリカ南部に多く住んでいましたが、ニューヨークのハーレムやシカゴのサウスサイドなど北部の大都市圏に移り住むようになりました。そんな時代にはじまったアフリカ系アメリカ人による文学、哲学、ジャズ、アートなど様々な分野にまたがる文化的なムーブメントが、ハーレムルネサンス (Harlem Renaissance) です。
今回の特別展では、そんなハーレムルネサンスに関連する絵画や彫刻、写真、映像など様々な作品が展示されています。
展示の最初のエリアでは、ハーレムルネサンスを代表する人物たちの肖像画が著作物と一緒に展示されています。左は、ハーレムルネサンスを代表するアンソロジー、The New Negro の編集者として知られる Alain Locke です。ハーレムルネサンスは、こちらのアンソロジーの名称からニューネグロムーブメントとも呼ばれています。右は、同じくハーレムルネサンスで知られる作家の James Weldon Johnson です。
この他、詩人のLangston Hughesなどハーレムルネサンスで知られる様々な人物の肖像画が展示されています。
アートの世界では、20世紀初頭頃からそれまでの古典西洋美術のスタイルとは異なるモダニズムが隆盛になって来ましたが、ハーレムルネサンスでもそんなモダニズム的な要素が多く取り込まれた作品も多く描かれています。ハーレムルネサンスを代表するアーティストの作品も色々展示されています。
ハーレムルネサンス、そしてジャズエイジも代表するアーティスト、Archibald J Motley Jr の作品も数多く展示されています。写実的でありながら非現実感があり、その場の雰囲気がよく伝わってくる個性的な作風です。
Faith Ringgold の作品 にも通じる、素朴なフォークアートの雰囲気が漂うこちらは、青いドレス姿の女性を描いた William H. Johnson の作品、Woman in Blue です。
ニューヨークの街中を着飾って歩くカップルを描いたものなど様々な作品が展示されています。
社会的なメッセージ性のある作品も色々展示されています。こちらのアールデコ調の壁画は、アフリカ系アメリカ人の歴史を描いた Aaron Douglas の作品、From Slavery Through Reconstruction。
絵画だけでなく彫刻の作品も点在し展示されています。こちらのアールデコ調のハープの形をした彫刻は、平等を目指し社会的な活動を行った女性アーティスト、Augusta Savage の作品、Lift Every Voice and Sing (the Harp)。
マティスやピカソ、ムンクらヨーロッパの著名アーティストによる黒人を描いた作品も展示されています。マティスは、1930年代にハーレムを訪れたことがあり、後に白いドレスを身にまとったハーレムの女性、Dame à la robe blanche (Woman in white) を描きました。
当時のエンターテイメントの様子を紹介した映像もあります。
最後には、ハーレムの街並みをコラージュでカラフルに描いた Romare Bearden の壁画風の作品、The Block が展示されています。
ギャラリーの外には、特別展関連グッズのお店があります。The Harlem Renaissance and Transatlantic Modernism は、2024年7月28日まで開催されています。
メトロポリタン美術館の行き方とおすすめの見どころはこちらで紹介しています。
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