マックマイケルカナディアンアートコレクション 自然豊かなトロント郊外の隠れ家美術館

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トロントから車で45分程行ったところにある自然豊かなのどかな場所に、カナディアンアートに特化したミュージアム、マックマイケルカナディアンアートコレクション (McMichael Canadian Art Collection) があります。今回の旅行では、今まであまり注目したことがなかったカナディアンアートを一つのテーマにしてみました。トロント美術館 (AGO) でもカナダの美しい自然をモチーフとしたカナダらしいアートが数多く展示されていましたが、この McMichael Canadian Art Collection でも Tom Thomson をはじめ、トロントを中心に活躍した7人のアーティスト集団、Group of Seven の作品が数多くコレクションされ、とても美しい縁溢れる美術館と言うことで、足を運んでみました。
トロントの喧騒とは打って変わって、自然の豊かな避暑地にやって来たかのような緑の濃い木々に囲まれた美しい道を通り、美術館へと向かいます。

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McMichael Canadian Art Collection は、カナダの美しい自然を描いた Tom Thomson と Group of Seven の作品に魅せられたマックマイケル夫妻 (Signe and Robert McMichael) がアート作品の収集に集中するために建てたログハウスをもとに、ミュージアムとして1965年に設立されました。Group of Seven の熱烈なファンで、サポーターだったマックマイケル夫妻のギャラリーには、メンバーの多くが実際に訪れたこともあったそうで、ミュージアムの広大な敷地には、Tom Thomson が作品を描いていたというトロントの小屋を移動してきて、再現していたり、Group of Seven のうちの6人のお墓まであり、まさにこの著名なオンタリオ州で活躍したカナダを代表するアーティストたちのための美術館となっています。

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敷地内には数多くのパブリックアートの彫刻も飾られています。動物の作品が多く、入口ではこちらのクマさんが出迎えてくれます。

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館内では、Tom Thomson と Group of Seven を中心に、カナディアンアートのコレクションが、様々なテーマの下、美しく展示されています。

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ギャラリーの最初に登場したのが、現在行われている特別展、”Passion Over Reason: Tom Thomson & Joyce Wieland” です。Tom Thomson と彼を慕っていたという著名なオンタリオ州出身の女性アーティスト、Joyce Wieland さんの作品が対をなして紹介されています。

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とてもたくさんの Tom Thomson の様々な季節の自然を描いた作品が展示されています。中央の作品は、マックマイケル夫妻が Tom Thomson の作品で最初に入手したという “Pine Island” です。

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対して、Joyce Wieland さんは、色々な媒体でメッセージを発信し、異なる視点を実験的に表現するユニークなアーティストだったようです。
こちらは、カナダの国歌 “O Canada” を歌っている様子を、自分のリップで表現した Joyce Wieland さんの代表的なモチーフの作品 “O Canada Animation”。

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何かと存在感の強い隣国、アメリカとの関係を描いたこんな漫画のような作品も。

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Joyce Wieland さんの作品はバラエティに富んでいて、思いついたことを試すタイプでした。

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それに対して、Tom Thomson は、ひたすら美しい自然を描き続けるという、とても対照的な2人という印象を受けますが、Joyce Wieland さんは、Tom Thomson の大ファンだったそうです。

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Tom Thomson が使用していた貴重なパレット。

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Tom Thomson らしいアルゴンキン公園の紅葉の雪景色を描いた作品、 “In Algonquin Park”。

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Tom Thomson の作品にはあまり人物が登場しませんが、こちらは女性が登場する珍しい作品、”Figure of a Lady, Laura”。

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Tom Thomson は、アルゴンキン州立公園の景色を特に数多く描いています。絵に描きたくなるような美しい公園です。

アルゴンキン州立公園 Algonquin Provincial Park 美しい緑と湖のカナダの大自然を堪能!

Tom Thomson は、トロントで商業デザインの仕事をしていたそうですが、その後、アルゴンキン公園に移り住み、レンジャーやガイドなどをしながら、数多くの絵を描いていたそうです。最後は、39歳という若さで、公園内のカヌーレイクで不慮の溺死を遂げてしまいます。こちらの映像にもあるように、ミステリーの残る伝説的な存在という影響もあるかもしれませんが、その後も多くのアーティストに強い影響を与え、現在では、カナダを代表するアーティストとして知られています。

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“Passion Over Reason: Tom Thomson & Joyce Wieland” は、11月19日まで開催されています。

この他、Group of seven では、Lawren Harris に焦点を当てた、”Higher States: Lawren Harris and His American Contemporaries” も開催されています。Lawren Harris さんと言うとカナダ版オキーフという作風が印象的ですが、実際には、アブストラクトアートなど、当時流行していた様々なスタイルの作品を描いていたことが分かります。残念ながらこちらは撮影禁止で、9月4日までとなっています。

美術館では、カナディアンコンテンポラリーアートの展示も行われていて、8月20日で終了してしまいましたが、画家の Steve Driscoll と写真家の Finn O’Hare のコラボによる特別展、”Size Matters” が開催されていました。都市生活と自然の調和を描いたとても印象的な作品が展示されていてとても見応えがありました。

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周囲の美しい自然と調和した美術館です。

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館内には、山小屋風の応接室があったりし、ゆったりとしたつくりになっています。マックマイケル夫妻や Group of Seven の思い出の写真が飾られています。

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こちらも “Group of Seven Guitar Project” と題されたユニークな特別展。カナダを代表するギター造りの職人が集まり、Group of Seven のそれぞれのアーティストたちから思い描いたギターを製作するというプロジェクトが紹介されています。

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大きな山小屋風のギャラリーの部屋の中央では、プロジェクトの紹介映像が流れ、ギター製作の様子が垣間見えます。

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ギターと一緒にそれぞれのアーティストの作品も紹介されています。
Lawren Harris の “Mt. Lefroy”。

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Lawren Harris の ”Lake Superior”。

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Group of Seven が特にギター好きだったわけではないようですが、それぞれの能力を認め合う高いレベルの人々がグループを作り、展示などで協力して活動を行うというのは、その分野や、そしてその結果、それぞれ個人を広く知ってもらういい機会となり、時代を問わず効果的なマーケティング方法となっています。

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山小屋風の館内には、雰囲気のいいカフェもあります。

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周囲は緑がいっぱいで気持ちよく、パブリックアートの彫刻も点在しているので、時間があれば、ミュージアムの見学だけでなく、散策してみるのもおすすめです。

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お庭の彫刻巡りもできます。

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何かが宿っているかのような作品。先住民は、日本などと近い八百万神という発想だったのではないかと思います。

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美術館だけでなく、美しいお庭を目当てに遊びに来ている人々もいました。とても素敵な雰囲気の隠れ家美術館です。

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ミュージアムの見学のみだと所要時間は1時間程です。周囲を散策したりしてゆっくり過ごそうという場合は半日ほどみておくといいと思います。

マックマイケルカナディアンアートコレクション
McMichael Canadian Art Collection
10365 Islington Ave, Kleinburg, ON L0J 1C0, Canada MAP
開館時間:毎日 10:00-17:00
入場料:大人 $18, 学生 $15, 5歳以下無料
駐車料金: $7

トロント市内のオンタリオ美術館もカナディアンアートのコレクションが素晴らしいおすすめのミュージアムです。

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マックマイケルカナディアンアートコレクション 自然豊かなトロント郊外の隠れ家美術館 was last modified: 12月 3rd, 2017 by mikissh