メトロポリタン美術館では、20世紀前半に活躍した世界各国の女性写真家たちの作品が大集合した、写真の特別展、The New Woman Behind the Camera が、7月初旬からはじまりました。今から100年前と言えば、完全な男性社会だったのではないかという印象がありますが、実は、そんな時代にも、当時の最新テクノロジーであったカメラを駆使して、フォトジャーナリズムや、クリエイティブアートの写真の世界で、世界各国でたくさんの女性たちが活躍していたことに驚かされました。現在、106歳で、今回の特別展のポスターにも登場している、笹本恒子 (Tsuneko Sasamoto) さんをはじめ日本人女性フォトグラファーも何人も登場しています。
すっかり夏を迎え、ニューヨークを代表するミュージアムである、メトロポリタン美術館は、再び大勢の人が訪れはじめていて、すっかりコロナ前の賑わいを取り戻してきています。そんなメトロポリタン美術館では、今から100年近く前の20世紀前半に活躍した女性フォトグラファーをテーマとした珍しい特別展、The New Woman Behind the Camera が、7月2日からはじまっています。
会場となっているのは、正面の階段を上った2階の左手、ギャラリー851と691-693 です。ギャラリーは、入口と出口に分かれていて、一方通行になっています。
Berenice Abbott、Ilse Bing、Lola Álvarez Bravo、Florestine Perrault Collins、Imogen Cunningham、Madame d’Ora、Florence Henri、Elizaveta Ignatovich、Consuelo Kanaga、Germaine Krull、Dorothea Lange、Dora Maar、Tina Modotti、Niu Weiyu、Tsuneko Sasamoto、Gerda Taro、Homai Vyarawalla ら当時活躍した女性フォトグラファーの白黒のフォト作品がずらりと並んでいます。
今回の特別展では、1920年から1950年前後に活躍した世界各国の女性フォトグラファーの作品が大集合しています。日本の女性写真家も何人も登場していて、中でも、現在、106歳となっている笹本恒子さんは、特別展のポスターにも登場していて、今回の特別展の顔となっています。笹本恒子さんは、1914年生まれで、日本で最初の女性報道写真家として知られています。
笹本恒子さんをはじめ何人かの日本人女性フォトグラファーの作品が展示されていました。こちらは、笹本恒子さんが登場している写真です。
対象物と光を上手く用い、美しい幾何学模様を作り出したアートな作品群。
写真を切り貼りして構成した、コラージュのような面白い作品など個性的な作品が色々とあります。
作品は、大きく分けると、女性的な視点で捉えた街角の様子や、社会情勢、歴史的な瞬間などをテーマとしたフォトジャーナリズム的な作品、個性的なアート作品、ファッション誌や広告などの写真から構成されています。写真が撮影された年代から当時の時代背景が垣間見られます。
こちらは、イタリア人女性フォトグラファー、Wanda Wulz さんによる、1932年の作品、Io + gatto です。猫と女性がコラージュされたシューレアリスム的な面白い作品です。
こちらは、アメリカ人女性フォトグラファー、Margaret Bourke-White さんによる、世界恐慌後のアメリカの街角の光景を描いた1937年の作品、World’s Highest Standard of Living です。スローガンと現実の対比が印象的です。
1940年代初頭のブラジルの街角のケーブルカーの様子を撮影した、アメリカ人女性フォトジャーナリスト、Genevieve Naylor の作品、São Januário Trolley。
アメリカ人女性フォトグラファー、Louise Dahl-Wolfe の1942年の作品、Flight to the Valley of the Sun。ファッション誌に掲載された作品です。
シューレアリスム的でメルヘンチックなこちらは、ドイツ出身のアルゼンチン人女性フォトグラファー、Grete Stern さんの1949年の作品です。
とても印象的な作品でみんなの注目を集めていたこちら、1950年の美しい帽子の作品、Translucent Hat。アメリカ人女性アーティスト、Lilian Bassman さんの作品です。
などなど面白い作品が色々あって、写真好きにおすすめです。The New Woman Behind the Camera は、10月3日までメトロポリタン美術館で開催され、その後、共同企画をしたワシントンDCの ナショナルギャラリー で、10月31日から2022年1月30日まで開催されます。
メトロポリタン美術館では、アリスニールの特別展 も 8月1日まで開催しています。また、16世紀にフィレンツェで活躍したメディチ家の肖像画をテーマとした新特別展、The Medici: Portraits & Politics 1512-1570 もはじまっています。
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