NYアッパーウエストサイドの隠れ邸宅ミュージアム ニコライリョーリフ美術館 Nicholas Roerich Museum

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ニューヨークには、たくさんミュージアムがありますが、先日、アッパーウエストサイドに ニコライ・リョーリフ美術館 (Nicholas Roerich Museum) という素敵な邸宅ミュージアムをみつけました。ニコライ・リョーリフは、20世紀前半に、アートや考古学など幅広い分野で活躍していたドイツ系ロシア人で、ニューヨークで暮らしていたこともあり、アジア各地を探検し、日本も訪れていたりと世界を舞台に活躍した人物です。ニューヨークのニコライ・リョーリフ美術館では、主に、リョーリフの美しい色使いの幻想的な風景画を中心とする絵画が、アジアの仏像など歴史的な作品と一緒に展示されていて、ロシアやアジアの雰囲気が混ざり合い、異国情緒溢れる雰囲気になっています。

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ニコライ・リョーリフ美術館 (Nicholas Roerich Museum) は、アッパーウエストサイドの最北部、ハドソン川沿いにある、リバーサイドパーク近くの 107ストリート沿いの趣のあるタウンハウスがミュージアムとなっている邸宅美術館です。日本の家紋を彷彿とさせるマークがシンボルとなっています。これは、Banner of Peace と呼ばれ、リョーリフによって広められたもので、平和と文化の象徴として掲げられています。リョーリフは、画家としてだけでなく、文化の推進や世界平和を目指した活動でも知られています。

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月曜日以外は、正午から午後4時(週末は午後3時)まで開館していて、入館無料となっています。館内は、プライベートな趣あるタウンハウスのような家庭的な雰囲気です。1階は、受付とミュージアムショップがあり、ギャラリーは、主に2階と3階の2フロアで、30分程でゆっくりと見て回ることができます。

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19世紀後半、1874年にロシアのサンクトペテルブルクで生まれた、Nicholas Roerich は、国際的に活躍した人物で、ロシア語、英語、ドイツ語などでもそれぞれ名前の表現が異なり、カタカナでもどの言語によるかによっていくつか表記があります。最も広く知られているのが、「ニコライ・リョーリフ」ですが、ドイツ語の「ニコライ・レーリヒ」、英語の「ニコラス・レリック」などの表記もあります。

階段を上って2階にやって来るとまず迎えてくれるのが、険しい山々の風景とそんな中に佇む神さまのような超越した存在 (Mother of the World) を描いた作品で、仏像も一緒に飾られていて、スピリチュアルな雰囲気になっています。

ニコライ・リョーリフは、アーティストとして知られていますが、アジア各地を旅して周った探検家で、最もよく知られているモチーフが、そんな旅を通して描かれた、険しいヒマラヤ山脈です。奥さんの ヘレナ・リョーリフ (Helena Roerich) と共に、アグニヨガ (Agni Yoga) を創設したことでも知られていますが、そんな人物像が伝わってくるスタートとなっています。

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リョーリフは、ロシア出身で、ロシア建築や、ロシア正教を題材とした作品も色々と展示され、ロシアらしい雰囲気も感じられます。

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19世紀末から20世紀にかけて、フランスをはじめヨーロッパで隆盛となったのが、自然をそのまま表現せず、理想や人間の精神性など特定のテーマを中心に表現する象徴主義、シンボリズムです。リョーリフは、ロシアにおけるシンボリズムの代表的アーティストの一人で、幻想的な雰囲気の神秘的な作品が印象的です。特に、宗教的な作品は、同時期にフランスで活躍し、キリスト教の世界を中心に描いた、ジョルジュ・ルオー (Georges Rouault) の作品と似た雰囲気が感じられます。

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美術館の建物に掲げられている、平和と文化の象徴の旗、Banner of Peace は、絵画の中にも登場しています。作品から歴史や考古学への興味も感じられます。

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濃淡のみで表現する、青一色で描かれた作品など、独特の色使いが特徴のアーティストです。

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美しい風景を背景に、仏教をはじめ宗教的でスピリチュアルな存在が描かれている作品が多いのも特徴です。

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あまりニューヨークでは見かけない、ロシアとアジアが入り交じった異国情緒溢れる作品がいっぱいの珍しいミュージアムです。神秘的で、ファンタジーや童話的なストーリーが浮かんで来そうな美しい色使いが印象的です。日本では、平山郁夫さんの作品が、少し思い浮かびますが、同じ旅アーティストであった、リョーリフが影響を与えている部分もあるかもしれません。

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3階には、博物館のような小部屋のギャラリーがあり、リョーリフ夫妻の肖像画をはじめ、縁のコレクションが展示されています。ニコライ・リョーリフは、文化による世界平和の達成、Pax Cultura をモットーとし、アメリカ大陸の文化協定、Roerich Pact でも知られています。国際的に文化の推進に貢献し、ノーベル平和賞の候補にも何度も推薦されていたという人物です。

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ヒマラヤの写真や、チベット仏教のタンカ、仏像などが置かれ、リョーリフ夫妻の興味がよく分かります。

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旅の様子などリョーリフの様々な写真は、1階の廊下部分にも展示されています。リョーリフは、1920-30年代に数回に渡って、アジアを大旅行していますが、そんな旅の経路なども紹介されていました。日本にも立ち寄っています。

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1階には、ミュージアムショップもあります。

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ニューヨークに居ながら、ちょっとした旅行気分を味わえるおすすめ美術館です。

ニコライ・リョーリフ美術館 Nicholas Roerich Museum
319 W 107th St, New York, NY 10025 地図

NYアッパーウエストサイドの隠れ邸宅ミュージアム ニコライリョーリフ美術館 Nicholas Roerich Museum was last modified: 2月 22nd, 2021 by mikissh