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話題の「ICO」エストニア 電子居住者の次はエストコインで世界を変える?!

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最近、ビットコインなどの仮想通貨の価格上昇を背景に、次々に新しい仮想通貨が登場し熱くなっています。そんな新仮想通貨を発行し、主要な仮想通貨との交換という形で、新規に売り出すことを、 ICO (Initial Coin Offering) と呼び、クラウドファンディング形式での新プロジェクトの資金調達方法となっています。理想的には、新プロジェクトのビジョンに共感する人々を初期段階から巻き込み、そのプロジェクトの成功による利益をコミュニティーでシェアするという発想で、プロジェクトの運営者とコミュニティーのインセンティブを同じ方向に向ける目的があります。
そんな “ICO” が世の中で盛り上がる中、国の政策のひとつとしてこの ICO の導入を検討しはじめた国が登場しました。既に、世界中の人が国境を越えて住人になれる斬新な電子居住者プログラム (e-Residency) を運営している官製テクノロジーで最先端を行くエストニアです。

エストニアは北欧フィンランドのすぐお隣、ヘルシンキ からフェリーで数時間の距離にあるバルト海の小さな国です。以前紹介したように、エストニアは、旅行で訪れるとメルヘンな街並みに、かわいい雑貨が溢れるようなイメージの国なのですが、実は、国のテクノロジー政策は進んでおり、世界有数の最先端国です。自国民のために開発した官製テクノロジーのインフラを利用し、世界中から電子居住者 (e-Residency) を募集しています。エストニアの国への実際の出入りや、移住してきたかどうかなどの物理的な居住の有無は一切関係のない完全なバーチャルな制度ですが、世界中の人がエストニアのバーチャルな住人になれるという斬新な制度を作りました。そんな新しいアイデアのファンや、ユーロベースでオンラインビジネスを運営する人々が、実際にこのエストニアの電子居住者 (e-Residency) となっている模様です。

e-Residencyって何?世界中のみんながエストニアのバーチャル住人になれる

仮想通貨というと、最もよく知られているのはビットコインですが、数年前に、さらに新たな機能が追加された イーサリアム (Ethereum) と呼ばれる仮想通貨が登場しました。ビットコインでは、単純にコインの取引が記録されるのみですが、Ethereum では、例えば、配当を出すなど複雑な条件を設定した取引を実行できるようになり、コインの取引記録と共にそのような特定のロジックを記録できるスマートコントラクトという機能が加わったことにより、使用できる用途が増え、ICO も簡単に行うことができるようになりました。
クラウドファンディングとしては、キックスターター (Kickstarter) などが知られていますが、ICO は、短期間の単発プロジェクトではなく、コミュニティーが拡大していくことによりネットワーク効果の期待できるような長期的なプロジェクトに利用されています。ICO の購入者は、株式のようにプロジェクトの成功の恩恵を受けられる構造となっているのです。
ただし、現状は、ブームと言うことで、様々な思惑の参加者が集まり、クイックな資金調達だけを狙っただけのようなものも続出し、まさに玉石混交な状態です。

こちらでは、ビットコイン と イーサリアム (Ethereum) の違いが解説されています。

7月には、スマートコントラクトにさらにステークホルダーによるガバナンス機能を追加した新しいブロックチェーン (PDF) を提案する Tezos が、$200 million 集めるという快挙を成し遂げ、驚きの状態となっています。アメリカの証券取引委員会 (SEC) によるこちらの文書によると、ICO の中には、証券と考えられるものもあり、注意が促されていたりと、金融の世界でホットかつグレーなエリアとなっています。

仮想通貨って何?よく聞くビットコインっていったい何?そんな基本を知りたい人はこちらをどうぞ。

ビットコインってなあに?最高値更新で仮想通貨狂騒曲♪

国家戦略として、そんな電子居住者のエコシステムを拡大して行こうと考えているエストニアとしては、渡りに船、自然な流れかもしれませんが、エストコイン (estcoin) という新仮想通貨の発行を考えているようです。電子居住者プログラムの責任者が こちら でその背景を説明しています。

エストニアでは電子居住者たちにサービスを提供するフィンテックなどオンラインに親和性の高いビジネスも数多く登場しているようで、ICOにより調達した資金で、さらにそのエコシステムにメリットがある新テクノロジーや、エストニアと電子居住者のビジネスに投資することなどを考えているようで、広く意見を募っています。

今回のエストニアのICOの構想は、主に投資のための資金調達ということで、運営者の恣意性が強く反映する、通常の投資ファンドに近い形だと思いますが、実サービスを提供し、強制力のある国家の参入ということで興味深い所です。最終的に、ICO に至るかどうかは分かりませんが、いずれにしてもエストニアの電子居住者プログラムの強力なプロモーションとなることは間違いありません。

本来、コミュニティーと運営者、国民と国が共通の方向性の下、利益が適切にシェアされるべきものだと思いますが、長い時代を経ると、どんな仕組みも複雑に、そして官僚的になり、実際に、コミュニティーの役に立っているかどうかは別として、既得権益保持者とそうでない人に大きく分離してしまいます。新しいテクノロジーの登場により、すっかりブームとなっているICOですが、国とはどういう存在であるべきか、コミュニティーのための理想的な仕組みとは何なのか、について考えさせられる側面もあると思います。一時的なブームとなるのか、お手本となるICOの成功事例がどんどん登場し、株式市場のIPOにとって変わるような存在となることはあるのかなど興味深い分野となっています。

話題の「ICO」エストニア 電子居住者の次はエストコインで世界を変える?! was last modified: 8月 25th, 2017 by mikissh