ゾウの秘密の世界 アメリカ自然史博物館の新特別展 The Secret World of Elephants

ニューヨークの人気自然科学ミュージアム、アメリカ自然史博物館では、陸上で最大の動物である、ゾウをテーマとした新特別展、ゾウの秘密の世界 (The Secret Wrold of Elephants) が開催されています。アメリカ自然史博物館でゾウと言えば、アフリカの野生動物のギャラリーの中央に飾られているアフリカゾウの群れがお馴染みですが、そんなゾウの進化や種類について、知っているようで知らない、ゾウの生態や食性、人類や環境との関係性など、ゾウの様々な側面が学べる特別展が開催されています。特別展の会場に入ると、まるでエレファントキャンプにやってきたような雰囲気の会場になっていて、ゾウやマンモスの模型、ゴンフォテリウムの化石、、ドキュメンタリー映像やインタラクティブなゲームなど、子供も大人もゾウについて楽しみながら理解を深めることができるようになっています。

アメリカ自然史博物館は、巨大なミュージアムで、自然科学の多岐に渡った分野の常設展は見どころがいっぱいです。→ アメリカ自然史博物館の見どころ
そんな中、特定のテーマを深く掘り下げた様々な特別展が行われます。2021年から昨秋まで開催されていた サメの特別展 に続き、2023年11月中旬からはじまった新特別展が、知られざるゾウの秘密の世界をテーマとした、The Secret World of Elephants です。会場となっているのは、本館4階中央にある特別展ギャラリーです。

動物園でも人気者、陸上最大の動物として多くの人に馴染み深いゾウに関する様々なことを学ぶことができる展示で、ゾウ好きの人はもちろん、動物全般や環境保護に興味がある人にもおすすめの内容になっています。

最初のセクションでは、ゾウの進化の歴史が紹介されています。長い鼻と牙を特徴とするゾウは、かつては、世界中に200種以上が生息していましたが、現在は、たったの3種類しかいません。
アフリカに生息する、サバンナゾウ (African bush elephant) と、マルミミゾウ (African forest elephant) の2種のアフリカゾウと、そして、アジアに生息する、アジアゾウ (Asian elephant) の合計3種のみとなっています。

絶滅した中で最も有名な種の一つが、ユーラシア大陸や北米の寒冷地に生息した、マンモスです。今回の特別展では、ゾウに最も近く、丸く湾曲している巨大な牙が印象的なマンモスの模型が展示されていました。マンモスは、温暖化の気候変動及び人類による狩猟により4000年程前に絶滅してしまったとされています。

一緒に展示されている化石は、顎の上下に牙があるゾウの親戚にあたる、ゴンフォテリウム (Gomphothere) です。ユーラシア大陸からアメリカ大陸まで広く生息していましたが、ユーラシア大陸で絶滅してしまい、アメリカ大陸でも一万2千年前程に絶滅したとされています。

マンモス、ゴンフォテリウム、マストドンなど絶滅してしまったゾウの親戚にあたる種族の化石は、特別展が行われている4階の常設展でも展示されています。
こちらは、湾曲した牙が特徴のマンモスの化石です。

こちらは、マストドンの化石です。マンモス同様大きいですが、牙の湾曲具合が小さいのと頭部が平らなのが特徴です。歯の表面に大きな違いがあり、マストドンの歯は、ギザギザしています。

そしてこちらは、ゴンフォテリウムの化石。ゾウやマストドンから比べるとだいぶ小さく、牙が顎の上下にあり、かなり異なっています。

ゾウと言えば、巨大なイメージですが、かつては、シチリア島、クレタ島、キプロス、マルタ島など地中海の島々には、ドワーフ エレファント (Dwarf Elephant) と呼ばれる大きさ 1-2m程の小さな種も存在しました。島は食糧が乏しいため、適応して体が小さくなったと考えられています。ドワーフゾウの模型も展示されています。
ゾウに近い種は、そのほとんどが絶滅してしまいましたが、現存する種の中でゾウに近いのは、マナティ や ジュゴンなどの海獣やハイラックスなどだそうです。

次のセクションでは、体や心、習性、生息地などゾウの生態について紹介されています。

プロジェクションによりゾウの模型に骨格や筋肉が映し出され、体の様子が視覚的に分かるようになっています。

巨大なゾウは、物凄い量の食料と水を摂取します。一日で、なんと500缶分もの水を摂取する必要があり、そんな様子が一目で分かるようにたくさんの缶が並べられています。またゾウは、草食で、一日に136-227kg (300 -500 pounds) もの量の木の実や草、根、茎など植物のあらゆる部位を食べます。

ゾウが生息しているのは、現在、アフリカとアジアのみとなっていて、アフリカには、サバンナを中心に生息する、サバンナゾウ (African bush elephant) と、森で暮らす、マルミミゾウ (African forest elephant) がいます。アジアゾウは、主に森林内に生息しています。
3種のゾウの生息地を紹介する映像が上映されています。こちらは、3種の中で最大のサバンナゾウ。

森の中で暮らすゾウは、あまり大きすぎると動きにくいためか、サバンナで暮らすゾウと比べると小型になっています。長距離を動き回るゾウは、周囲の生態系にとってなくてはならない大切な存在となっていますが、気候変動による干ばつや森林伐採などにより、ゾウの生息地が減少しており、ゾウの絶滅が危惧されています。

ゾウは、社交性の高い動物で、群れで暮らしています。ゾウにとって水はとても大切な存在で、川辺など水を求めて長距離を移動しますが、サバンナなどでは、雨水が溜まる大きな穴を掘ったりもします。
仲間同士、音でコミュニケーションを取ったり、仲間の死を悼んだり、鏡で自身の姿を認識したり、知能の高い動物です。

ゾウの様々なトピックについてインタラクティブに学べるコーナーもあります。

最後のセクションでは、人類とゾウの関わりが紹介されています。
巨大で存在感のあるゾウは、大昔から人類により運搬などの仕事や戦争などにも使用されて来ました。そんな人類とゾウの深い関わりが伝わってくる工芸作品などが展示されています。

アフリカゾウのジャンボを目玉にしたアメリカの人気サーカス団、P・T・バーナムの19世紀のポスター。
近代以降は、ゾウは、動物園、サーカス、観光などエンターテイメントにも登場するようになりました。最近では、動物保護の観点からサーカスには、あまり動物は登場しなくなって来ています。
観光資源としてもゾウの人気は高く、例えば、タイのアユタヤ、インドのジャイプールなど観光スポットでゾウに乗る、ゾウライドが定番となっている場所もまだありますが、最近では、ゾウの保護区、サンクチュアリーでゾウと触れ合ったりする、エコツーリズムが人気になって来ています。

こちらは、頭がゾウのヒンドゥー教の神、ガネーシャです。インドでは古くから、ガネーシャは商業や学問の神様として信仰されています。バンコク旅行の動画にも登場していましたが、古くからインドの影響が強かったタイやカンボジアでもよく寺院などにゾウの像が置かれています。

現在、地球上に生息する3種類のゾウは、どの種も象牙の密漁や自然環境の消失による生息地の減少で、絶滅危惧種となってしまっています。そんなゾウを保護すべく、サンクチュアリーが増えて来ています。
今回の展示では、ケニア北部のサンクチュアリーの感動的なドキュメンタリー映像が上映されています。サンクチュアリーと言えば、欧米諸国の動物や自然保護活動家が所有、運営していることが多いですが、Reteti と呼ばれるこちらのサンクチュアリーは、ローカルのサンバル族によって運営されていて、みなしごになってしまったゾウたちを保護し、自然の群れに帰すという活動を行っています。

会場の外には、ゾウをテーマにしたお土産コーナーもあります。

アメリカ自然史博物館の基本情報は、こちらで紹介しています。

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ゾウの秘密の世界 アメリカ自然史博物館の新特別展 The Secret World of Elephants was last modified: 1月 20th, 2024 by mikissh