ユニオンスクエア近くにあった、ニューヨークで唯一のトレーダージョーズ (Trader Joe’s) のワイン屋さんが、突然、先週木曜日8月11日に閉店となってしまいました。トレジョのワインショップは、数ドルからボトルを購入できたり、普段使いのリーズナブルな価格帯のワインが揃っている、15年以上も続いていた人気店でしたが、突然の閉鎖に、道行く人たちが、何が起こったんだろう？と店舗前の貼り紙に釘付けになっていました。
ニューヨークでリーズナブル価格のワイン屋さんと言えば、まず思い浮かぶのが、ユニオンスクエア近くにあるトレジョのワインショップでした。最近は、インフレで少し値段が上がっていましたが、それでもボトルで4ドルから買えるカリフォルニアワインをはじめ、フランス、イタリア、スペインなど世界各地の良質のワインがリーズナブル価格で販売されているお店でした。ニューヨーカーはもちろん、旅行者にもとても人気のあるお店だったのです。例えば、Chianti の1.5リッターボトルが、10ドル前後など、お買い得なテーブルワインがたくさんありました。
そんな人気店が、先週の木曜日8月11日に、なんと突然の閉鎖となってしまいました。たくさんの人が悲しんでいると思います。
閉鎖された店舗のウィンドウには、こんな貼り紙がされています。経営難や急激なレントの値上げなどの問題があったという訳ではなく、どうやら戦略的な判断で、より効率的に経営できる他の場所での再開を考えているようです。なので、これからの新ロケーションでの再オープンを心待ちに期待したいところです。ワインショップで働いていた従業員のことについても触れられていて、8月28日までシフト通りにお給料が支払われ、その後は、トレジョの別の店舗へ移動するという選択肢があるようです。
トレーダージョーズのワインショップの閉店は、本当に突然のことでした。どうしてこんなことになったのでしょう？
アメリカは、かつて連邦政府レベルで禁酒法があったこともあり、それぞれの州毎に飲酒に関わる様々な古い複雑なルールが残されています。
ニューヨーク州のワインストアに関するルールは、State Liquor Authority により、こちら (PDF) のような法律があります。
ニューヨークでは、一人または一法人に付き、リカーライセンスは、1つのロケーションのみでの運営と定められていて、チェーン店化することができません。トレーダージョーズも、ニューヨーク州では、ワインショップを一店舗しか運営できないのです。トレジョのワインショップが、もっと他の場所にもできるといいのに、と思っていたこともありましたが、実は、そんな法律があって、たった1か所しかワインショップを開くことができなかったんですね。
そんな法律に加え、インフレの中、現在のお店は狭く、効率的な経営が難しかったと思います。おそらく、今よりも広い店舗面積を確保できる新ロケーションの目途がたったのではないかと思います。
同じアルコール飲料でも、ワインとビールでは扱いが異なり、ワインは、スーパーで販売することはできませんが、ビールは、それぞれのスーパーの店舗でも販売することができるようです。現に、トレジョのスーパー内でビールは販売されています。
ちなみに、ホールフーズもニューヨーク州に1か所だけワインショップを開いています。そのニューヨーク州の唯一のワインショップは、アッパーウエストサイドのお店(97th St & Columbus Ave) です。
トレジョのワインショップが閉店となってしまいましたが、ニューヨークでは、他にもおすすめのワインショップがあります。
ユニオンスクエア周辺では、アスターワインなどおすすめです。
