ドラクロワ特別展 メトロポリタン美術館で開催中!19世紀フランスを代表する巨匠の貴重な作品が集結

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ニューヨークのメトロポリタン美術館では、19世紀フランス絵画の巨匠、ウジェーヌ・ドラクロワ (Eugène Delacroix) の特別展が開催されています。19世紀後半には、それまでの古典アートとは大きく異なる、近代アートのはじまりとされる印象派のアートが登場しますが、そんな古典アートと近代アートの境目で活躍し、橋渡し的な役割を果たしたのが、より感性に重きを置いたロマン主義の巨匠、ドラクロワです。会場では、鮮やかな色使いで、ドラマチックに描かれた、ドラクロワの生涯に渡る数多くの貴重な作品が展示されています。

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会場となっているのは、2階の特別展用のギャラリー(Gallery 899)です。
ドラクロワは、18世紀末、1798年に生まれ、19世紀中頃にフランスのロマン主義を代表するアーティストとして活躍しました。古典ヨーロッパアートの主要なモチーフだった、宗教や神話、歴史を描くのはもちろん、肖像画だけでなく、動物や風景画、静物画まで幅広いジャンルの作品を描いたアーティストです。その色使いやモチーフには、16世紀後半から17世紀前半のフレミッシュアートの巨匠、ルーベンスの影響が見られます。

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ドラクロワは、アーティストとしては珍しく、自身が書き綴った日記を残しているため、人物像や当時の様子などが記録から詳しく分かっており、ドラクロワにまつわる遺品も展示されています。

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ドラクロワと言えば、まず思い浮かぶのが、1830年のフランス7月革命をドラマチックに描いた “Liberty Leading the People” です。こちらは、ルーヴル美術館 にあり、今回の特別展にはやって来ていませんが、ドラクロワが生涯に渡って、描いた数多くの作品を見ることができます。

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聖書の一場面、エルサレム市街のすぐ外にあるオリーブ山の麓、ゲッセマネの様子を描いた作品、”Christ in the Garden of Olives”。1824-1826年に描かれた作品で、宗教画らしく、パリの教会、Eglise Saint-Paul-Saint-Louis からやって来ています。

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同様の時期に、一転して、こんな作品も描いています。1826-1829年に描かれた “A Lady and Her Valet”。

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こちらは、動物園で見かけた虎を題材にしたという1830年の作品、”Young Tiger Playing with Its Mother”。虎をモチーフとした作品もいくつも描いています。という具合に、ドラクロワは興味の赴くままに、様々なモチーフの作品を描いていたようです。

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ドラクロワの人生に、大きな影響を与えたのが、1832年に旅した、アルジェリアやモロッコなどの北アフリカです。ヨーロッパとは異なるエキゾチックな世界に感銘を受けたようで、旅の一場面を描いた作品も多く残しています。こちらもそんな一作品で、躍動感のある Collision of Arab Horsemen (1833-1834) です。

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古代アッシリアの最後の王、サルダナパールの死 (The Death of Sardanapalus) を描いた作品です。こちらは、1827年に描いた作品を再度1844年に描いたレプリカの作品で、フィラデルフィア美術館 に収蔵されているものです。オリジナルは、ルーヴル美術館にあります。

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十字架にかけられたキリストを描いた1846年の作品、Christ on the Cross。

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17世紀オランダ絵画の作品を彷彿とさせるような色鮮やかな花々の作品、Basket of Flowers (1848-1849) もあります。

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ドラクロワは、印象派の作品群が思い浮かぶような風景画も、先駆けて描いています。こちらは、パリ郊外、Sénartの森を描いた “View in the Forest of Sénart”。1849年から1850年にかけて描かれた作品です。

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ノルマンディー、Dieppeの海岸の様子を描いた1852年の作品、”The Sea at Dieppe”。ドラクロワは、当時、最も影響力のあるアーティストで、ルノアール、マネ、モネやセザンヌなど近代アートを築いた次世代アーティストに影響を与えました。

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聖書の一場面、ガリラヤ湖で居眠りをしたキリストを描いた1853年の作品、”Christ Asleep during the Tempest”。

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ドラクロワは、同じモチーフの作品をいくつも描いていますが、晩年多く描いたのが、ライオン狩り (The Lion Hunt) です。今回の特別展でもいくつかの作品が展示されていました。

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ドラクロワは、1832年に、アフリカのモロッコやアルジェリアを訪れたことがあり、その時の思い出やルーベンスの同名の作品に影響を受け、描いたようです。共に、1855年前後の作品です。

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特別展の最後には、ドラクロワらしい色合いのエキゾチックな雰囲気のお土産屋さんがあります。虎などドラクロワのモチーフのものが色々と並んでいます。

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特別展の会場の雰囲気と共に、ドラクロワについて紹介されているこちらの映像もご覧ください。

ドラクロワの特別展は、2019年1月6日までの開催となっています。

ドラクロワが住んでいたパリのアパートは、国立の ドラクロワ美術館 となっています。フランスで、特定のアーティストが冠された国立の美術館は、ロダン、ピカソなどがありますが、ドラクロワも、フランスアートを代表する画家の一人です。

メトロポリタン美術館の見どころは、こちらで紹介しています。素晴らしい美術館なので是非訪れてみてください。

メトロポリタン美術館 ミュージアム見どころ完全攻略法

ドラクロワ特別展 メトロポリタン美術館で開催中!19世紀フランスを代表する巨匠の貴重な作品が集結 was last modified: 8月 21st, 2020 by mikissh