ニューヨーク、クイーンズで有名な公園といえば、全米オープンの開催地で、メッツの球場もある、フラッシングメドウズコロナパーク (Flushing Meadows Corona Park) です。フラッシングメドウズパークは、実はあのセントラルパークよりも大きい公園で遊び場所もとても充実しています。散歩やサイクリングはもちろん、サッカー、テニス、スケボー、アイススケートなど様々なスポーツが楽しめる他、ミュージアム、動物園、植物園まであり、ローカルの憩いスポットになっています。フラッシングメドウズは、ニューヨークで開催された2度のワールドフェアの会場となった場所でもあり、1964年に万国博覧会の際に建設された、地球の形をした、ユニスフィア (Unisphere) を象徴とし、かつての万博の面影が点在していて、見どころが色々ある場所になっています。
フラッシングメドウズコロナパーク
フラッシングメドウズパーク (Flushing Meadows Corona Park) は、マンハッタンから少し離れたクイーンズの東部、チャイナタウンがあることで知られる、フラッシング (Flushing) と新型コロナで一躍有名になった、コロナ (Corona) 地区の間にある公園です。フラッシングメドウズパークは駅そばの公園なので、アクセスはとても便利です。最寄り駅は、地下鉄7番線とロングアイランド鉄道 (LIRR) の Mets-Willets Point 駅です。
フラッシングメドウズパークは、1939年、1964年と、かつて2度の万国博覧会 (World’s Fair) が、開催された公園で、そんな歴史的な足跡が園内の至る所で感じられます。駅から公園に向かうと入口には、アンディ・ウォーホルによる 1964年当時のニューヨーク州知事、ロバート・モーゼス (Robert Moses) のモザイクによる肖像画などが描かれています。
こちらが、フラッシングメドウズパークの中心部の地図で、左が北、右が南です。フラッシングメドウズは、セントラルパークよりやや大きく、NYCで5番目に広い公園で、かつてのワールドフェアの会場となった人工的に区画されたエリアを中心に、南側には、巨大な池を中心とする自然エリアが広がっています。
フラッシングメドウズは、有名なテニスの全米オープンの開催地で、すぐ近くの駅の反対側、北側には、メッツの球場、シティフィールド (Citi Field) もあったりと、スポーツ観戦で訪れる人も多い場所です。
園内は、ディズニーランドなどのテーマパークのような感じの人工的な幾何学模様的な配置になっていて、整然とした並木道などよく整備されている印象を受けます。
サッカーやスケートなど様々なスポーツを楽しめる運動スペースも多く、ローカルの憩いのスポットで、特に週末は、バーベキューをするグループも加わり大賑わいとなります。
万博の歴史的な足跡も残されていて、当時の建物やパブリックアートも一部残されていて、見どころの一つとなっています。
フラッシングメドウズコロナパーク園内とその周辺には、ミュージアム、科学館、動物園、植物園などの文化的なアトラクションが集まっています。
クイーンズ美術館には、ワールドフェアの様子を伝える展示もあり、当時のお土産なども展示されていて面白いです。
未来志向の万博が開催された歴史があり、スポーツの会場なども多く、人工的な場所の印象を受けますが、実は、南部の方へ行くと、巨大なメドウレイクが広がり、自然豊かなのどかなエリアになっています。
ユニスフィア Unisphere
フラッシングメドウズパークは、1939年、1964年とかつて2度の万国博覧会 (World’s Fair) が、開催地となった場所で、1964年の万博の際に建てられた地球の形をした巨大建造物のユニスフィア(Unisphere) が、そのシンボルとなっています。ユニスフィアのすぐ北側には、全米オープンの会場となっている USTA ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター (USTA Billie Jean King National Tennis Center) があります。
ユニスフィア周辺は、早咲きのオカメザクラの名所で、早春には、ピンク色に包まれ、ピクニックや写真撮影の人気スポットになります。
今年もオカメザクラが、見事に咲いていました。
クイーンズ美術館
ユニスフィアのすぐ隣には、1972年にオープンした、クイーンズ美術館 (Queens Museum) があります。歴史的なワールドフェア関連、ティファニーランプなどの常設展の他、様々なテーマの特別展が開催されています。
クイーンズ美術館の名物で、見逃せない展示と言えば、巨大なニューヨークシティの模型、Panorama of the City of New York です。3年の歳月をかけて制作され、1964年のワールドフェアで展示された人気の模型で、その後も現実の景観の変更に合わせて変更が加えられています。昼から夜に変化したり、飛行機がやって来たり、飛んで行ったりと色々な演出がされていて面白いです。
クイーンズ美術館は、こんな雰囲気です。
クイーンズ美術館 Queens Museum
New York City Building, Corona, NY 11368 地図
ニューヨーク科学館 ホール・オブ・サイエンス
科学好きにおすすめなのが、面白い外観の科学館、ニューヨーク・ホール・オブ・サイエンスです。現在は、まだ昨年以来の閉鎖が続いていますが、インタラクティブに遊べる展示が多く、子供たちに大人気のミュージアムです。
ニューヨーク・ホール・オブ・サイエンス New York Hall of Science
47-01 111th St, Queens, NY 11368 地図
クイーンズ動物園
ニューヨークシティには、セントラルパーク、プロスペクトパーク、ブロンクス動物園などそれぞれの地域に動物園がありますが、クイーンズの動物園は、フラッシングメドウズにあり、子供連れファミリーたちを中心に気軽に訪れることができる週末スポットになっています。1964年に開催されたワールドフェアの後、1968年に、クイーンズ動物園の前身となる、フラッシングメドウ動物園がオープンし、1992年からクイーンズ動物園となっています。
クイーンズ動物園 Queens Zoo
53-51 111th St, Corona, NY 11368 地図
クイーンズ植物園 Queens Botanical Garden
フラッシングメドウズでは、ミュージアム等は、園内西側に集中していますが、クイーンズ植物園 (Queens Botanical Garden) は、一つだけ公園の東側にあります。様々な参加型のイベントが開催されていたりしてローカルに人気の植物園です。
クイーンズ植物園 Queens Botanical Garden
43-50 Main St, Flushing, NY 11355 地図
ニューヨーク州パビリオン
フラッシングメドウズには、ワールドフェア当時の未来志向の面白い形状の建造物、ニューヨーク州パビリオンの建物が残されています。現在は、外観を見るだけで、中には入れませんが、リノベーションが予定されていて、将来的には、再び日の目を見る日がやって来るようです。
現在でも、特別イベントの時に開放されることもあり、こちらは、ニューヨークオープンハウスの時の様子です。
クイーンズ劇場 Queens Theatre
ニューヨーク州パビリオンの一部は、パフォーミングアートを中心に様々なイベントが開催される、クイーンズ劇場 (Queens Theatre) となっています。劇場は、1964年のワールドフェア時に、ニューヨーク州パビリオンだった建物を再利用し、終了後にオープンしました。クイーンズ劇場を含めた、著名建築家のフィリップ・ジョンソンらによりデザインされたニューヨーク州パビリオンの建物は、国家歴史登録財 (National Register of Historic Places) となっています。
クイーンズ劇場 Queens Theatre
14 United Nations Ave S, Corona, NY 11368 地図
スケート場 Maloof Skate Park
ユニスフィアから南側の池方面に向かう途中には、少年たちに人気のスケート場、Maloof Skate Park があります。スケボー、ローラースケート、マウンテンバイクなどで、ジャンプの練習に励んでいます。
運動場
広い園内には、サッカー、テニス、ミニゴルフなど様々なスポーツが楽しめるスペースが点在しています。週末は、ローカルの人達が集まり、楽しそうに汗を流しています。
プール・オブ・インダストリー Pool of Industry
ユニスフィアから東側へ向かうと、プール・オブ・インダストリー (Pool of Industry) という名前の池があり、カモメをはじめ水鳥たちの憩いのスポットになっています。この池は、1939年のワールドフェア時に、Lagoon of Nations として建設されたものです。池の中央には、当時世界最大の噴水だった、Fountain of the Planets があり、ライトショーが開催されていたそうです。2度目の1964年のワールドフェアでも、プール・オブ・インダストリーとして再び登場しました。
プールには、白鳥のカップルの姿も見えました。
ワールドアイスアリーナ World Ice Arena
プール・オブ・インダストリーの東側には、アイススケート場のワールドアイスアリーナ (World Ice Arena) があります。ワールドアイスアリーナは、ニューヨークでは珍しい屋内スケートリンクで、一年中、アイススケートを楽しむことができます。
ワールドアイスアリーナ World Ice Arena
131-04 Meridian Rd, Queens, NY 11368 地図
モニュメント
園内では、美しい花々にも出会えお散歩も楽しめます。散策やエクササイズにもおすすめのとても広々とした公園です。
ロケットを投げる人 (Rocket Thrower) 像が目を引く場所にありますが、この像はテクノロジーをテーマとした1964年のワールドフェア時のものです。
公園には、古代遺跡のモニュメントも飾られています。ニューヨークの公園で古代遺跡と言うと、セントラルパークの古代エジプトのオベリスクが有名ですが、フラッシングメドウズパークでは、1964年のワールドフェアの際にヨルダン国王から贈られた、現ヨルダン北部にある古代都市、ジャラシュ (Jerash) のコリント式の柱が置かれています。
プール・オブ・インダストリー周辺には、2度のワールドフェアで使用されたという、イーグルの旗用のポールが、2本残されています。このように、フラッシングメドウズパークでは、ワールドフェアの名残が園内に色々点在しているのです。
メドウレイク Meadow Lake
フラッシングメドウズパークは、南側にも伸びていて、公園のど真ん中を走る、ロングアイランドエクスプレスウェイ (Long Island Expressway I-495) の上に架かる陸橋を越えると大きな湖、メドウレイク (Meadow Lake) があります。
セントラルパークの貯水池よりやや小さいですが、NYC内で、魚釣りを楽しめる淡水の湖としては、最も大きな湖です。通常は、ボート遊びなども出来ますが、現在は、閉鎖中です。
広々とした池では、カモやカモメなど水鳥たちが、すいすい泳いでいます。ボートの上では、春になり、すっかりよく見かけるようになった、ミミヒメウ (Double-crested cormorant) が、気持ち良さそうに日光浴していました。
現在、ボート遊びはできませんが、こちらのファミリー向けサイクリング車は、稼働中です。広い園内歩くと結構時間がかかってしまいますが、こちらを借りると楽々移動できます。メドウレイクの南側には、さらにもう一つ別の湖、ウィロウレイク (Willow Lake) があります。サイクリングで足を伸ばしてみるのもいいと思います。
メドウレイクでは、毎夏、ドラゴンボートフェスティバルが開催されています。
ニューヨークワールドフェアの歴史
万国博覧会は、現在は、世界中を旅行しやすくなり、世界をテーマとしたテーマパークなどもあるためかつてほど注目を集めることはありませんが、19世紀後半から20世紀にかけては、世界中から多くの地域が参加する、珍しい大きな注目を集める国際的な大イベントでした。アメリカ東部への進出を考えていたディズニーも、1964年のニューヨークワールドフェアに大きく関わり、その後のディズニーワールドの建設、It’s a Small World、トゥモローランド、エプコットなど、ニューヨークワールドフェアでの経験が大きく影響を与えています。
1964年のニューヨークワールドフェアは、とても大掛かりで、訪問者に大きな感動を与えた一方、政治的、財政的には厳しいイベントだったようです。こちらでは、プロジェクトとしての1964年のニューヨークワールドフェアが紹介されています。
こちらの映像では、”Peace Through Understanding” と題された 1964年のワールドフェアの様子が紹介されています。また、第一回目の”The World of Tomorrow” をテーマとした1939年のワールドフェアの様子は こちらの映像で生き生きと紹介されています。
フラッシングメドウズコロナパーク Flushing Meadows Corona Park
Grand Central Pkwy and, Van Wyck Expy, 11354 地図