MOMA フランクロイドライト150周年記念特別展開催中!

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今年は、世界的にも有名なアメリカの建築家フランクロイドライトの生誕150周年記念ということで、様々なイベントが行われています。ニューヨークの MOMA(ニューヨーク近代美術館)でもフランクロイドライトの特別展 “Frank Lloyd Wright at 150: Unpacking the Archive” がスタートしました。有名な建築家のフランクロイドライトの作品というと、通常、実際に建築された建物を見ることが多いですが、今回の特別展では普段あまり見る機会のない、建築以前または実際に建てられることのなかった建物のアーティスティックなイメージ図や設計図が大集結した展示となっています。

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フランクロイドライトは、世界的にも有名な建築家ということで、非常に人気も高く、たくさんの人が訪れていました。幾何学模様がフランクロイドライトらしさを表すトレードマークの一つとなっています。

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フランクロイドライトと言えば、現在につながる新しいスタイルの建築を確立した建築家として知られています。フランクロイドライトは、当時のシカゴの有名な建築ファーム、Adler & Sullivan でキャリアをスタートさせ、その後独立し、シカゴのオークパークを拠点に、アメリカ独特の建築スタイルとして、広大な土地に似合った横への広がりが印象的な建築「プレーリースタイル」を確立していきます。
こちらはそんな初期の頃のデザインの特徴がよくあらわれている作品だと思います。

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フランクロイドライトの初期の頃のデザインの家の数々が、シカゴ、オークパークに集まっていて、実際に見ることができます。

シカゴ フランクロイドライト邸と建築スタジオ 建築好き必見!オークパークの見どころ

フランクロイドライトは、新しいスタイルの建築家ということで、公共プロジェクトよりも、個人の邸宅の設計の仕事が中心となっていました。

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そんなライトによるデザインの模型があったり、

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詳細な設計図があったりし、完成時の美しいイメージ図などもそれぞれがアート作品のような美しいものばかりでびっくりさせられます。

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フランクロイドライトは、オークパークを離れた後は、ヨーロッパ(イタリアなど)でも数年ほど暮らしていました。自身の建築デザインの本を出版し、その後のモダニズム建築に影響を与えることとなったようです。ヨーロッパからアメリカへ帰国後、拠点をオークパークからウィスコンシン州 (Taliesin) へと移します。ライトはインターナショナルな人だったようで、その後、日本の帝国ホテルのデザインも担当しました。以前から日本の浮世絵やアートのファンで、おそらく1893年に行われたシカゴのワールドフェアの日本館にも大きな影響を受けたと思われるライトですが、こちらでも詳しく紹介されているように、その後、日本の建築に大きな影響を与えることとなります。そんな、かつての帝国ホテルのデザインに関する展示も、今回の特別展ではとても充実した内容となっています。

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こちらは、キュレーターによる帝国ホテルに関する展示に関する解説です。

フランクロイドライトらしい幾何学模様のインテリアのアイテムの数々。

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こちらはフランクロイドライトのテーマである「自然との融合」が最も表現されている、最高傑作の一つとされる「落水荘(フォーリングウォーター Fallingwater)」です。フランクロイドライトの作品は、どれもそれぞれが非常に完成度が高いアート作品となっていて、そんな最高の作品を作り続けていくことが最も大きな宣伝効果となっていただろうと思われます。人がその作品を見た時に、思わず自分も欲しくなってしまう気持ちが分かります。

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落水荘(フォーリングウォーター)NY近郊ちょっと遠出の旅おすすめ3選 フランク・ロイド・ライトの落水荘とピッツバーグ

その後、アメリカ西部での活躍の幅が広がるにつれ、冬の拠点として、アリゾナ州に、Taliesin West を設けました。

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フランクロイドライトは、名声が高まるにつれて、次第に個人邸から公共の大規模なプロジェクトへとシフトして行った様子が伺えます。
こちらは採用されることはなかったようですが、サンフランシスコに提案した橋 “Butterfly Wing Bridge” です。

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そして、ニューヨークでお馴染みのグッゲンハイム美術館。ライトの晩年の傑作です。

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あのグッゲンハイム美術館が実はピンク色になる可能性もあったのかも。

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高層建築の得意なファームでキャリアをスタートさせたフランクロイドライトですが、実際に彼自身がデザインし建てられた高層ビルというのは実はたったひとつだけです。それがこちら、オクラホマ州にある プライスタワー (Price Tower) です。

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こちらはデザインのみで実現することがなかった高層ビル「マイルハイ イリノイ (Mile-High Illinois)」です。現在、シカゴに建っていてもおかしくないかっこいい超高層ビルのデザインです。なんと高さ1マイル、528階建てのビルだそうです。

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フランクロイドライトの人生の集大成だったのでしょうか、実はこのマイルハイの高層ビルデザインは、依頼されたわけでもなく、またコンペがあったわけでもないのにデザインされたものなのです。そんな マイルハイ Mile-High に関するキュレーターによる解説です。

現在、世界一高いビルは、ドバイの Burj Khalifa ですが、似ていますね。

Burj Khalifa は、ライトの Mile-High Illinois にインスピレーションを受けてデザインされたそうです。
ライトのデザインした超高層ビルは、現存する世界一高いビルよりもずっと高い、なんと2倍もの高さがあるビルの設計となっています。フランクロイドライトが誰から依頼されたわけでもなく、またコンペでもなく描いた彼の夢の建築「マイルハイ Mile-High」いつか実現する日がやってきたら素敵ですね。

フランクロイドライトのファンはもちろん、建築、アート好きの人におすすめのフランクロイドライトの特別展 “Frank Lloyd Wright at 150: Unpacking the Archive” は、2017年10月1日までの開催となっています。

現在、拡張工事中のMOMAですが、常設展の作品の配置もかなり変更されていて、新鮮な感じで楽しめます。毎週金曜日の夕方4時以降は無料入場できます。

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