ニューヨークのギャラリーでドナルドジャッド特別展開催中！インテリアのようなミニマルアートが織り成す楽しい空間

ニューヨークのチェルシーにある David Zwirner の19ストリートのギャラリーでは、ドナルド・ジャッド (Donald Judd) の特別展、Artworks: 1970–1994 が、11月5日から開催しています。1960-1970年頃に隆盛だった、ミニマリズムの代表的なアーティストである、ドナルド・ジャッドの最盛期から晩年にかけての作品が大集合しています。ギャラリーには、まるで規則正しい幾何学模様の抽象アートの絵画から飛び出して来たような感じで、素材はいたってシンプルな金属やアクリル板、合板など無機質な感じの産業用素材を、形状、色使い、配置などを駆使して見事に変身させたインストレーションアートの作品が並び、ジャッドならではの独特の空間が作り出されています。

ドナルド・ジャド (Donald Judd) というと、実は今、ニューヨークの人気近代美術館、MoMA でも特別展が開催されています。MoMA の Judd 特別展は、コロナ危機前の3月初旬からはじまり、1月9日まで引き続き開催されます。今回それに合わせるような形で、ニューヨークの著名ギャラリー、David Zwirner のチェルシーの 19ストリートのギャラリーも、ドナルド・ジャッド(Donald Judd) の特別展、Donald Judd – Artworks: 1970–1994 が、11月5日からはじまりました。

抽象的なジャッドの作品は、その存在そのものを楽しむ感じで、題名はありません。壁に張り付ける形の作品が多く、本や物を置く棚のような雰囲気で、インテリアを見にやって来た気分になります。アルミニウムとアクリル板など本来無機質な感じであまりアートに向いていないような素材を上手く組み合わせて作品を作り出しています。

アルミ板の箱の単調な繰り返しも、様々な色を組み合わせることによって変化を与えています。思わず自宅の壁にも、こういうものを作ってみたいなと思わせてくれる、創作意欲を掻き立ててくれるものがあります。

おしゃれなテーブルとカウンターのような感じの作品。ジャドは、家具のデザインも手掛けていました。

とても広々とした贅沢な空間に、合板とアクリル板を組み合わせた、この巨大な作品が並んでいました。

美術館などでよく見かける、ジャドの縦型の配置の箱の作品です。美術館では一点だけで展示されていることもありますが、広々とした空間に、色々な作品を組み合わせて展示するインストレーションアートでこそ、特にその作品の素晴らしさが感じられたりします。

ジャッドといえば、カクカクした直線的な作品が多いイメージですが、珍しく曲線的なラインが美しいピンクの銅の作品もあり、目を引く存在になっていました。隣の作品は、シックなアルミニウム製です。

思わず触ってみたくなる、美しい質感の青い作品。金属とは思えない美しい優しい色合いの表面です。この美しさの秘密は、アルミニウムの表面を陽極酸化するアルマイト処理をしたものだそうです。

面白い風合いのアルミ板がズラリと並べられた1970年の作品。ジャッドは、若い時代は、ニューヨークを拠点に活動していたアーティストで、こちらで紹介されていますが、草間彌生さんの初の個展の記事を執筆したり、同じ建物内のスタジオで活動していたりと仲の良い友人だったそうです。そんなジャッドは、1970年頃から、テキサス州マーファに拠点を移していき、最終的には、マーファを主な拠点として活動しました。マーファにある、元ジャド邸&スタジオ跡は、ジャドの美術館、The Chinati Foundation となっています。

ドナルド・ジャド (Donald Judd) は、何でもクリエイティブな工夫次第で、美しく見せることが可能なことを教えてくれるアーティストと言えるかもしれません。
最近、ワンちゃん連れも、ギャラリーでよく見かける光景になっています。ウィズコロナ時代ということで、ギャラリー内では、マスク着用必須で、David Zwirner では、事前予約は、必ずしも必須ではありませんが、予定が決まっている場合は、予約してから出かけると待ち時間なく入場できます。